漢検は他の資格検定と比べ抜群の知名度の高さで知られています。
そのレベルは2級で高卒・大学生・一般、準1級で大学生から一般程度といわれており、1級の難易度の高さも有名です。
「漢検1級は受験するとどんなメリットがあるのか?」
「高難度とは聞くが、実際どれくらいのレベルなんだろうか?」
「勉強法するならどんな方法が良いのか?」
こういったことが気になるかと思います。
確かに資格取得の際にメリットや難易度、良い勉強の仕方を確認するのは重要ですね。
ここではそんな方に向けて、
- 漢検1級取得のメリット
- 漢検1級のレベル
- 漢検1級の勉強法
について詳しく説明していきます。
目次
漢検1級の概要
漢検は日本漢字能力検定の愛称で、毎年約220万人の人が受験しています。
そのうち、2020年度第2回の1級受験者は791人です。
まずは漢検1級の概要から見ていきましょう。
受験時間 60分
満点 200点/80%程度で合格
受験料 5,000円
対象漢字数 約6000字(JIS第一・第二水準)
出題内容
- 漢字の読み
- 漢字の書取
- 故事・諺
- 対義語・類義語
- 同音・同訓異字
- 誤字訂正
- 四字熟語
受験会場は全国47都道府県の主要都市約180か所に設けられた公開会場です。学校や塾・企業などの団体で志願者を10名以上集めて、まとめて申し込みを行う団体受験も可能です。
検定日に限定されずに受験できるコンピューター試験は、準1級・1級は対象とされていません。しかしもともと検定日は年3回設定されており、会場アクセスと合わせて考えると、忙しい社会人でも受験しやすい試験といえるでしょう。
漢検1級取得のメリット
漢検を実施している公益財団法人日本漢字能力検定協会の調査によれば、漢検を新卒採用の評価指標として活用しているのは有効回答539社のうち453社であり、就活の強い味方と言えます。
また、漢字検定で養った力は就職後も書類や資料の作成などで発揮されます。
ただし、就活を有利に進めたり仕事を円滑化し社内評価を向上させるためだけであれば、一般に2級で十分と言われています。
では、1級を取得しても意味がないかというとそんなことはありません。実は以下のようなメリットがあるんです。
- 就職活動で評価される
- 書類や資料の作成に役立つ
- 精神力や自信がつく
- 日本語力、言語力が磨かれる
なかには漢検1級はあくまで趣味の検定で何の役にも立たないと評するサイトもあります。
しかしながら難関試験に取り組むという自己研鑽から得られる精神力や自信は容易な試験に取り組んだときとは比べ物になりません。
また漢検1級では、長文を正しく読み解き、その中で使われる漢字を読み書きする力も問われます。
漢字能力はもちろんのこと、日本語力、言語力が磨かれる試験であり、少なくともデメリットはありません。
最後に言っておきたいのは、漢検1級に合格したからと言ってなんのメリットがあるのかと問われた時、確かにお金儲けには繫がりませんが、それでもどんな困難にも挫けない忍耐力や、現状維持や既得権の上に胡坐をかいて開拓者精神を失ってしまわずに前向きに前に進もうとする推進力を培ってくれます。そして深い教養や豊かな知恵が身に付きます。
— 佐久間道明 (@habetumosenri) April 29, 2014
「単に漢字の読み書きが出来るだけでは漢字を知っているとは言えない」の指摘はその通りだろう。漢検1級レベルの人なら、漢字史や文字学・音韻学などの基礎知識は必要だし、さらに漢字の勉強が面白くなると思う。
— ひでまろ☆漢賢 (@keiyosen205hm) June 13, 2017
漢検1級のレベル
それでは具体的に漢検1級のレベルというのはどの程度のものなのでしょうか。
合格率、標準学習時間から難易度を推し量ることが可能です。
合格レベルに達するとこの項の最後に示す例のような難題にも対応可能になります。
漢検1級の合格点は160点/200点ですが、合格基準は80%程度、合格率は5〜10%と低いのが実情です。
他の資格試験と比べてもその難易度は高く、漢検1級の偏差値はだいたい69程度と言われています。
勉強時間では、一般には300時間以上と言われていますが、合格者の中には500時間を超える受験者がザラにいるというレベルです。
500時間と言えば、毎日1時間の学習で1年半、毎日2時間学習で8か月程度です。
漢検1級のレベルを具体例で言えば、薔薇や憂鬱などの複雑な字は書けて当たり前。
驟雨(しゅうう、にわか雨のこと)など、聞いた事もない言葉を漢字にする語彙力が必要です。
また、当て字の読みはメインではなく、パソコンが文字化けした時に出てくるような漢字が読めてしまうレベルです。
【読みの問題例】
- 豪猪(やまあらし)
- 伯林(ベルリン)
- 主計(かずえ)
- 蚕簿(まぶし)
- 火魚(かながしら)
- 鎖鑰(さやく)
- 牋翰(せんかん)
- 軫念(しんねん)
- 自鬻(じいく)
- 梭影(さえい)
平成19年度第1回試験問題より作成
一つ下の準一級についても知りたい方はこちらをどうぞ。
漢検1級の勉強法
ここまで漢検1級が高難度であることにばかり触れてきましたが、
「取得のためにどんな勉強をしたらよいのかわからない」
「独学で受験対策をするのは難しいのか」
「スクールなどを受講を検討した方が良いのか」
と考えている方もいらっしゃると思います。
漢検1級を取得するための方法としては、大きく分けて以下の2つがあります。
- スクールや通信講座を受講する
- 独学で勉強する
ここからは、この2つの勉強法をそれぞれ見ていきたいと思います。
漢検1級のスクールや通信講座
実は漢検1級取得者のほとんどはスクールや通信講座を利用していません。
そもそもスクールや通信講座がほとんどないのです。
スクールは小中学生向けの塾で対策講座を行っているのが大半。
大人向けではカルチャースクールに講座を見かけますが、数は少なく地域によっては講座自体ありません。
また通信講座大手では、ヒューマンアカデミーやニチイ、キャリアカレッジジャパンには漢検の講座がありません。
ユーキャンには漢検の講座がありますが、2級までしか対応していません。
公式サイトがあるものでは、漢字検定ゼミナールの講座があります。
あまり聞きなれないとは思いますが、JCI公営経営指導協会は1級に対応した『漢字検定ゼミナール』(文部科学省認定コース)を提供しています。
受講期間は8か月、受講料は31,900円です。
2級コース:第1回~4回(7級~2級)
準1級・1級コース:第1回(準1級)、第2回~第4回(1級)
基礎力が十分ついていて、1級から挑戦したいと言う方よりも、基礎からしっかり学びたい方に合ったカリキュラムになっています。
独学で勉強する場合
スクール・通信講座にしても独学にしても勉強法は変わりません。
漢字学習は小学校で初めて習った時のように、テキストからインプットして問題集にアウトプットしていくという正攻法以外に方法がありません。
他の資格試験勉強でするようなテクニックや裏技はなく、自力でひとつひとつ着実に覚えていくしかないのです。
それにはやみくもに対象漢字を練習していくのではなく、市販されている過去問題集をまずはクリアしましょう。過去問題集には1年分しか問題が掲載されていませんので、過去の版の在庫やプレミア付きの古本を探したり、国会図書館のコピーサービスを利用する猛者もいます。
そこまでするエネルギーがない、という方でも大丈夫、過去問を分野別に整理した演習問題集も市販されていますから、こちらで古い年度もカバーできます。
意外と配点が高く見逃せないのが四字熟語。辞典が販売されていますので、ひとつひとつインプットとアウトプットを繰り返しましょう。
漢検1級独学のおすすめの教材は?
では独学で勉強に臨むには、問題集や辞書はどのようなものを選べばよいのでしょうか。
前述のとおり、独学では勉強の進捗状況に合わせて問題集や利用する辞書を変え、ひとつひとつ身に着けていく必要があります。
また、問題集や辞書以外も駆使して完璧に準備したい、という方もいるでしょう。
ここでは勉強法に適した教材として、以下のような教材を紹介していきます。
- 独学におすすめの書籍
- おすすめのアプリやウェブサイト
漢検1級の書籍
漢検用の試験対策問題集は各社から市販されており、一般の書店で入手できます。
ここからは、日本漢字能力検定協会の出版で、重要と思われるものを学習順に3つご紹介します。
- 過去問題集
- 演習問題集
- 四字熟語辞典
過去問題集
漢検 1/準1級 過去問題集 2021年度版
56ページ ISBN978-4-89096-446-8
定価 1,430円(本体1,300円+税)
まずどんな問題が出るのかおさえたい方はこちらから取り組みましょう。
1年分の過去問がすべて収録されていますので、問題の内容を把握することができます。
演習問題集
漢検分野別 精選演習1級
288ページ ISBN978-4-89096-292-1
定価 1,540円(本体1,400円+税)
様々な問題集のなかでもマストはこちらです。
過去問を分野別に整理して出題しているほか、基礎から応用まで網羅しています。
四字熟語辞典
漢検四字熟語辞典第二版
576ページ ISBN978-4-89096-263-1
定価 3,080円(本体2,800円+税)
漢検1級では、四字熟語が30点分出題されるので、四字熟語を確実におさえておく必要があります。
漢検四字熟語をおさえるにはこちらです。
漢検1級のアプリやウェブサイト
漢検1級の独学の教材は書籍だけではありません。
ここでは、ライフスタイルや進捗状況に合わせて選べるその他の教材を以下の2つご紹介します。
- スマホアプリ
- ウェブサイト
スマホアプリ
【漢検公式アプリ】漢検スタート
対応OS:iOS、Android
販売元:イマジニア株式会社
漢検1級はスマホアプリでも学ぶことができます。
スマホアプリなら、通勤時などのスキマ時間を有効に活用できますから、問題集と併用するのもおすすめです。
ウェブサイト
無料でおすすめのサイトは漢検1級合格者spaceplusKKさんの運営する『漢検1級模擬試験倉庫』。
模擬試験のほか様々な資料が閲覧できます。
難易度は高めなので、問題集等を終わらせた後の仕上げとして取り組むのにおすすめです。
まとめ
漢検1級取得のメリット、レベル、勉強法について紹介しました。
- 漢検は就活対策には2級で十分だが、1級は精神力や言語力が身につく
- 漢検1級は長時間の勉強量を必要とする難関レベル
- 漢検1級の勉強法は独学で問題集を解くのが主
時間はかかりますが、お金はかからず、スキマ時間に学びやすい試験です。
ぜひ次に挑戦する資格の候補として検討してみてはいかがでしょうか。
関連記事