トレース技能検定は、デジタル化が進む中、建築やデザインに興味を持っている人は、CAD資格と共に取得したい資格の一つになっています。
しかし、資格名からではどんな資格か想像しにくいため、
「トレース技能検定って何?」
「難易度はどのくらい?」
「独学でも合格できる?」
など疑問があると思います。
そこでこの記事では、トレース技能検定とは何か、難易度はどのくらいなのか、独学で合格できるのかということを中心に解説します。
トレース技能検定とは
ではさっそく、トレース技能検定について簡単に解説します。
トレース技能検定とは、一般財団法人中央工学校生涯学習センターにより主催されている、トレース技能審査基準に基づいて行われる検定試験です。
トレースは、簡単に言えば、とレッシングペーパーのような薄い紙に、図面を鉛筆などを使って書き写す作業のことです。
トレースを行う人のことを、トレーサーと呼びます。
正直、図面を書き写す作業ができれば、誰でもトレーサーを名乗ることができます。
とはいえ、何の技術がない人にトレーサーと名乗られても困ってしまいますので、トレーサーとしての技術が十分にあることを証明するために、トレーサー技能検定があります。
トレーサー技能検定試験に合格していれば、次のようなことが証明できます。
・建築・土木・機械など様々な分野において、設計の専門家によって描かれた図面をもとにして、それらをより正確な図面に清書する技能を持つ。
・正確な図面を描くために必要な製図版、三角定規、T定規、製図用鉛筆、製図用インク、トレース用紙などの専用の道具を使いこなせる。
・一定のスピード感を持ってトレースができる。
この検定試験は4級から1級まとで4種類の受験級があり、資格として就職に活かすなら、2級以上の合格を目指したいところです。
資格を取得していると、デザイン事務所や建築業界、出版業界、電気・自動車系企業の設計部門の就職に有利となります。このような業界に興味がある人にとっては、是非取得したい資格ですね。
トレース技能検定の難易度は?
資格取得を目指す上で、難易度がどれくらいなのかは気になりますよね。
先に結論を言うと、トレース技能検定の難易度は2級までであれば、あまり高くありません。
各級の合格率は以下の表のようになっています。
受験級 | 合格率 |
1級 | 36.1% |
2級 | 38.5% |
3級 | 70% |
4級 | 77.3% |
たしかに、合格率だけみると、2級は難しいように感じますね。
実際、3級や4級はほぼ基礎しか求められないのに対して、2級になると、次のような技術が求められます。
・文字をゴシック、楷書体でトレースする技術(文字の種類は数字、ローマ字、漢字、ひらがな、かたかな)
・相当な技術を要する、複雑な図のトレース
・相当な技術を要する、複雑な工業用図面のトレース
また、次のような知識も求められます。
・トレース用具や用紙に関する全般的なこと
・簡単な立体用器画法に関すること
・日本工業規格(Z8310~Z8318)について
・版下作成に関する基本的なこと
・図面用文字に関すること
・専門分野に関する基礎的なこと
・CADに関する基本的なこと
これだけ聞くとやっぱり2級は難しいと感じてしまうかもしれませんが、トレース技能検定のメインは実技試験です。
実技に関しては、繰り返し練習を行えば、2級で求められるような技術は割と身についてしまうものです。
なので、トレースを行いながら、ある程度しっかりと勉強を続けていれば、2級を取得するくらいの技術は、十分に身につけることができると考えて良いでしょう。合格率だけを見て、難しいと決めつけないようにしましょう。
https://twitter.com/0318norisan/status/1207310758939258880?s=20
トレース技能検定は独学でも合格可能?
資格を取得しようとなると、中には学校に通うことを考える人もいると思います。しかし、この資格は学生向けであり、先ほど書いた通り、難易度はそこまで高くないので独学で勉強しても合格することができます。
一般財団法人中央工学校生涯学習センターが販売している「受験ガイド」「既出試験問題集」があるので、これを利用するといいでしょう。
1級、2級、3~4級の3冊があり(受験ガイドは級関係なく1冊)、公式サイトより購入することができます。
値段も受験ガイドが1300円+税、問題集が600円~900円+税(級により異なります。)となっており、両方買っても2000円程度ですので、大きな負担とはなりません。
基本的な勉強方法としては、
・受験ガイドで知識を確認
・問題集で実戦トレーニングをする
となります。
問題集には解答の他に丁寧な指導書がついているので、自分でも十分理解できるようになっていますので、ご安心ください。
トレース技能検定の練習してた時のやつ。これは2級
ロットリングペンと雲形定規とか円定規とか肋骨で描いてるやつ pic.twitter.com/ct3X1yU3WD— 楪 (@yuzuri8_) February 24, 2020
トレース技能検定とは、トレーシングペーパーに写していくいく作業で、知識より細かさ、丁寧さ、集中力が求められる試験です。
よって、知識レベルが難しいという試験ではなく、図面に向かってペンを使い分けながら、丁寧な清書ができれば合格できます。
なので、問題演習を通して、細かい作業をスピーディにこなせる手先の器用さを身につけるのが、合格への近道と言えます。
トレース技能検定オススメやで。
3級は筆記が5問と実技がトレース紙で歯車とか簡単な図を定規とコンパスと細いシャーペンでなぞるだけ。
専門過ぎて出番が無い技術— ちか@つるぺたつるぺた (@sAM5qAIsEYffMAG) January 16, 2020
一回目であまりできなかったとしても、めげずに繰り返し学習するようにしてください。
トレース技能検定の基本情報
最後に、トレース技能検定試験の
・受験資格
・受験料
・願書受付期間および試験日
・受験会場
についてお伝えしていきます。
受験資格
受験資格は級に関係なく、ありません。ですので、誰でも受験することが可能です。もっと言えば、何級からでもチャレンジすることができるので、いきなり1級に挑戦しても問題ありません。
最初から1級に合格できれば、受験料も節約できるので、勉強してみて挑戦できそうであれば、いきなり1級から目指してみてください。
受験料
受験料は受験級によって受験料が異なっています。難易度が高いほど受験料が高くなっています。また、ダブル受験も可能となっています(ただし、1級と4級の併願は不可)。
1級:5,500円
2級: 4,400円
3級:3,200円
4級: 2,000円
※受験料は全て税込です。
願書受付期間
願書の受付期間は、8月中旬~9月中旬です。
そして、試験日は、10月中旬の日曜日です。
試験が年に1回しかないため、出願を忘れてしまうと、翌年まで受験ができなくなりますので、注意しましょう。
試験時間
トレース技能検定は受験級に関わらず、どの試験も実技と理論の2つに分かれています。
試験は実技がメインとなります。
試験時間は、実技が2時間30分、理論が30分で合計3時間の試験となっており、それなりの長丁場です。
集中力も試される試験となります。
受験地
受験地は東京・石川・愛知・大阪・兵庫・香川となります。
それ以外の地域にお住まいの場合は、応募会場(準会場)があるので、近くにないか確認するようにしてください。
まとめ
今回は、トレース技能検定について、解説していきました。
まとめると、
・一般財団法人中央工学校生涯学習センターが主催しているトレース技能審査基準に基づいて行われる検定試験
・3級、4級の難易度は易しく、1級、2級の難易度はやや難しい
・この資格は学生向けであり、そう難易度は高くないので独学で勉強しても合格することができる
となります。
2級以下であれば、難易度はそう高くはありません。独学でも合格可能なので、資格を取得したい人は、継続的に勉強をし、合格を目指しましょう。