2次元CAD利用技術者試験2級とは、一言で言えばコンピュータを使って設計・製図できることを証明する資格です。
「2次元」と付いているため、立体ではなく、平面の設計・製図に限定した試験です。
この記事では、
- 難易度
- 勉強時間
- おすすめのテキスト
以上の3点について解説していきます。
目次
2次元CAD利用技術者試験2級とは?1級・2級・基礎の違いも解説
アルファベットで略されても、何のことか分かりにくいですよね。
まずは、CADの意味について確認しておきましょう。
CADは「Computer Aided Design」の略です。
直訳すると「コンピュータ支援設計」となります。
難しく考える必要はありません。要するに、コンピュータの力を借りて設計・製図するということです。
イメージとしては、設計・製図用紙が紙からコンピュータに変わっただけです。
これを行うためのソフトのことを「CAD」と表現し、「CADで作図する」という言い回しがよく用いられています。
2次元CAD利用技術者試験では、どれだけコンピュータで設計・製図ができるのかを測ります。
基礎、2級、1級の順にステップアップしていきます。(1級は機械・建築・トレースに分かれた試験を実施しています)
この記事で取り上げているのは、ちょうど真ん中の2級となります。
1級・2級・基礎の違いは?
2次元CAD利用技術者試験についてはわかりましたが、1級・2級・基礎は何が違うのでしょうか。
簡単にまとめると、
- 1級 → 基礎知識 + 専門知識の筆記試験 + CADの実技試験
- 2級 → 基礎知識 + αの筆記試験(基礎よりやや高度な内容が問われます)
- 基礎 → 基礎知識の筆記試験
となります。
1級では試験でCADを用いて設計・作図する実技試験がありますが、2級では実技試験がありません。(筆記試験のみ)
つまり、実際にCADを使うことができなくても2級は受験できるのです。
たしかに、実技試験がないと言われれば、そう思ってしまいますよね。
ただ、答えは、「必須ではないけど、触れるなら触っておいた方が良い」です。
2級の筆記試験はCBT方式といって、試験会場に用意されたコンピュータ上で選択肢を選んで回答するものになります。
コンピュータ上のマークシートというイメージで捉えておくと良いでしょう。
ですから、CADのソフトは受験に必須ではないのです。
とはいえ、この試験はCADを扱えるかどうかを問う試験ですから、試験ではCADに関する内容が出題されます。
となると、実際にCADのソフトに触れながら勉強した方が身に付きやすいと思います。
また、上位の級である1級では試験でもCADを使用しますし、実務でも当然使用します。
CADのソフトを用意することができるなら、ぜひ用意しておきましょう。
ちなみに、2級の受験資格は特に定められていないため、誰でも受験することができます。(1級の受験だと2級の合格が必須)
2次元CAD利用技術者試験2級の難易度はどれくらい?
結論からいうと、そこまで難しくありません。
SNSでも、合格の声が多々あります。
2次元CAD利用技術者試験2級の認定証が届きました pic.twitter.com/HNHz6v6W1C
— あっきー (@Akki_e353sa) January 19, 2020
2次元CAD試験2級合格しました〜
製図の知識の正答率低くてびっくりしたけど、合格したから問題なし!12月は3次元2級!がんばるぞい pic.twitter.com/btHE59xIgp
— 旧ベストまっち新垢移行済み (@ag3rd_BM_old) October 27, 2018
なぜ難しくないと言えるかというと、公式サイトで紹介されている「公式ガイドブック」において、基礎と2級は同じ本にまとめられているからです。
つまり、基礎とあまり内容が変わらないということです。
出題範囲が少し広い、という程度の認識で考えておくと良いでしょう。
こちらのテキストについては、後ほど詳しく紹介します。
また、問題は過去問題から出題される場合も多いため、しっかり勉強しておけば正答するのは難しくありません。
国家資格というわけでもありませんから、そこまで身構える必要もありません。
いくら簡単とは言え、全く知識がない状態でスタートとなると、専門用語も多いため、最初は覚えるべきことが多くて大変かもしれません。
ですが、公式ガイドブックや後ほど紹介するおすすめのテキストを利用して勉強すれば、必要な知識が身に付きます。
ですから、十分合格は目指せます。ぜひ挑戦してみてください。
とはいえ、言葉だけでは良くわからないかもしれません。
そこで、実際の合格率を確認していきたいと思います。
1級・基礎との比較
ここまでの解説でも触れたとおり、2級には実技試験がなく、受験資格も必要ないため、1級ほど難しくないことがわかります。
実際に、級ごとの合格率を確認してみましょう。
2次元CAD利用技術者試験の合格率
1級(機械) | 2級 | 基礎 | ||
平成31年度 | 後期 | 27.02% | 49.20% | 65.70% |
前期 | 48.08% | |||
平成30年度 | 後期 | 62.16% | 50.20% | 79.60% |
前期 | 74.76% | |||
平成29年度 | 後期 | 41.20% | 54.10% | 58.70% |
前期 | 52.53% | |||
平成28年度 | 後期 | 36.69% | 53.30% | 64.70% |
前期 | 46.90% | |||
平成27年度 | 後期 | 53.00% | 52.70% | 52.70% |
前期 | 54.50% | |||
5年間の平均 | 49.68% | 51.90% | 64.28% |
2級の場合、2人に1人は合格することがわかります。
しっかりと勉強すれば無事に合格できそうですね。
たしかに、合格率だけみると、1級と比べるとそこまで差がないようにも感じてしまいますが、1級には実技試験があるなど、合格率だけでは測れない難易度の高さがあります。
加えて、受験資格に2級を必須としているなど、受験者のレベルがそもそも高いことがわかります。
ですから、合格率が同じだからといって、1級が簡単という理由にはなりません。勘違いしないようにしてください。
2次元CAD利用技術者試験2級に必要な勉強時間は?
既に設計・製図の経験をしたことがあり、CADソフトにも触れたことがある場合、テスト問題の出題傾向を押さえるだけで良いため、試験の1週間前に勉強を始めても間に合うでしょう。
試験でもCADソフトを用いるわけではありませんから、そこまで複雑で難しい問題が出題されるということもないと考えられます。
一方、設計・製図の経験がなく、CADソフトにも触れたことがない場合、テスト対策の他に、CADの基本的な使い方と設計・製図の基礎も勉強しなくてはいけません。
勉強時間はその分増えると考えておいた方が良いでしょう。
経験がない人の場合、後ほど紹介する公式ガイドブックを用いて学習する必要があります。
テキストのページ数が350ページほどあるため、それを読み込むためには、時間がかかります。
また、過去問題に取り組む時間も必要となります。
その条件で考えてみると、例えば、週2日、休みの日に集中してテキストを読み込み、毎日1時間程度の勉強をする場合、最低でも1か月程度の勉強時間が必要だと考えておくと、余裕を持って試験に臨むことができると思います。
ただし、試験には数学的な内容が出題されるなどするため、得意かそうではないかによって、実際にどれくらいの時間が必要かどうかは個人差があります。
そこで、一度練習問題を解いてみるというのをおすすめします。
以下のサイトを利用すると練習問題を受けることができますから、ぜひ一度試しておきましょう。
練習問題をやってみて、「これは勉強すれば割と簡単に理解できそうな内容だな」と感じる人は、そこまで焦らなくても大丈夫かもしれません。
一方、「よくわからないけど、とても難しそうなことをやっている」と感じた場合は、さらに余裕を持って、2,3か月前から取り組むとより安全です。
2次元CAD利用技術者試験2級のおすすめのテキストってある?
確かに、公式が出している本ということで、おすすめのテキストであることは間違いありません。
実際、こちらに記載されている問題が本番でも出題される場合があるのも事実です。
ですが、教科書感が強いため、他のテキストの方が良いと感じる場合があるかもしれません。
そこで2冊目の本としておすすめなのが、「CAD教科書 CAD利用技術者試験 2次元2級・基礎 テキスト&問題集」です。
引用:Amazon CAD教科書 CAD利用技術者試験 2次元2級・基礎 テキスト&問題集
公式ガイドブックとは違い、全ての範囲を押さえているわけではありませんが、試験のポイントを押さえた説明がされているため、よりテスト対策に向いたテキストだといえます。
巻末には詳しい解説付きの練習問題も掲載されているため、とても心強いです。
2冊のテキストはどちらも3,700円ほどの価格で、ページ数も350ページほどになります。
まとめ
今回は、2次元CAD利用技術者試験2級について、資格の概要や難易度、勉強時間、おすすめのテキストについて解説していきました。
まとめると、
- 難易度 : 2人に1人は合格する試験で、筆記試験のみで簡単(CBT方式の選択問題)
- 勉強時間: 未経験で独学でも短期集中で1か月合格も目指せる
- テキスト: 「CAD教科書 CAD利用技術者試験 2次元2級・基礎 テキスト&問題集」と「公式ガイドブック」がおすすめ
となります。
CADを扱えることを証明する資格である2次元CAD利用技術者試験2級、取得を目指してみてはいかがでしょうか。