危険物取扱者甲種とは、一言で言えば危険物全般を取り扱う専門家です。
危険物を適切に扱い、人々の生活を安全に保つためには欠かすことのできない資格です。
この記事では、
- 危険物取扱者甲種の概要
- 受験資格
- 難易度
- 勉強方法
以上の4点について解説していきます。
目次
危険物取扱者とは?丙・乙・甲の違いも解説
危険物と言われても漠然としているので、分かりにくいですよね。
まずは危険物の定義について確認しておきましょう。
危険物の定義は以下のように定められています。
○消防法で定められているもので、一般的に次のような性質を持った物品をいいます。
- 火災発生の危険性が大きいもの
- 火災拡大の危険性が大きいもの
- 消火の困難性が高いもの
引用:総務省消防庁
難しく考える必要はありません。要するに、燃えやすいもの=危険物となります。
具体的には、ガソリンや灯油などが挙げられます。
実際には、30種類以上の危険物があります。
危険物取扱者は、先に挙げたような危険物を適切に取り扱える専門家であることを証明する資格となります。
この資格があることによって、ガソリンなどの燃料を運搬するドライバーや、ガソリンスタンドのスタッフ、消防士などを目指すことができます。
危険物取扱者の資格がないと、危険物を取り扱うことはできません。
丙・乙・甲の違いは?
危険物取扱者には、取り扱う危険物の範囲に合わせて、丙・乙・甲の3種類があります。
実際には「危険物取扱者甲種」のように呼ばれます。
それぞれの特徴について簡単にまとめると、
- 丙種 → 基礎知識
- 乙種 → 基礎知識 + 専門知識
- 甲種 → 基礎知識 + 専門知識×6
となります。
そうです、甲種は全ての危険物取扱に関する知識を有することが求められる資格となっています。
丙種と乙種が理解できた上で取得できる資格というわけです。
ですので、危険物取扱の基礎知識を修める丙種を土台として、危険物取り扱いの一分野の専門知識を修める乙種、全分野の専門知識を修める甲種と、ステップアップしていく形になります。
いきなり甲種を取得することはほぼできません。
危険物取扱者甲種の受験資格
危険物取扱者甲種試験を受験するためには、一定の条件を満たす必要があります。
具体的な、甲種危険物取扱者試験の受験資格は次の通りです。
- 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
- 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
- 乙種危険物取扱者免状交付後、2年以上の実務経験を有する者
- 次の4種類以上の乙種危険物取扱者の免状を有する者
- 第1類又は第6類のうちの1種類
- 第2類又は第4類のうちの1種類
- 第3類
- 第5類
- 修士
- 博士の学位を授与された者で、化学に関する事項を専攻したもの(外国の同学位も含む。)
簡単にまとめると、甲種を受験するためには、
- 大学で化学を専門的に学んで卒業する
- 乙種資格を最低4種類以上取得
- 危険物取り扱いの実務経験2年以上
のいずれかを満たす必要があります。
そうです、甲種危険物取扱者試験は難しいと思われがちですが、受験資格はそこまで厳しくありません。
なので、そこまで挑戦が難しい資格ではありません。
もし現状でどの条件も満たせていないという方は、まずは乙種の資格を4種類取得しましょう。
乙種試験は誰でも受験可能ですから、こちらに合格さえすれば、甲種にも挑戦することができます。
なお、通っている大学・卒業した大学が条件を満たすかどうかを知りたい方は、
から確認できます。
危険物取扱者甲種の難易度は?
たしかに、受験資格が厳しくないとはいえ、専門的な知識がないと受験ができないのは、事実ですので、試験は相当難しいだろうと考えてしまいますよね。
しかし、危険物取扱者甲種の難易度は、国家資格の中でも簡単な方です。
確かに、高校や大学で学ぶ化学の知識が必要になる部分もありますが、それでも易しい方です。
その理由を、以下の2点の観点から確認していきましょう。
- 乙・丙種と比べてどうか
- その他の国家資格と比べてどうか
乙・丙種との比較
ここまでの解説でも触れた通り、甲種資格は丙・乙の内容を理解していることが前提となる資格です。
つまり、最も幅広い内容の問題が出題される甲種試験は、甲・乙・丙の中で最も難しい試験といえます。
実際に、過去5年間の危険物取得者甲・乙・丙種の合格率を確認してみましょう。
過去5年間の合格率(小数点第1位まで)
年度 | 甲種 | 乙種(1~6類の合計) | 丙種 |
平成27年度 | 32.2% | 37.1% | 49.2% |
平成28年度 | 33.5% | 36.4% | 48.7% |
平成29年度 | 37.3% | 41.6% | 50.7% |
平成30年度 | 39.8% | 44.8% | 51.2% |
平成31年度 | 39.5% | 44.9% | 50.4% |
甲種試験が最も合格率が低いことから、甲種試験が最も難しいのは事実でしょう。
とはいえ、乙種と比べてもせいぜい5%程度しか変わりません。
その理由は、甲種試験を受ける人は、乙種試験を突破したような人ばかりだからだと考えられます。
受験資格の1つにも「乙種試験を最低4つ以上合格する」という条件があるくらいですから、当然といえば当然なのかもしれません。
つまり、乙種・丙種の勉強をしっかりとこなしている人であれば、十分合格を目指せる資格なのです。
その他の国家資格との比較
参考までに、他の国家資格の合格率を確認していきましょう。
2019年度の合格率(小数点第1位まで)
司法書士 | 3.6% |
社会保険労務士 | 6.6% |
公認会計士 | 10.7% |
一級建築士 | 22.8% |
危険物取扱者甲種 | 39.5% |
医師 | 89.0% |
注意
医師に関しては、全く別物と考えてください。
そもそも医師になるためには、医学部を卒業する必要があります。
医学部は入学するのはもちろん、卒業するのも最も難しい学部と言えます。
つまり、医師国家試験の受験資格を満たしている人は、その時点でかなり学習している人ばかりなので、合格率も必然的に高くなるだけです。
医師国家試験は除いて、他の資格と比べると、危険物取扱者甲種の合格率は39.5%と、圧倒的に合格率が高いことが分かります。
危険物取扱者甲種は、法務や財務、医療の専門家と比べれば、そこまで専門的な内容を扱っているわけではありません。
誰でも受験できる危険物取扱者乙種1類~6類の資格をベースにした試験でもあります。
だから、危険物取扱者甲種は国家資格の中でも難易度が低めといえるのです。
危険物取扱者甲種に合格するための勉強方法
最後に独学でできる、正しい勉強方法をお伝えします。
独学で合格を目指す場合、知識をインプットするための本(参考書)を1冊と、アウトプットするための本(問題集)を1冊、計2冊購入してください。
知識を頭に入れても、実際に問題を解いてみないと理解できたかわからないと思いますから、アウトプットも重要となります。
インプット用の本としておすすめの教材は、「わかりやすい甲種危険物」です。
この1冊で合格できることを謳っており、509ページとボリュームたっぷりの内容を収録しています。
単元毎にわかりやすくまとめてあるため、着実に理解度を上げていくことができるでしょう。
アウトプット用の本としておすすめの教材は、「一発合格! 甲種危険物取扱者試験<ここが出る>問題集」です。
引用:Amazon 一発合格! 甲種危険物取扱者試験<ここが出る>問題集
問題を539問収録していて、本試験と同様の模擬問題を6回分収録しているのが特徴です。
学習の手順としては、以下の通りとなります。
学習の手順
- インプット本を一通りざっくりと読む
- 2周目で大まかな内容を理解していく
- アウトプット本で問題を解いてみる
- できなかったところをインプット本で復習する
- できないところがなくなるまで手順3,4を繰り返す
インプットした後に、アウトプット本を解いてみても、わからないところばかりかもしれません。
でも、大事なのは、自分が理解できていない箇所を明らかにすることです。
できていないところがわかれば、そこを徹底的に学習すれば良いのです。
そうすると、できないところが減っていき、次第に合格が近づいてくることでしょう。
ちなみに、過去問は公式サイトでも公開されています。
本を買う前に、一度そちらの問題を解いてみて、合格できそうなら本を買わなくても大丈夫かもしれません。
まとめ
今回は、危険物取扱者甲種について、資格の概要や受験資格、難易度、勉強方法について解説していきました。
まとめると、
- 受験資格: 複数条件の内、一つだけでも満たせばOK
- 難易度 : 国家資格の中でも比較的簡単な方
- 勉強方法: 参考書と問題集を一冊ずつ用意し、間違えた問題を徹底的に復習するのが良い
となります。
危険物を取り扱う専門の資格である危険物取扱者甲種、取得を目指してみてはいかがでしょうか。