LPICは世界最大のLinux技術者の認定資格です。
「名前は知っているけど、詳しくはどういう資格なの?」
「取っても意味がないって本当?」
「もし資格を取ろうと思ったら、どのように勉強したら良いの?」
などの疑問を持っている人も多いと思います。
そこで今回は、LPICについて以下の内容を解説していきます。
・LPICとはそもそもどんな資格か
・取得しても意味がないって本当なのか
・資格取得のための勉強方法について
LPICという資格が気になっている人や、取得を検討している人などにとって参考になる記事になっているので、ぜひ最後までご覧下さい。
目次
LPICとはどんな資格?
LPIC(エルピック)とは、Linuxの技術者であることを認定する民間資格であり、正式名称は「Linux Professional Institute Certification」です。
LPICの特徴としては以下の点が挙げられます。
LIPCの特徴
・ベンダーやメーカーに依存せず、中立的な立場でLinux技術の認定が行われる
・国際標準の認定であり、世界共通の資格である
LPICは世界標準のIT資格として、これまでも全世界でたくさんの人が受験して、資格を取得してきています。
LPIC取得者の中でも日本人の数は多く、全世界の30%程度となっています。
LinuCとの違いは?
LPICが気になっている人であれば、「LinuC」という名前を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
LinuCもLPICと同様で、Linux技術者資格となっています。
違いとしては、LinuCは日本国内に特化した試験になっているということです。
もともと日本でLPICを運営していたLPI-Japanが、2018年から独自に開始した資格試験となっています。
どちらの資格も、求められる知識に大きな差はありませんが、世界に通用するという意味ではLPICのほうがおすすめの資格と言えるかもしれません。
今回は、LPICに焦点を当てて話を進めていきます。
LPIC試験の概要
LPICの試験を運営しているのは、カナダに本部がある非営利組織であるLinux Professional Institute(LPI)です。
日本国内では、以前までLPI-Japanが試験の運営をしていましたが、2018年からはLPIが設立したLPI日本支部が試験の運営事務を行っています。
LPICの資格はレベル1~3までの3段階あり、難易度が簡単な方からLPIC-1、LPIC-2、LPIC-3となっています。
LPICの難易度
・LPIC-1
・LPIC-2
・LPIC-3
難易度別に試験があるので、それぞれ上記の内容について見ていきましょう。
LPIC-1 Linux管理者
LPIC-1は、まだ技術者としての経験が浅い入門者向けの資格です。
この資格では、実務で必要となるLinuxの基本操作やシステム管理が行えることを証明することができます。
レベル1には101試験と102試験があり、LPIC-1の資格を取得するためにはどちらの試験にも合格する必要があります。
それぞれの試験の内容は以下の通りです。
101試験の出題内容
・システムアーキテクチャー
・Linuxのインストールとパッケージ管理
・GNUとUnixコマンド
・デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準
102試験の出題内容
・シェルとシェルスクリプト
・ユーザーインターフェースとデスクトップ
・管理タスク
・必須システムサービス
・ネットワークの基礎
・セキュリティ
どちらの試験も出題数は約60問で、試験時間は90分です。
合格基準は明確になっていませんが、65~75%程度と言われています。
受験料はそれぞれ15,000円となっています。
LPIC-2 Linuxエンジニア
LIPC-1を取得していることが受験の前提条件で、Linuxのシステム管理やサーバー管理のスキルがあるエンジニアが対象となっている資格です。
Linuxのシステムデザインやネットワーク構築に関する技術を持っていることを証明することができます。
レベル2には201試験と202試験があり、LPIC-1同様、LPIC-2を取得するためにはどちらの試験にも合格する必要があります。
出題内容は以下になります。
201試験の出題内容
・キャパシティプランニング
・Linuxカーネル
・システムの起動
・ファイルシステムとデバイス
・高度なストレージ管理
・ネットワーク構成
・システムの保守
202試験の出題内容
・ドメインネームサーバ
・Webサービス
・ファイル共有
・ネットワーククライアントの管理
・電子メールサービス
・システムのセキュリティ
こちらの試験も、101試験と102試験同様、出題数約60問、試験時間90分、合格基準65~75%程度で、受験料15,000円となっています。
LPIC-3 Linuxプロフェッショナル
LPIC-2の資格を取得していることが受験の前提条件です。
レベル3には300試験、303試験、304試験があり、LPIC-1、2とは異なり、どれか一つの試験を合格することができれば、LPIC-3の資格を取得できます。
300試験に合格すると、Linux・Windows・Unixが混在しているシステムの設計や構築などができる、エンジニアのエキスパートであることが証明されます。
300試験の出題内容
・OpenLDAP の設定
・OpenLDAPの認証バックエンドとしての利用
・Sambaの基礎
・Sambaの共有の設定
・Sambaのユーザとグループの管理
・Sambaのドメイン統合
・Sambaのネームサービス
・LinuxおよびWindowsクライアントの操作
303試験では、セキュリティレベルが高いコンピュータシステムの設計や構築などができる、エンジニアのエキスパートであることが証明されます。
303試験の出題内容
・暗号化
・ホストセキュリティ
・アクセス制御
・ネットワークセキュリティ
304試験では、クラウドコンピューティングシステムなどの仮想化技術や高可用性システムの設計や構築などができる、エンジニアのエキスパートであることが証明されます。
304試験の出題内容
・仮想化
・高可用クラスタ管理
・高可用クラスタストレージ
いずれの試験も、出題数約60問、試験時間90分、合格基準65~75%程度です。
レベル3の試験の受験料は以前までは全て30,000円でしたが、2019年5月に価格改定を行い、現在はLPIC-1、2と同額の15,000円となっています。
LPICを取得しても意味ないって本当?
LPICは取得しても直接の収入アップなどには繋がりにくいですが、資格を取得しようとする人の立場によってはメリットがある資格です。
エンジニアとして働く上で、スキルアップをして昇給を目指す人も多いでしょう。
そのような場合、LPICなどの資格を持っていることよりも、実務経験を積んでいることの方が重要視されることが多いです。
資格だけ持っていて実務経験がほとんどないような状態では、収入アップには繋がりません。
そういう意味で、LPICも同様に資格だけ取得しても意味がないと言われているようです。
しかし、LPICを取得することで、Linuxを扱う知識や技術が身に付くことは間違いありません。
社会的にそれほど意味がないと言わていても、自分が働く上ではきっと役に立つものとなるでしょう。
また、Linuxに関する知識を持っているということと、資格を取ろうという向上心や目標に向かって努力できる人という裏付けにもなります。
そういった点では、未経験者で、もしインフラエンジニアとして働きたいと思った場合、この資格を持っている方が就職に有利に働く可能性があります。
どんなところで活かせるのか?
LPICはLinuxの認定資格なので、Linuxエンジニアとして仕事をするとしたら、幅広く活かせる場面が出てくるでしょう。
Linuxはプログラムが公開されているオープンソースであり、無償で利用できることなどから、多くのサーバーやコンピュータ、家電製品などに利用されています。
また、Linuxに関わる仕事ではないとしても、職場内でLinuxを使用した業務ツールや設備がある場合、これを管理することができることは、会社の中でも重宝される存在となるでしょう。
LPIC取得のデメリット
前述のように、LPICを取得することでメリットを得られる人たちもいます。
しかし、受験料が高額であることや、試験合格後の認定に有効期限があるなどのデメリットもあります。
お金や勉強時間を掛けて取得する訳ですから、このようなデメリットを踏まえた上で、自分にとって有効な資格になるかどうかを考えてみると良いかもしれませんね。
LPICを取得するために必要な勉強時間は?
エンジニア経験者か、全くの未経験かで、どれくらいの勉強が必要か変わってきます。
また、LPIC-1~3のどの試験かによっても勉強期間は変わってくるでしょう。
レベル1試験合格のための勉強時間
未経験者であっても独学で十分合格可能な難易度となっています。
丸暗記の勉強だけで合格できる人もいるようです。
勉強時間の目安は、初心者であれば1日に1~2時間、約2~3ヶ月程度の勉強が必要であると言われています。
難易度が易しいといっても、出題範囲はなかなか広く、インフラエンジニアとして働いていたとしても日常業務の中で触れることのない知識も問われます。
なので、経験者であっても、全く対策せずに試験に臨んで不合格になってしまったという人もいるようなので、それなりの対策は必要です。
レベル2試験合格のための勉強時間
Linux初級~中級者向けの難易度の試験になっています。
レベル2の試験に合格するための勉強時間の目安は、3~6ヶ月程度とされています。
レベル1試験の出題範囲の広さに加えて、求められる知識の内容も深くなるため、丸暗記だけでの合格は難しくなってきます。
レベル3試験合格のための勉強時間
Linux中級~上級者向けの難易度の試験になっています。
インフラエンジニアのスペシャリストを目指す人が試験に臨んでいることが多いです。
レベル3の試験に合格するための勉強時間の目安は、6ヶ月~1年程度です。
LPIC取得のための勉強方法は?
LPICの試験に向けて勉強するために、まずLinuxを触れる環境を作りましょう。
実際に触りながら勉強することで、効率よく理解することができます。
Linuxの仮想環境を導入することができる参考書があるので、この後ご紹介していきます。
その後は、それぞれのレベルに合わせた参考書や問題集で勉強していくのがおすすめです。
参考書を読みながら、実際にLinuxを動かしていきます。
暗記することも多いので、勉強した内容が頭に入っているかを確認するためにも、問題集を解いていってみましょう。
初心者の場合は、専用のWebサイトで勉強するという方法もあります。
おすすめの参考書や問題集、学習Webサイトについて下記にてご紹介します。
おすすめの参考書や問題集
LPIC取得のための勉強に役立つ参考書や問題集をご紹介します。
引用:Amazon
1週間でLPICの基礎が学べる本 第3版
出版社:インプレス
価格:2,640円(税込)
Linux初心者向けの参考書です。
実際にコマンドを実行しながらの勉強ができるように、仮想環境の導入方法についても記載されていて、Linuxにほとんど触れたことがないという人にもお勧めの一冊です。
引用:Amazon
徹底攻略 LPI問題集 Level3[300]対応(ITプロ/ITエンジニアのための徹底攻略)
出版社:インプレス
価格:3,520円(税込)
重要項目を中心とした問題構成で、最短の合格を目指せる一冊となっています。
先に紹介した、「Linux教科書 LPICレベル3 300試験」との併用をおすすめします。
初心者向けの学習Webサイト
LPIC-1取得に向けて、Web上で学習できるサイトもあるので、いくつかご紹介します。
ユーザー登録をするだけで、101試験対策が無料でできます(102試験は有料)。
問題数が多いことと、正解回数に合わせて金銀銅と色付けされるので、自分の苦手とする問題を見つけやすく、勉強の大きな手助けとなるでしょう。
LinuC用の学習サイトとなっていますが、LinuCもLPICもほぼ出題範囲は同じなので、LPICの学習にも役立ちます。
101試験と102試験の参考書と問題集が網羅された内容となっています。
まとめ
LPICがどんな資格であるか、取得する意味があるかどうかや、勉強方法について解説してきました。
・LPICとは、Linuxの技術者であることを認定する民間資格である
・LPICは取得しても直接の収入アップなどには繋がりにくいが、資格を取得しようとする人の立場によってはメリットがある資格である
・勉強方法は、LPIC-1~3のレベルに合わせた参考書や問題集で勉強する
・LPIC-1に関しては、専用の学習Webサイトを利用して勉強することができる
解説してきた通り、LPICを取得することでLinuxについての知識や技術を身に付けることができます。
それをどう活かせるかを考えて、自分のためになりそうだと思ったら、ここで紹介した勉強方法を試してぜひLPIC取得を目指してみて下さい。
ここでの記事が、参考になりましたら幸いです。