2020年度第2回の漢検2級の合格率は27.3%でしたが、漢検準1級は19.6%と全体の20%を下回りました。
準1級に合格するのは大変なようです。
難しいと言われていても、合格者はいるので決して不可能ではありません。合格するために何が必要なのか知っていきましょう。
・漢検準1級はどんな試験?
・漢検準1級のレベルと合格率
・漢検準1級に合格するための勉強法
・漢検準1級は役に立つ?
を見ていきます。漢検準1級がどんな試験か具体的に分かるようになります。
目次
漢検準1級はどんな試験?
「漢検準1級って他の級とどう違うんだろう」
「漢検準1級の試験内容が気になるな」
このように、漢検準1級について詳しく知りたい方もいらっしゃるでしょう。
・漢検準1級の試験概要
・漢検準1級の出題範囲
を見ていきます。他の級とは違う点もあるためよく確認して下さいね。
漢検準1級の試験概要
概要
名称 | 日本漢字能力検定試験(漢検・漢字検定) |
実施機関 | 公益財団法人日本漢字能力検定協会 |
検定日程 | 年3回 |
場所 | 全国各地(公開会場のみ) |
検定時間 | 60分間 |
検定料 | 4,500円 |
合格基準 | 200点満点中160点(8割) |
漢検準1級の試験を受ける場所ですが、公開会場のみでの試験となっています。漢検2~7級までは、漢検CBT受験が活用できましたが漢検準1級では活用できません。
CBTはコンピューターを使って漢検を受験するシステムですが、都合の良い日程を選んで受検できるので漢検に挑戦するチャンスに恵まれます。
さらに、47都道府県に150以上のテスト会場が設置されている点も魅力の一つです。
ですが、漢検準1級はCBT受験ができないため、年3回の試験日程に縛られます。計画的に勉強をして、合格するレベルまで力をつける戦略が必要になってきます。
漢検準1級の出題範囲
準1級の試験はどんな内容か、気になる方も多いでしょう。どういった内容なのか、漢検準1級の出題範囲を下記の表にまとめました。
出題範囲
漢検準1級 | |
レベル | 大学・一般程度 |
対象漢字数 | 約3,000字 |
審査基準(程度) | 『漢字の読み』『漢字の書取』『故事・諺』『対義語・類義語』『同音・同訓異字』『誤字訂正』『四字熟語』 |
審査基準(領域・内容) | ・常用漢字の音・訓を含め、約3000字の漢字の読み書きに慣れるだけでなく、文章の中でも適切に使える力
・熟字訓、当て字の理解 ・対義語、類義語、同音・同訓異字などの理解 ・国字の理解 ・複数の漢字表記の理解 ・典拠のある四字熟語、故事成語・諺の正しい理解 ・古典的文章の中での漢字・漢語の理解 |
国字という言葉には複数の意味がありますが、ここでは、中国以外で作られた日本独自の漢字のことを指します。
榊(さかき)、笹(ささ)などが国字です。
国字は1,500あると言われていますが、漢検準1級では常用漢字10字に加え30字、全部で40字が対象となります。試験でも1~2問は出題されるようですよ。
漢検準1級のレベルと合格率
「漢検準1級は難しいって聞くけど、実際のレベルってどうなの?」
「合格率ってどうなってるんだろう」
試験を受けようと考えると、このような悩みを抱える方も出てくるかもしれませんね。レベルと合格率を知ることで、今の自分の実力を測る参考になるでしょう。
・漢検準1級のレベルは?
・漢検準1級の合格率は?
を見ていきます。漢検準1級のレベルと合格率が分かり、どれぐらい難しいのか分かりますよ。
漢検準1級のレベルは?
漢検準1級は、大学・一般程度とされています。
他の級と比べることで、準1級がどの程度のレベルなのか見てみましょう。
級 | 漢検3級 | 漢検準2級 | 漢検2級 | 漢検準1級 |
対象漢字数 | 1623字 | 1951字 | 2136字 | 約3000字 |
レベル | 中学校卒業程度 | 高校卒業程度 | 高校卒業・大学・一般程度 | 大学・一般程度 |
資格を生かす | 高校進学に役立つ | 高校・大学の進学に役立つ | 就職に役立つ | 教養 |
準1級レベルの問題は、一般の社会生活で目安とされる常用漢字(2,136文字)を超えています。
読み方も書き方も難しい漢字が多く、見たことはあっても日常で目にする機会の少ない漢字が多いです。
漢字の読み書きが得意であっても、本気で勉強しなければ合格を勝ち取るのは大変でしょう。
漢字準1級の合格率は?
漢検準1級の合格率は20%程度です。ここ数年の志願者数・受験者数・合格者数を合わせて、下記の表に合格率を記載しました。
漢検準1級の受験データ
志願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
2020年度第2回 | 5,408人 | 4,807人 | 943人 | 19.6% |
2020年度第1回 | 0人 | 0人 | 0人 | 0人 |
2019年度第3回 | 6,431人 | 5,469人 | 953人 | 17.4% |
2019年度第2回 | 5,385人 | 4,605人 | 615人 | 13.4% |
2019年度第1回 | 5,799人 | 4,946人 | 760人 | 15.4% |
2020年第1回の試験は、新型コロナウィルス感染症により中止されました。そのため、志願者数から合格率まで、すべて0と記載されています。
漢検準1級の合格率は10%以上ではあるものの、20%以下というなかなか厳しい数字です。5,000人を超える受験者がいても、合格者が1,000人を超えることはありません。
漢検準1級レベルが違くて笑っちゃった
でも面白い— ふぁふ😈 (@Vafpruonirfreak) May 2, 2021
漢検準1級に上がってから、レベルが上がったと感じる方も多いようです。
漢検準1級に合格するための勉強法
漢検準1級は、1級に次いで難しい試験です。勉強をしないで受かった方は珍しいでしょう。
出題される漢字は難しくなり量も増えます。出題範囲すべての漢字を覚えるのは現実的ではありません。
それでは、どのように勉強を進めていけば良いのでしょうか。
・問題集を選んで購入
・計画を立てる
・問題集を1冊徹底的にやり込む
・過去問を使って本試験に慣れる
を見ていきます。勉強するイメージが浮かび、実際に行動に移しやすくなりますよ。
問題集を選んで購入
「漢検準1級の勉強に役立つ問題集って何?」
「なるべく、時間を節約して進めたい」
こういった悩みを抱えている方もいるかもしれませんね。覚えなければならない漢字が山のようにあり、どの漢字も日常生活では見かけないものばかりです。
・史上最強の漢検マスター準1級問題集
・本試験型 漢字検定準1級試験問題集
・漢検 1/準1級 過去問題集
・四字熟語辞典
を見ていきましょう。問題集を選ぶ判断基準ができますよ。
史上最強の漢検マスター準1級問題集
・『カバー率測定問題集 漢検マスター準1級』の改訂第3版。過去24年間の出題を徹底的に分析した出る順問題集
・カバー率85%超なので、この問題集1冊で合格できる
・難しい語句、四字熟語、故事成語など、すべてに意味解説がついている
・別冊「準1級漢字音訓表」がある
・本試験形式の模擬試験を掲載
引用:Amazon
名称 | 史上最強の漢検マスター準1級問題集 |
出版社 | ナツメ社 |
発売日 | 2021/2/10 |
ページ数 | 320ページ |
価格 | ¥1,430 |
漢検準1級受験者に好評の問題集です。
出題頻度順にA・B・Cと出る順で構成されているので、無駄なく効率よく勉強を進められます。
本試験型 漢字検定準1級試験問題集
・漢検準1級の本試験と同じ、出題形式・出題範囲・採点形式の模擬試験18回分を収録
・「解答・解説」は別冊になっているため、答え合わせがしやすく見やすい
・巻末には、「準1級用漢字表」「準1級に出る四字熟語」などの資料がついている
・コピーして使える解答用紙つき
・2020年からの最新試験に対応
引用:Amazon
名称 | 本試験型 漢字検定準1級試験問題集 '21年版 |
出版社 | 成美堂出版 |
発売日 | 2020/11/5 |
ページ数 | 167ページ |
価格 | ¥880 |
模擬試験18回分が収録されているので、多くの問題に触れることができます。安定して合格点を取れれば、本番の試験でも合格圏内に入るでしょう。
漢検 1/準1級 過去問題集
・2020年度実施の各2回分と2013年度第2回実施の各1回分、「漢検」1級と準1級の検定問題
・受検・解答にあたっての注意事項をまとめた「Q&A」が収録されている
・「標準解答」が別冊になっているため、答え合わせに便利
・合格者平均得点や項目別正答率を収録
・「答案用紙実物大見本」付き
引用:Amazon
名称 | 漢検 1/準1級 過去問題集 2021年度版 |
出版社 | 日本漢字能力検定協会 |
発売日 | 2021/3/29 |
ページ数 | 72ページ |
価格 | ¥1,430 |
漢検を実施する機関から販売されている、過去問題集です。実際の検定問題なので本番の雰囲気が味わえ、実力を知ることができるでしょう。
ただし、2020年度実施の各2回分と2013年度第2回実施の各1回分なので、量は少なめです。
四字熟語辞典
・故事成語を含む四字熟語約4,000語
・類義語・対義語を含めると5,000語以上が収録
・日本漢字能力検定に対応する検定級を明示
・熟語の意味、故事成語の出典・由来を簡潔に説明
・見出し熟語を検索するため、使い勝手の良い6つの索引がある
引用:Amazon
名称 | 漢検 四字熟語辞典 第二版 |
出版社 | 日本漢字能力検定協会 |
発売日 | 2012/3/1 |
ページ数 | 576ページ |
価格 | ¥3,080 |
漢検準1級では四字熟語が重要度を増してきます。聞いたことのない難しい四字熟語が多いため、『漢検 四字熟語辞典 第二版』があって助かったという声もあります。
漢検準1級でも役に立ちますが、1級を受験を考えている方は、準1級の受験時から購入して使うと良いそうです。
計画を立てる
漢検準一級に合格するためには、勉強計画を立てた方がうまくいきます。まずは、漢検準1級に受かるためには、どれぐらい時間をかければ良いかを知りましょう。
これは、初めて準1級に挑戦するのか、2級合格後に挑戦するのかで勉強時間が変わってくるようです。
漢検準1級初受験 | 約300時間 |
漢検2級合格後 | 70~300時間 |
上記の表はあくまで目安であり、500時間かけたという方もいれば、50時間程度の勉強でも受かったいう例があります。
勉強時間がどれだけ必要かは、自分がどれだけ漢検準1級の内容を理解しているかによります。次に過去問を最初に解いて、自分の実力を把握しましょう。
『漢検 1/準1級 過去問題集』に収録されている2020年度版の過去問を解くと良いでしょう。2019年度第1回検定であれば、公式サイトから無料で問題を解くことができます。
まずは全問題の内、何割解けるか確かめてみて下さいね。
時間が必要だと感じたら、慌てず余裕のある勉強計画を立てて下さい。
早い人で3ヵ月から半年間勉強して合格する力をつけた方が多いようです。なかには1年以上勉強した方もいるので焦らず取り組みましょう。
問題集1冊を徹底的にやり込む
合格したいと思って問題集を買っても、別の問題集に目移りするかもしれませんね。
まずは1冊の問題集を徹底的にやり込みましょう。ここでは、『史上最強の漢検マスター準1級問題集』を取り上げて解説していきます。
『史上最強の漢検マスター準1級問題集』を取り上げる理由は、以下のような2つの理由があります。
・1冊で合格できる力がつくほどカバー率が高い
・出る順にABCとランクがあるのでマスターしやすい
『史上最強の漢検マスター準1級問題集』を取り上げる理由は、カバー率の高さです、この問題集1冊だけで合格した方もいるくらいなので、やり込んでも損はないでしょう。
逆に言えば、『史上最強の漢検マスター準1級問題集』をやり込まずに合格する力をつけるのは難しいようです。
問題集を隅から隅までやり込むのが一番ですが、最低でも2~3回は繰り返し解いて下さい。
間違えたところは重点的に覚えます。
過去問を使って本試験に慣れる
問題集を通して演習を終えたら本試験のために、さらに力をつけていきましょう。『本試験型 漢字検定準1級試験問題集』や『漢検 1/準1級 過去問題集』を使って本番に強い力をつけます。
『漢検 1/準1級 過去問題集』を使っても良いのですが、収録されている試験数が少ないのが難点です。
その点、『本試験型 漢字検定準1級試験問題集』は、全18回の模擬試験を収録しているので、たっぷり力をつけることができます。
『本試験型 漢字検定準1級試験問題集』も1度解いて終わりではなく、複数回、繰り返し解き、あやふやな知識を確実に自分のものにしていきましょう。
漢検準1級は役に立つ?
漢検準一級で出題される漢字は、日常で使うレベルを超えています。せっかく合格しても何の役に立つのか、自分の知識を生かす場はあるのか気になる方もいるかもしれませんね。
漢検準1級に合格した方のために、漢検生涯学習ネットワークという場を用意しています。
漢検生涯学習ネットワークは、漢検準1級・1級に合格した方のための会員組織です。漢検は1級で終わりますが、これからも漢字に関わりたい方のための研鑽・交流の場になります。
登録料は無料で、インターネット、郵送、FAXで申し込みができます。会員の証として以下のような会員証が届きますよ。
漢検生涯学習ネットワークの会員証が届きました! pic.twitter.com/k7nlRPsTcc
— まいとねりうむ (@IOYRXVFXRM4Irf4) May 18, 2020
それでは、漢検生涯学習ネットワークへ登録したら、一体、何があるのでしょうか。以下の5つが会員特典となるようです。
・生涯学習ネットワーク会員通信の無料購読
・情報誌『漢検ジャーナル』の無料購読
・会員向け漢字・漢字文化に関する生涯学習セミナーの参加
・漢検漢字教育サポーター育成講座の受講
・会員向けメールマガジンサービス
どの特典も漢字が大好きな人にとっては魅力的かもしれませんね。ですが、せっかく得た知識を何かに役立てたいと考える方もいるでしょう。
5つの会員特典のうちの一つ、漢検漢字教育サポーター育成講座の受講がありますが、これは漢検漢字教育サポーターになるための講座です。
漢検漢字教育サポーターは、漢字の勉強を続けてきたからこそできる社会への貢献なんですよ。
学校における放課後や土曜講座での講師、公民館やカルチャーセンターなどで行われる生涯学習講座の講師として、漢字・日本語教育に貢献ができます。
講師として活動したい方は、日本漢字能力検定協会の漢字教育サポーターとして登録すれば、依頼を受けて講師として活動することができます。
漢検は知識を得て終わりではありません。この先、さらに学び自分の得た知識を提供していく楽しみもある検定試験です。
まとめ
漢検準1級とは何か、レベルや合格率、合格するための勉強法、漢検準1級は役に立つのかを見てきました。
・漢検準1級は、大学・一般レベル(対象漢字数3,000字)
・漢検準1級の合格率は20%程度
・漢検準1級に合格するための勉強時間の目安はは300時間
・漢検準1級に合格すると漢検生涯学習ネットワークに登録できる
漢検準1級合格への道は厳しそうです。短期間で合格したという声もあれば、1年以上勉強を続けた方や合格するまでに数回落ちた方もいます。
決して楽な道のりではありませんが、合格した後の達成感は格別でしょう。その後の会員特典など魅力あふれる場が用意されています。
焦らず地道に漢字の勉強を続けて下さい。
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