社会人として働く上で避けて通れないものの一つが、ビジネス文書です。
社内にお知らせを通知したり、社外へお詫び状やご案内を送付したりと、様々な場面で文書は必要です。
それらビジネス文書を制作するためには、正しい漢字や表現方法を知っていなくてはなりません。また、素早く文書を制作するためには、パソコンの文字やグラフについての入力スキルも必要となります。
今回の記事では、これらのスキルを証明してくれる、ビジネス文書実務検定試験についてご説明します。
・ビジネス文書実務検定試験とは
・合格率について
・就職に有利になるか?履歴書に書けるか?
・実技の練習ができるソフト
ビジネス文書の制作や、パソコンの文字入力などのスキルは、ビジネスマンになるためなら必須です。
ビジネス文書実務検定について、このページで学びましょう!
目次
ビジネス文書実務検定試験とは
ビジネス文書実務検定とは、公益財団法人全国商業高等学校協会、通称全商が主催する検定の一つであり、民間資格となります。
ビジネス文書に関する基本的な知識と、そのために必要なパソコン入力についてのスキルを証明してくれる資格です。
例えば文字入力や文字の大きさの変更、ビジネス文書で使用する挨拶などについての知識が問われます。
主催する協会名の通り、商業高校に通う高校生や、高卒で就職を目指す高校生向けの資格となっています。
学校によっては受験が必須となっている場合もあり、毎年全国で40万人程度が受験しています(全国商業高等学校協会サイトより)。
試験は実際に文書を制作し、ビジネスの基本となる知識を問うビジネス文書部門と、タイピングの速度を競う速度部門に分かれており、それぞれ違った級を受けることも可能です。
社会に出て即戦力となることを目的としているため、試験でも実際に使用される社内文書を模したものが出題されます。
この資格についての試験勉強をすることで、実際にビジネス文書を扱う時にも、より正確に早く作れるようになるでしょう。
また、早い入力をするために、ビジネス文書を読んで素早く理解する力も必要となります。
特に事務職への就職を目指す高校生にピッタリの資格です。
ビジネス文書検定は、実務技能検定協会、つまり秘書検定などを主催する協会が検定を行っています。
同じくビジネス文書に関する資格ではありますが、社会人向けの資格であり、商業高校生向けのビジネス文書実務検定とは全く違う資格です。
間違えて申込みをしないように気をつけましょう。
受講資格や気になる試験内容は?
それでは、どうやったら資格を手に入れられるのでしょうか。
この章では、ビジネス文書実務検定の試験について解説します。
・受験資格と試験日程
・試験内容について
・受験料について
この3点について順番に見ていきましょう。
受験資格
ビジネス文書実務検定試験は、毎年6月と11月に試験が行われます。
受験資格の制限は特にありません。
高校生向けではありますが、それまでパソコンを利用したことがなかった人や、高齢者なども受験しています。
ただし、高校生とそれ以外の一般の人とでは申込方法が違います。
高校生は原則として自分の在籍校に、定められた方法で申し込みます。
先生が取りまとめて申し込みをしてくれる所がほとんどのようです。
一般の場合、もしくは自分の通う学校が試験場ではない場合、直接試験会場となる学校に問い合わせをし、受験申込書を記入しなくてはなりません。
試験内容について
ビジネス文書実務検定には、第1級から第4級までがあり、それぞれビジネス文書部門と、速度部門に分かれています。
ビジネス文書部門:筆記試験(15分、第4級は筆記試験なし)・実技(第1級は20分、それ以外は15分)
速度部門:実技試験(10分)
ビジネス文書部門と速度部門で別々の級を受けることも可能ですが、両方とも同じ級に合格したときのみ「ビジネス文書実務検定○級合格」と認められます。
片方だけ合格している場合は「部門合格」として扱われ、その次の検定から数えて4回目までの試験でもう片方の部門に合格すれば、その級を合格したと認められます。
ビジネス文書部門
筆記試験の試験範囲は以下のとおりです。
・パソコンやプリンタ等の機械と文書に関する知識
・プレゼンテーション
・言葉の知識
具体的には、パソコンのショートカットキーや時候の挨拶、周辺機器の名前などの知識を問う問題です。
級が上がるほど難易度が高くなっていますが、範囲はどの級でも共通となっています。
第4級には、筆記試験はありません。
実技試験の試験範囲は、
第1級:表やオブジェクト、テキストファイルを含む文書
第2級:表やオブジェクトを含む文書
第3級:簡単な表を含む文書
第4級:表などを含まないビジネス文書
となっています。
上司のメモをもとに表やグラフを作成する、社内に配布するお知らせを作る、などの、実際の業務でもよくありそうな状況を想定した、実践的な試験です。
ビジネス文書なので装飾も少なく、シンプルな作りですが、制限時間が短い部分に注意が必要です。
どこかで引っかかってしまうと、考え込んでいるうちに試験が終了してしまいかねません。
合格点は70点とされています。
筆記試験と実技試験、両方とも同時に合格したときのみ、ビジネス文書部門の合格が認められます。
速度部門
速度部門は、10分間で日本語をどれだけ正確に、早く入力できるかの試験です。
第1級:700字
第2級:450字
第3級:300字
第4級:200字
以上の入力を行います。
誤字脱字、余分な文字などのミスは10文字までなら認められています。
受験料について
受験料は、以下のようになっています。(税込)
ビジネス文書部門 | 速度部門 | |
第1級 | 1,200円 | 800円 |
第2級 | 1,100円 | |
第3級 | 900円 | |
第4級 | 700円 |
(引用:全国商業高等学校協会サイト)
ビジネス文書実務検定の合格率はどれくらい?
令和元年度の合格率は、以下の表のとおりです。
ビジネス文書部門 | 速度部門 | ||
第62回 | 第1級 | 58.8% | 40.2% |
第2級 | 63.0% | 52.5% | |
第3級 | 76.7% | 75.8% | |
第4級 | 86.5% | 84.2% | |
第63回 | 第1級 | 43.1% | 28.5% |
第2級 | 60.2% | 65.3% | |
第3級 | 69.6% | 79.1% | |
第4級 | 78.3% | 84.7% |
(引用:全国商業高等学校協会サイト)
回によってだいぶ合格率は違いますが、第2級でもビジネス文書部門・速度部門ともにほぼ6割の受験者が合格しています。
第1級以外は、速度部門よりビジネス文書部門のほうが難しいようですね。
合格点は固定ですが、回によって難易度がかなり違いますので、場合によっては簡単な試験に当たるまで何回か受験する必要があるかもしれません。
ビジネス文書実務検定は就職に有利になるか?
この資格が意味を持つのは「高校生が、新卒で就活をする時」だけと言ってしまっていいでしょう。
高校生であれば、最低限のタイピングやある程度の常識を身に着けていることと、資格試験に向けて努力できる真面目さをアピールできます。
ただし、それでも特別なスキルや即戦力として評価されるわけではありません。
より専門性を高めるために、可能であれば簿記なども受けておいたほうがいいでしょう。
前述したように、ビジネス文書実務検定は「これまでパソコンや会社勤めの経験のない」高校生向けの試験でした。
ですから、問われているのは第1級であっても、基本的なビジネスマナーやパソコンスキルとなっています。
タッチタイピングや、ビジネス文書の作成などは、ある程度の年齢もしくは一度社会人経験がある場合には「当然身につけているはずのスキル」とみなされます。
あえて履歴書に書かなくても、普通それぐらいはできるよね、と採用側から考えられてしまうので、たとえ高い級を取っていたとしても、さほど他の候補者との差別化とはならないのです。
特に、大卒以上の年齢での就活や、転職の際にはほとんど役に立たないと考えていいでしょう。
ビジネス文書を作成するスキルは、実際に仕事をする際には大変に役に立ちます。
タッチタイピングのスキルも、パソコンを使う上ではほぼ必須と言っていいでしょう。
就職する前にこれらについて学んでおくことで、会社に入ってからの業務をより円滑にこなせるようになります。
「社会人として当然のスキル」なので、高校生に限らず、パソコンでの文書作成経験のない人や、タッチタイピングができない人は、この資格のために勉強することが大いに役立つでしょう。
また、大学の商業系学部であれば、推薦入試の際のポイントとして加算される場合もあります。
商学部への推薦入試やAO入試を希望する高校生も、取得を検討するといいかもしれません。
履歴書に書ける?
結論から言うと、履歴書に書けます。
ビジネス文書実務検定試験は3級からでも履歴書に書く事ができます。
書き方は、
全国商業高等学校協会主催 ビジネス文書実務検定 ○級
といったように正式名称で書けば問題ありません。
ビジネス文書実務検定のタイピング練習ソフトはある?
調べると2つ見つかりました。
⇒https://typing.twi1.me/game/100477
⇒https://www.spitz8823.com/typing/businesskentei/
個人的には上のサイトの方が操作性がわかりやすく、視覚的にも見やすかったのでおすすめです。
過去問が扱われているので、実際に過去に出題された問題だというのは大きいですね。
どちらも無料で練習できますので、ぜひ試してみて下さい。
【まとめ】ビジネス文書実務検定試験について
ビジネス文書実務検定試験とは、以下のような検定でした。
・全商が主催する、商業高校生向けの試験
・試験では、タイピングやパソコンでの文書作成についての知識と実技が問われる
・合格率は回によって差があるが、第1級でも30~50%程度
・初学者向けなので、難易度は高くない
・高校生が新卒で就職する時には、この資格によってビジネスの基本を身に着けていることと、資格試験に対して努力する姿勢があることをアピールできる
ビジネス文書実務検定について勉強することで、仕事をする上で必要となる文書作成スキルを身につけられます。
ビジネスでのパソコン利用経験がない人は、高校生でなくとも資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。