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システム監査技術者の難易度や勉強時間の目安、独学での勉強法は?

近年社会のIT化が進み、人々の生活が便利になる一方で、システムの脆弱性や運用面のミスを原因としたトラブルが後を絶ちません。

大手銀行の大規模なシステムトラブルなどが記憶に新しい方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

システム監査技術者は、そういったシステムトラブルを事前に回避し、情報システムの安全性を高める役割を担っています。

 

このように社会にも貢献できるシステム監査技術者について、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。

「試験は難しいの?」

「勉強時間はどのくらい?」

「独学で勉強する方法は?」

など、色々と気になるかと思います。

 

そこで今回は

・システム監査技術者とは

・試験の難易度

・合格するために必要な勉強時間の目安

・独学での勉強法

このような内容について詳しく解説します。

 

システム監査技術者とは?

システム監査技術者試験(AU)は、IPA情報処理推進機構が主催する高度情報技術者試験のひとつ、システム監査分野の国家試験です。

 

合格すると監査人や情報システムの責任者の立場を担える人材であるという証明となります。

システム監査技術者の役割

システム監査技術者は企業が使用している情報処理システムにおいて、次のような内容を総合的に点検・評価を行います。

・システムを経営に十分活用できているか

・障害発生のリスクはないか

・不正アクセスや災害への対策は万全であるか

 

また監査結果をもとに、損害を未然に防ぐためのシステム改善にむけたアドバイスをする役割を担っています。

なお、必ず監査対象から独立した立場で第三者的視点によって監査を行います。

システム監査技術者試験とは?

システム監査を総合的に評価できる人材かどうかが判定されるため、監査人や情報システム責任者などの利害関係者に説明責任を果たす役職を目指す人に最適な試験です。

 

また、問題点について改善勧告やフォローを行う能力も問われます。

事故を未然に防ぐ立場のため、IT機器のソフトウェア・ハードウェアの仕組みや構造に関する相当な知識も必要です。

 

なお、合格者の平均年齢は情報処理技術者試験で一番高く、毎回40歳を超えています。

つまりそれだけIT業界への深い知識や理解、実務経験が必要になる試験だと言えます。

試験概要

試験実施時期 秋季10月第3日曜日
願書申込受付期間 例年7月中旬〜8月中旬
合格発表時期 例年12月下旬
受験料 5,700円 (税込)
受験資格 なし
受験地 各都道府県 主要都市
受験申込・問合せ 情報処理技術者試験センター TEL 03-5978-7600
ホームページ IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 情報処理技術者試験

https://www.jitec.ipa.go.jp/

 

システム監査技術者試験の難易度は?

情報処理技術者試験制度はスキルレベル1〜4まであり、システム監査技術者試験はスキルレベル4に相当する高度情報処理技術者試験に含まれます。

偏差値や合格率は?

難易度は偏差値70とされており、非常に難関となっています。

国家試験の中でも最難関級で、公認会計士、税理士試験、国家公務員総合職採用試験と同等レベルと言われています
資格の専門家

 

合格率は毎回15%前後となっており、実務経験者でも合格は難しい試験です。

上の投稿の発言者は50種類もの難関資格・試験に合格されていますが、その中でも難しかったとおっしゃっています。

 

過去5年間の合格率に関する推移は以下の通りです。

年度 応募者数 受験者数 合格者数 合格率
2016年度春期 3,635人 2,524人 360人 14.3%
2017年度春期 4,151人 2,862人 433人 15.1%
2018年度春期 4,253人 2,841人 408人 14.4%
2019年度春期 4,175人 2,879人 421人 14.6%
2020年度10月 2,350人 1,702人 260人 15.3%

なお、受験者の多くはIT実務者であったり、既に応用情報技術者試験や他の高度情報処理技術者試験に複数合格しており、受験者の全体的なレベルは非常に高くなっています。

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省庁・官庁でも職位任用や階級評価試験として利用されているんですよ
資格の専門家

難易度が高い理由は試験の範囲と形式

システム監査技術者試験は他の高度情報技術者試験と比較しても出題範囲が広く、形式も四肢択一式・記述式・論述式と多岐にわたります。

これが難易度を高くする要因と言えるでしょう。

 

具体的には、まず、試験は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4つに分かれており、全ての試験が1日で行われます。

下記は各試験の試験時間及び出題形式です。

引用:IPA情報処理推進機構 システム監査技術者試験

合否は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰは100点満点中60点以上、午後Ⅱは成績ランクAで合格となります。

 

出題範囲は専門性が高く、アルゴリズムなどのテクノロジ系・内部統制などのマネジメント・マーケティングを含むストラテジ系の3分野にもおよびます。

資格取ろうか悩んでる人
難しそうですね
そうですね、しかし受験者のほとんどはシステム監査の未経験者なので、皆さん頑張って受験されています
資格の専門家

 

システム監査技術者試験に必要な勉強時間の目安は?

合格者の体験記などによると、システム監査の実務経験やITの知識がある人の多くは100時間ほどの勉強時間で合格されています。

 

しかしシステム監査技術試験の勉強目安時間は人によって差が生じやすく、受験者の基礎スキルや実務経験によって大きく異なります。

 

60時間程度で合格できたという人もいれば、100〜300時間、中には1000時間以上かかったという人もいます。

 

合格者の多い「100時間」を目安にご自身の基礎スキルや経験を考慮し、また、実際に過去問をやってみてそれぞれに必要な勉強時間を設定してください。

 

ちなみに100時間というと毎日1時間勉強するとして、3ヶ月半程度の勉強期間が必要となります
資格の専門家

 

なお、システム監査技術者試験の主な受験者は経験豊富なIT技術者、実務経験者であるにも関わらず、合格率は15%前後ですので、ITに関する知識のない人が合格するのは大変難しいでしょう。

上の投稿のように、100時間の勉強時間というのは、システム監査技術者の勉強を始めるまでにITの知識を得ていることが前提条件です。

ITの知識が全くない人の場合、初めからシステム監査技術者試験の勉強をするのではなく、まずはITパスポートや基本情報技術者試験の合格を目指しましょう。

 

独学でシステム監査技術者試験に合格するための勉強方法

システム監査技術者試験は、独学でも合格を目指せます

ただしシステム監査技術者試験の難易度は前述の通りとても高いため、勉強法は徹底しなければなりません。

試験ごとの参考書や過去問、問題集で勉強を進めると良いでしょう
資格の専門家

 

ここでは下記の内容をご紹介します。

・独学で勉強する際のポイント

・午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱ 各試験の勉強法

勉強のポイントを押さえて最短合格を目指しましょう。

独学で勉強する際のポイント

まず、2018年(試験としては2019年)からシステム監査基準とシステム管理基準が大幅に改定されています。しっかりと最新の知識を持って試験に挑みましょう。

「システム監査基準」及び「システム管理基準」の改定について(経済産業省)

 

システム監査技術者試験での最大の難関は論文の問題がある午後Ⅱの試験です。

 

午前の試験は隙間時間に過去問を覚えて、午後Ⅱ試験の論文対策にとにかく時間をかけることが大切です。

 

なお、過去問はIPAの公式サイトからダウンロードできます。

IPA 情報処理推進機構 過去問題

 

それから、これは他の試験勉強にも共通しますが、独学で勉強する際にはスケジュール管理やモチベーションの維持が重要となってきますので、次の方法で勉強を進めると良いでしょう。

・1週間ごとのタスクをノートやスマートフォンに記し、いつでも見られるようにする→やるべきことが常に明確化される

・短期間ごとに目標点数や正解数を設定しておく→毎日達成感を得られ、モチベーションを長期間維持できる

長期間の勉強は大変ですが、毎日コツコツ勉強することをおすすめします。
資格の専門家

午前Ⅰ対策 とにかく過去問を覚える

午前Ⅰ試験は四肢択一問題で30問出題されます。

なお、試験は高度情報処理技術者試験共通となっており、すべての分野から出題されます。

 

午前Ⅰ試験に関しては、過去問を丸暗記するの一番効率の良い勉強法です。

なぜかというと、IPAの情報処理技術者試験の午前問題の傾向として、既出の用語は過去問がそのまま出題されているためです。

 

この時注意してほしいのが、高度情報技術者試験の過去問ではなく、同じIPA主催の応用情報技術者試験の過去問を勉強するということです。

 

午前Ⅰで出題される問題は、応用情報技術者試験で出題される問題の中から抽出されているため、より多くの問題に触れることができるでしょう。

 

具体的な勉強法としてはIPAの過去問PDFファイルをダウンロードして印刷し、暇な時間を見つけて数をこなすと良いでしょう。

特に過去3年分はしっかり覚えておくと良いです
資格の専門家

 

過去問の答えを丸暗記し直感的に解答するためには、公式サイトの過去問がおすすめですが、隙間時間には手軽なアプリなどを活用するのも良いですね。

 

ただし、過去問から再出される問題だけでは合格ラインの60%を上回るのは難しいため、参考書にも一通り目を通しておきましょう。

 

AI、IoT、ビッグデータ関連は新しい用語がこれからも出てくると思われます。日頃からIT関連の話題には注目しておくと良いですね
資格の専門家

午前Ⅱ対策 過去問の暗記と用語の理解

午前Ⅱ試験も四肢択一問題で25問出題されます。

 

午前Ⅱ試験に関しては、過去問の暗記とシステム監査分野の用語の理解が重要となってきます。

 

過去問の暗記だけでなく用語の理解を行うことによって午前Ⅱの勉強とともに、午後問題対策も同時に行うことができます。

 

過去問はシステム監査分野の問題は平成21年度から全て目を通し、確実に正解できるようにしておきましょう

 

システム監査分野以外(法務や経営戦略マネジメント、企業活動の分野)の問題も出されますので、他区分の過去問もできる限り暗記しておくのがポイントです。

午後Ⅰ試験対策 過去問を繰り返し解いて理解を深める

午後Ⅰ試験は記述式で3問出題され、そのうち2問を選択し解答する形式です。

1問につき設問が5つほどあり、各設問限られた文字数以内で解答します。(25文字以内、40文字以内など)

 

午後Ⅰ試験に関しては、参考書や午前Ⅱ対策でシステム監査に関する知識をある程度覚えたら、午後Ⅰ試験の過去問を解き、解説の確認を繰り返しましょう。

 

なお、ここで重要となってくるのは「システム監査人としての立場からの解答」です。

実際には実務者でなくても、自分がシステム監査を行う立場の人間であるという目線で解答して下さい。

午後Ⅱ対策 システム監査・管理について理解を深め論文を繰り返し書く

午後Ⅱ試験は、論述式(小論文)で2問出題され、1問を選択します。

問題というよりは論文のテーマと捉えるとよいでしょう。

 

ここでも重要となってくるのは、システム監査基準とシステム管理基準についての理解と「システム監査人としての立場からの解答」です。

設問には、「あなたが担当したシステム監査は」という文言があります。実際に監査を行ったことがなくても、必ず監査人実務者として解答してください。

 

そのためにもまずは、先にも紹介しました経済産業省のサイトからPDFをダウンロードして読み込んでください。

「システム監査基準」及び「システム管理基準」の改定について(経済産業省)

 

また、システム監査技術者は、信頼性・安全性・効率性など様々な観点から多角的に監査活動を行います。各観点のポイントは下記の通りです。

信頼性

・情報システムが十分な品質を有しているか。

・万が一障害が起こっても、会社や顧客への被害が最小限になるよう設計がなされているか。

・情報のバックアップは何重にもしかれているか。

安全性

・自然災害などの発生時におけるシステムは保護されるか。

・外部からの不正アクセスに対抗できるセキュリティ体制が整っているか。

効率性

・企業活動においてシステムは十分な収益を確保できているか。

 

さらに、論文を書くために必要な文書構成の技法もしっかりと身につけ、論文を数多く書いて対策しましょう。

 

当日は答案用紙に論文を手書きすることになるため、論文に慣れてきたら、本試験と同じ120分以内に書けるように、タイマーをセットしてレポート用紙や原稿用紙に練習しましょう。

論文作成のコツを掴んで合格を目指しましょう
資格の専門家

 

システム監査技術者試験の勉強におすすめの参考書

独学にはどのような参考書を選ぶかが大きなポイントとなってきます。

ここでは、試験の全体像の把握と、午前・午後それぞれの試験の勉強におすすめのテキストをご紹介します。

 

なお、2018年(試験としては2019年)からシステム監査基準とシステム管理基準が大幅に改定されたため、参考書はそれ以降に発売された最新ものを購入しましょう。

システム監査の全体像について知るための参考書

システム監査とは何か、監査の目的や目標、全体像を知るために最初に読んでほしい参考書です。

引用:Amazon

よくわかる システム監査の実務解説 第3版

島田 裕次 著 (同文館出版)

 

システム監査の概念、手続きの流れについて詳しく記載され、実務経験がない人でも理解できるような内容となっています。

午前Ⅰ・午前Ⅱ対策におすすめの参考書

午前の試験対策としては基本的に過去問を覚えることが重要となってきますが、学習方法の把握や新出問題対策として参考書にも目を通しておきましょう。

おすすめの参考書を2冊ご紹介します。

引用:Amazon

情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ 2021年版

落合和雄 著 (翔泳社)

 

これ1冊で午前試験突破できたという声が多い一冊です。

過去問から午前Ⅰ・午前Ⅱに出題されやすい問題を予想しており、その的中率は50%を超えることもあります。

解説もしっかりしており、午前Ⅱの用語理解もできます。

勉強を始める前に、参考書序章の「出題傾向と対策」を読むと効率よく勉強できるでしょう。

 

 

引用:Amazon

ポケットスタディ 高度試験共通 午前Ⅰ・Ⅱ対応

村山直紀 著 (秀和システム)

 

新出問題の選択肢を削るテクニックや記憶に定着させる配慮が魅力的な一冊です。

またポケットサイズのため移動中などに持ち運んで学習できます。

電子書籍版もありますが、紙版の方が使い勝手が良いとの口コミもあります。

午後Ⅰ・午後Ⅱに対策におすすめの参考書

午後試験の勉強におすすめの参考書を3冊ご紹介します。

実務経験のない人にとっては、システム監査人としての視点を得ることが前提条件となってきますので、しっかり身につけてください。

引用:Amazon

情報処理教科書 システム監査技術者 2021-2022

落合和雄 著 (翔泳社)

 

午後Ⅰ・午後Ⅱの解答テクニックが充実しています。

午後Ⅰの文章の読み解き方や、午後Ⅱの論文の構成方法や書き方のコツ、重要ポイントがまとめて確認できるチェックリストがついて、午後を重点的に対策できます。

 

引用:Amazon

ALL IN ONE パーフェクトマスター システム監査技術者 2021年度

TAC情報処理講座 著 (TAC出版)

 

午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの攻略テクニックが詰まっています。

資格の学校TACオリジナルの参考書です。

午後Ⅰの長文の読み解き方、午後Ⅱの試験特有の論述法などが学べ、Ⅰ冊で午前午後全ての試験に対応できるテキスト&問題集です。

午前Ⅱ対策にはよく出るキーワードや過去問演習が掲載されています。

 

引用:Amazon

システム監査技術者「専門知識+午後問題」重点対策

川辺良和 著 (ITEC)

 

午後Ⅱ対策の論文のサンプルが豊富です。

現役監査人の視点での解説やコラム、テクニックなどが盛り込まれた試験対策書です。

 

まとめ

今回はシステム監査技術者の次の内容について解説しました。

・試験の難易度は非常に高い

・合格するためには、まずは100時間を目安に勉強する

・午前試験は過去問を暗記、午後試験はシステム監査の考え方を身につける

 

システム監査技術者は難易度が高い試験ですが、合格すれば専門知識と技術力の証明となります。

また、将来的にも需要がある職業のため、就職、転職、副業にも有利ですのでエンジニア職やこれからエンジニアを目指す人におすすめの試験です。

 

この記事がシステム監査技術者受験を考える方にとって、お役に立てれば幸いです。

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