幼稚園レベルから小学生、中学生、高校生、一般レベルまで細かく階級が設定されている算数・数学検定(正式名称「実用数学技能検定」)。
学校の学習範囲からバランス良く出題されるので、検定のための勉強がそのまま学校で習った算数の復習になると近年人気が上昇しています。
ですが受験を考える中で
「8級は何年生レベル?」
「合格点はどのくらい?」
「どうやって勉強すればいいの?」
「どんなテキストを選べばいい?」
などといった疑問が出てくるかと思います。
今回はそういった疑問を解決するために、次の内容について解説します。
・算数検定8級は何年生レベルか
・試験の合格点
・試験に合格するための勉強方法
・おすすめのテキスト
最後まで読んでいただけると、算数検定8級の試験について概要から対策まで詳しくわかるかと思います。
目次
算数検定8級は何年生レベル?
冒頭でもお伝えしましたが、細かい階級設定がある実用数学技能検定は下記の表のように全部で15階級から構成されています。
その中で8級は小学校4年生レベルの検定となっており、小学校4年生の前半までに習う問題が出題されます。
算数検定 | |||||||
階級 | 6級 | 7級 | 8級 | 9級 | 10級 | 11級 | かず・かたち検定GS/SS |
目安となる学年 | 小学校
6年 |
小学校
5年 |
小学校
4年 |
小学校
3年 |
小学校
2年 |
小学校
1年 |
幼児 |
数学検定 | |||||||
階級 | 1級 | 準1級 | 2級 | 準2級 | 3級 | 4級 | 5級 |
目安となる学年 | 大学
一般 |
高校3年
(数学Ⅲ) |
高校2年
(数学Ⅱ・B) |
高校1年
(数学Ⅰ・A) |
中学校
3年 |
中学校
2年 |
中学校
1年 |
なお、出題される内容は、小学校4年生程度の問題45%、小学校3年生程度の問題45%、検定特有問題10%です。
算数検定8級 試験概要
試験の大まかな内容は次の通りです。
出題数 | 30問 |
合格基準 | 全問題の70%程度 (21問以上で合格) |
検定時間 | 50分 |
検定料 | 個人受験:3,000円、提携会場受験・団体受験2,500円 (各税込) |
検定会場 | 個人受験の場合・・・各都道府県1ヶ所以上
提携会場受験・団体受験の場合・・・日程によって異なる |
検定日 | 個人受験(年3回 4月・7月・11月頃)、
団体受験(年17回程度)、提携会場受験(年14回程度) |
持ち物 | 筆記用具、ものさし(定規)、分度器、コンパス、
証明写真を貼付した受験票 (個人受験・提携会場受験の場合) |
主催 | 公益財団法人 日本数学検定協会 |
8級からは出題数が30問に増加し、検定時間が50分に延長されたため、これまでよりも難易度が上がっています。
また、検定日や受験方法など詳しくは下記公式サイトをご確認ください。
出題される内容は?
出題内容は下記の通りです。
小学校4年生程度の出題 (45%) | |
整数の四則混合計算
少数・同分母の分数の加減 概数の理解 長方形・正方形の面積 基本的な立体図形の理解 角の大きさ 平行四辺形・ひし形・台形の理解 表と折れ線グラフ 伴って変わる2つの数量の関係の理解 そろばんの使い方 など |
身近な生活に役立つ基礎的な算数技能
1.都道府県人口の比較ができる。 2.部屋、家の広さを算出することができる。 3.単位あたりの料金から代金が計算できる。 |
小学校3年生程度 (45%) | |
整数の表し方
整数の加減 2けたの数をかけるかけ算 1けたの数でわる割り算 小数・分数の意味と表し方 小数・分数の加減 長さ・重さ・時間の単位と計算 時刻の理解 円と球の理解 二等辺三角形・正三角形の理解 数量の関係を表す式 表や棒グラフの理解 など |
身近な生活に役立つ基礎的な算数技能
1.色紙などを、計算して同じ数に分けることができる。 2.調べたことを表や棒グラフにまとめることができる。 3.体重を単位を使って比較できる。 |
引用:日本数学検定協会|8級
なお、下記は実際に出題された問題です。
学校の授業では出てこないような問題が出題されます。
大人でも考え込んでしまうような頭を使う問題ですね。
【数学検定・算数検定に挑戦!】今日は算数検定8級(小学校4年程度)の過去問題を出題します!みなさんはこの問題、解けますか?解答はこちらのページに掲載しています。https://t.co/iwxXGQ3qjN pic.twitter.com/OswxGzEWix
— 実用数学技能検定「数検」 (@sugaku_net) June 7, 2017
算数検定8級の合格点は?
公式サイトでは算数検定8級の合格基準は全問題の70%程度と発表されています。
出題数は全部で30問ですので70%では21問です。
さらに配点は1問につき1点となっているため合格点は21点以上となります。
なお、下記のように受験者に後日送られてくる個別成績表には合格点も明記されています。
https://twitter.com/asanos/status/1285196149595373568
算数検定8級の勉強法は?
小学校3年生・4年生で習う内容の他に、検定特有という他では見ないような問題が10%程度出題されます。
特有問題は小学校で習った計算だけでなく単位変換や図形、面積、概数など様々な知識が問われるので、知識を応用し自分で考えて解くことが必要です。
特有問題を効率的にバランスよく学習するためには算数検定8級用のテキストや過去問を利用すると良いでしょう。
なお、出題範囲に含まれている分数や小数の計算、概数、およその数、単位などは小学校3〜4年生がつまずきやすい問題です。
繰り返したくさん問題を解いて慣れていきましょう。
また、全30問の半分以上は文章問題となっているため、計算方法だけではなく文章問題を読み解くための力も必要です。
具体的には次のようなステップで行うと、しっかりと勉強できるかと思います。
① 過去問を解いてみて、勉強すべき分野を把握する
② 苦手分野を集中的に学習する
③ 文章問題の読み解き方を学習する
④ 過去問を繰り返し解く
ではこれらの方法について、一つずつ説明していきます。
① 過去問を解いてみて、勉強すべき分野を把握する
算数検定8級で出題される問題の傾向や難易度を知るためにも、まずは過去問を1回分解いてみましょう。
過去問を解いてみることで、習ったことがない分野や理解できていない問題が把握でき、そのあとに行う学習で力を入れるべき箇所がわかります。
下記の数学検定公式サイトでは、実際に行われた検定1回分の過去問題が無料公開されていますので、苦手対策の問題集を購入する前に取り組んでみるのもオススメです。
PDFでダウンロード後に印刷して使用して下さい。
ご自宅などで印刷ができない場合は、過去の検定問題・解答用紙・模範解答のセットがセブンイレブンやファミリーマート、ローソンなどの大手コンビニチェーンのマルチコピー機から購入・印刷ができます。
価格:1セット300円(税込)
② 苦手分野を集中的に学習する
過去問を解いてみると、分からない問題や間違った問題が出てくるかと思います。次はそういった解き方がわからない問題や苦手な分野を集中的に学習しましょう。
後程紹介する「算数検定8級のテキスト」は、問題の解き方が基本から丁寧に解説されており、練習問題も基礎から応用まで段階を踏んでいるため、苦手分野の克服に最適です。
他にも問題の解き方を基本から理解するためには、簡単な問題からステップアップしていくと効率よく学習でき、自信にもつながりますので、基本学習が必要な方は次の項目で紹介する「基本から理解するためのテキスト」を使って勉強すると確実に学力が身に付きます。
③文章問題の読み解き方を学習する
過去問やテキストの練習問題を解いてみて、文章の読み解きに自信がない場合は、文章問題の読み解き方も学習しましょう。
計算問題と異なり、文章問題は繰り返し問題を解くだけでは上達ができない単元でもあります。
計算としては簡単な問題も、問われている内容が理解できなければ解けないので、しっかりと身につけておきましょう。
文章問題を解くためには次の4つの段階を経る必要があります。
1.問題文を読んで何を問われているのか理解する
2.理解した内容から計算方法を考え、数式を作る
3.数式を計算する
4.計算結果から問題に合わせて解答する
今からこの4つの段階について説明しますので、文章問題が苦手な方は、まずはどの段階でつまずいているのかを知ることから始めましょう。
③-1 問題文を読んで何が問われているのか理解する
文章問題を解く時、文字を目で追うだけでは頭に入ってこないという方が多く見られます。
問題文を読んでも何を問われているのかがわからない場合 、読解力が不足しているかもしれません。
そういった場合、まず何度か声に出して問題文を読みましょう。
スラスラと読めるようになってから何が問われているのかを考えてみると、問題文が頭に入り問われている内容がわかるようになります。
また、問題文の内容を表や図に書いて手を動かすことも効果的です。
手を動かすことにより、問題文の構造を整理することができます。
それでも難しい場合は、お子さんの興味を引く内容を使った文章に置き換えるなどの工夫も良いでしょう。
例えば、問題の登場人物を身近な人に置き換えたり、単語を好きなものに変えるなど、現実的な問題を作ってあげると、問題のイメージが捉えやすくなり、問題に取り組む意欲も高まります。
③-2 理解した内容から計算方法を考え、数式を作る
問題内容が分かっても計算方法がわからない、どの式に当てはめて数式を作ればいいのかわからない場合は、日本語の表現に注目しましょう。
加える・・・たし算
減る・差を求める・うつす・・・ひき算
倍になる・・・かけ算
分ける・何倍かを求める・・・わり算
このように日本語から算数言語へ変換する練習をすることで、どの式に当てはめれば良いかわかるようになります。
③-3 式を計算する
計算をした答えが間違っている場合は、計算問題に繰り返し取り組んで計算の正確性とスピードを向上させましょう。
文章を読み解くのに時間がかかってしまうと、計算が適当になってしまうこともあります。
他にも検定内容に含まれている2けたのかけ算などは焦るとケタがずれるなどのミスを犯しがちです。
そうならないためにも計算の正確性とスピードをある程度向上させる必要があります。
③-4 計算結果から問題に合わせて解答する
計算した数式の答えがあっているにも関わらず、答え方が間違っている場合は、計算しているうちに何を問われているのかを忘れてしまっています。
そういった場合は、計算が終わったら問題文を読み返してから解答すると良いでしょう。
④ 過去問を繰り返し解く
基礎的な問題や文章問題に慣れてきたら過去問を繰り返し解いてみましょう。
算数検定8級の合格には、過去問を何度も解いて問題に慣れることが重要です。過去問は必ず1冊は入手し何度も繰り返し解くことが大事です。
何度も使えるように解答用紙は事前にコピーしておくと良いでしょう。
特に応用問題や特有問題は数をこなして様々なパターンの問題に慣れておくと安心ですね。
また、問題を解くだけでなく、答え合わせをした後は間違えた問題の解説を読み、自分でもう一度解いてみるなど復習しましょう。
苦手分野も何度も繰り返しとくことで、しっかりと身につけることができます。
なお、算数検定8級では時間が足りなくなってしまう方もいらっしゃるので、何度か模擬試験のように時間を計って練習しておくと良いでしょう。
算数検定8級のテキスト・問題集を解説!
上記で紹介したような算数検定の勉強をする上で必要となってくるテキストや問題集は、検定主催の日本数学検定協会や他の出版社から色々と出版されています。
自分にあったものを選ぶためには、実際に書店などで中を確認してから購入すると良いでしょう。
しかし、なかなか書店に行けなかったり、近くの書店に置いていない場合もあるかと思います。
そういった方や書店でそれを買ったらいいか分からない方に向けて、Amazonなどのネット通販で気軽に購入できるおすすめのテキストを前項の勉強方法で説明したステップ別に当てはめて紹介します。
②で使用する問題の解き方を基本から理解するためのテキスト
③で使用する文章問題の読み解く力を養うためのテキスト
④で使用する過去問が収録されている問題集
なお、より最新の出題傾向を得るためには発売日がなるべく新しいものを選ぶと良いでしょう。
問題の解き方を基本から理解するためのテキスト
ステップ2で使用するテキストを難易度別に2冊紹介します。
受験される方のレベルに応じて選ぶと良いでしょう。
引用:Amazon
親子ではじめよう算数検定8級
難易度:低
2017年7月1日発売
990円(税込)
解説がとてもわかりやすく、算数に苦手意識をもちはじめた方にも読みやすい一冊です。
単元ごとに「説明」「例題」「練習問題」の3ステップで勉強でき、最初に読む参考書としておすすめです。
検定で出題される問題は半分ほどが図形や文章問題なので、それに対応し図形・文章問題が多く掲載されています。
引用:Amazon
実用数学技能検定 要点整理 算数検定8級
難易度:普通〜難しい
2019年4月1日発売
1,100円(税込)
単元ごとに問題の解き方を先生が教えてもらうようにわかりやすく説明されている一冊です。特有問題にも対応しています。
基本問題から応用問題、発展問題へと順を追って練習問題を解くことで、内容をきちんと理解しているかを確認しながら勉強を進められます。
文章問題の読み解く力を養うためのテキスト
勉強方法のステップ3で使用するテキストを1冊紹介します。
引用:Amazon
実用数学技能検定 文章題入門帳 算数検定8級
難易度:普通
2015年10月1日発売
1,100円(税込)
文章問題の読み解き方を丁寧に解説しており、文章問題が苦手な方にもわかりやすくおすすめです。
例題、練習、確認テストと段階的に構成されています。
ただし問題と同じページに模範解答が書かれているので、問題を解く前に解答を見ないための工夫が必要です。
過去問が収録されている問題集
勉強方法のステップ4で使用する過去問題集を3冊紹介します。
3冊とも実際に過去に出題された問題がそのまま収録されています。
引用:Amazon
実用数学技能検定 過去問題集 算数検定8級
2021年4月30日発売
880円(税込)
多くの書店で取り扱われ、一番支持されている問題集です。
2020年に実施された6回分の検定過去問が収録されており、最新の試験に沿った試験対策ができます。
解答だけでなく詳しくてわかりやすい解説もあり、間違えた問題も解説をよく読めば理解しやすくなっています。
解答用紙は取り外せますが、サイズが小さいため使用する際は解答用紙を本試験と同じA4サイズに拡大するか、購入特典としてダウンロードできるので使用すると良いでしょう。
引用:Amazon
実用数学技能検定過去問題集 算数検定8級
2017年2月17日発売
880円(税込)
一つ古いバージョンの過去問題集です。
最新の過去問題集を何度も解いて正答率も高くなったけど、過去に出題された他の問題も知りたいという方におすすめです。
引用:Amazon
算数検定8級実用数学技能検定過去問題集
2013年4月1日発売
880円(税込)
出版されてから長期間経っていますが、算数検定でよく出題される問題が単元ごとにポイントをおさえて解説されています。
また、正答率も掲載されているので、難易度が高く間違えやすい問題の対策として他の問題集を終えたあとに行うとより深い内容の学習ができます。
まとめ
今回は算数検定8級の下記の内容について解説しました。
・算数検定8級は小学校4年生レベル
・合格基準は70%、合格点は21点以上
・過去問を解いて勉強すべき分野を把握し、テキストや過去問題集を使って勉強する。
・テキスト、過去問題集は日本数学検定協会が出版しているものがおすすめ
積み上げ式教科の算数は、つまずいたり苦手に感じやすい教科です。
特に小学校4年生ごろは算数に苦手意識を持ち始めるお子さんが多いと言われています。
算数検定は学校で習う範囲を網羅しているので、予習としてはもちろん、復習としてつまずき箇所を認識して勉強し直すことがができる点でもおすすめの検定です。