電気主任技術者2種(電験二種)の資格を取ろうか考えたとき
・電気主任技術者2種って一体どんな資格なんだろう
・試験は難しいのかな
・独学でも合格できるのかな
このように考えると思います。
まして独学で勉強を考えた場合、しっかり対策を考えなければなりませんよね。
そこで今回は
・電気主任技術者2種の資格って?
・試験の難易度はどのくらい?
・独学で合格するには?
について解説していきます。
目次
電気主任技術者2種の資格はどんな資格なの?
「電気主任技術者2種」とは一体どんな資格なのでしょうか。
電気主任技術者2種は国家資格となります。
電気主任技術者2種は電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物の主任技術者として、発電所や変電所、需要家の受変電設備の維持管理、運用の保安監督を行える資格の事をいいます。
簡単に説明すると、「電気・電力事業者で17万ボルト未満が扱える監督者になる」為の資格です。
またこの電検には全部で3種あります。
種類 | 第一種電気主任技術者 | 第二種電気主任技術者 | 第三種電気主任技術者 |
扱える電気 | 全ての事業用電気工作物が扱える | 17万ボルト未満の事業用電気工作物が扱える | 5万ボルト未満の事業用電気工作物が扱える |
主な需要先 | 発電所など大規模施設 | 中規模のビルや工場 | 一般的なビルや工場 |
現在電気・電力関係の仕事は人材不足とも言われている中
2045年にかけ大規模再エネ設備が増加すると言われ、電験二種の資格を持った人材が益々求められるでしょう。
その為、電気・電力関係の仕事に携わる方にとって取得しておくと収入アップや、転職の際大変有利な資格といえます。
一つ上の1級や一つ下の3級の難易度も見ておくと良いですね。
関連記事
>>電気主任技術者3級(電験3種)の難易度は?独学可能なのか?
電気主任技術者2種を取得する方法
電気主任技術者2種を取得するにはどうしたらいいのでしょうか。
電験二種を取得するには2つの方法があります。
・試験を受けて取得する方法
・認定を受けて取得する方法
この2つの取得方法の違いをみていきましょう。
試験を受けて取得する方法
一つ目は、一般財団法人「電気技術者試験センター」へ申し込みをし、国家資格となる試験を受ける方法です。
こちらはどなたでも受験の申し込みができます。
試験は毎年1回、受験手数料を払い「第1次試験4科目」と「第2次試験2科目」の2つの試験に合格することで資格の取得ができます。
試験の詳細は以下の通りです。
申し込み受付 | 5月末~6月上 | |
試験日程 | 1次試験 | 9月 |
2次試験 | 11月 | |
受講料 | インターネット | 12,400円 |
郵便 | 12,800円 |
電験二種を初めて受ける人・科目合格者・1次試験免除者はこちらの方法で取得していきます。
試験の詳細は後程説明しますね。
認定を受けて取得する方法
二つ目は、認定校を卒業し実務経験もある方はこちらの方法で取得します。
卒業した認定校によって以下のように実務経験年数が変わります。
・認定校の大学を卒業 → 実務経験3年以上
・認定の短大/専門学校を卒業 → 実務経験5年以上
・電検3種習得 → 実務経験5年以上
認定は試験が無い分実務経験を積む必要がありますが、その実務経験をしっかり面談や書類で証明しなければなりません。
認定を希望するのであれば、まず事前に準備する書類を隈なくチェックし漏れやミスが無いか確認して挑みましょう。
認定方法は以下の流れで行います。
認定の手順
- 各地の電力安全課の担当者に面接の予約
- 担当官と面談
- 複数の必要書類提出(面接)
- 審査
- 免状交付
この手順を踏むのですが、「面接」はかなり厳しく聞かれ簡単には交付されません。
面接官によって違いはありますが、実務経験がしっかり頭に入っていないと答えられない以下のような質問をされます。
・自身の行っている点検が何の意味をもっているのか。(答えに対して更に深堀の質問となっていく)
・点検で見つけた不具合の対処法や実際のトラブルなど。
しっかり経験が頭に入っているか、対処できるかなど面接官にプレゼンしていかなければなりません。
殆どの方が「面接」や「書類審査」を何度か繰り返し行いやっと免状交付となります。早くて半年長いと数年かかる事は覚悟しておきましょう。
※必要書類について詳しく知りたい方は
「関東東北産業保安監督部東北支部電力安全課」より電気主任技術免状の交付申請に必要な書類の作り方より詳細が載っておりますので参考にして下さい。
認定校を卒業し実務経験を積むことで「免状が交付」される為、難易度の高い試験より多くの技術者はこちらの方法で取得しているのも事実です。
しかし「国家資格合格者」と「認定資格者」では同じ資格と言えども片方は苦労して勉強し資格を取得している為区別してみている会社もあります。
どちらで取得するか早めに決め、対策を立てた方が良いですね。
電気主任技術者2種の難易度はどのくらいなの?
電気主任技術者2種を「受験」するとしたら、難易度はどうなのでしょうか?
仮に難易度を偏差値でいうなら「偏差値60」英検1級と同じレベルです。
1次試験を受けて合格できるのは「6500人受験して1500人」ほど、その中から2次試験を合格出来るのは1割程度と言われていますのでかなり難易度は高いと言えます。
電気や電力の専門知識や正確な計算式など数学知識も問われる為、現場経験者でさえも合格は難しいです。
その為全く初めての人が受けるのはかなり厳しいと予測されます。
電気主任技術者2種を受ける方のほとんどが電検3種を受けているので、3種を受験した方であれば問題内容が比較的似ているので1次試験はスムーズに取り掛かれると思います。
しかし電験二種の試験は3種とは違い、下記のような特徴がみられます。
電験二種の特徴
・多肢択一なマークシート方式の為、堪だけでの合格は出来ない。
・電検3種と分野は同じでも深い知識と計算能力が要求される。
・「微分・積分・微分方程式」や「ラプラス変換」などの数学知識が必要。
このような特徴を理解したうえで試験に挑みましょう。
では1次試験と2次試験の詳細はどうなのでしょうか。
1次試験
まず通らなければならないのが1次試験。
1次試験はマークシート方式で回答していきます。
科目は4科目で、それぞれの内容がこちらです。
科目 | 科目の内容 |
「理論」 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 |
「機械」 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 |
「法規」 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 |
「電力」 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 |
引用:電気技術者試験センター
1次試験の過去10年の4科目合計平均合格率は23.6%
科目別でみると「理論」27.9 「機械」38.8 「法規」48.0 「電力」54.9 となります。
この平均合格率から想像できるように、全教科を一発で合格するのは大変困難です。
試験を受けた方の声を見てみましょう。
経験者の声
・4科目を一度に合格するには範囲が広すぎて無理と判断し、得意分野に絞って2年に分けて受験する計画を立てたら合格出来ました。
・3種が取れたので2種に挑戦したのですが甘かった。4回も1次に落ちてしまった。
勿論一発合格者もおりますが、ほとんどが「経験者の声」のように範囲が広くて全部の合格は出来ず数年かけて受験している方々ばかりです。
電気主任技術者2種の試験には、一度に全部合格しなくても合格した科目は次の試験で免除され、落ちた科目を翌年受験するという科目別合格制度というものがあります。
この制度を初めから活用して科目を絞って勉強するなど、範囲の広さに対する対策をして試験に挑む方も多いです。
2次試験
1次試験合格。その2か月半後に2次試験となります。
2次試験の合格率は22.8%
試験科目は2科目で内容はこちらです。
科目 | 科目の範囲 |
「電力・管理」 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理 |
「機械・制御」 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス |
引用:電気技術者試験センター
2次試験は完全記述式となります。
記述にも「計算問題」であったり「論述問題」であったりで、中途半端な知識では回答できないような問題ばかりとなります。
※試験中電卓を使用することも可能(数字の記憶や関数計算が出来る電卓は使用できません)
二次試験でつまづいてしまった経験のある方の声をみてみましょう。
経験者の声
・当時学生で、勉強にはかなり時間をとれたが1次試験と2次試験を含めて合格には2年かかった。1次は一発合格したが2次試験で現場の実務経験がなくイメージしづらくつまづいてしまった。
・電卓を打つたびに違う回答になってしまった。関数計算が出来る電卓が使えない為計算に時間がかかり時間配分が上手く出来きなかった。
学生など勉強の習慣があった方は比較的1次試験は合格する方も多いですが、2次試験でイメージが出来なくてつまづいてしまう等もあるようです。これは違う職業の方が受験しても同じことが言えますね。
また、2次試験は計算問題も出てくるのですが、電卓は試験で使用できるもので練習しないと計算に時間がかかってしまう為これも注意していきたいところです。
電気主任技術者2種に独学で合格するには?
そもそも電験二種の資格は独学で合格できるのでしょうか。
答えは「出来ます」
一発合格を望まなければ、働きながら限られた時間で勉強し合格した方も沢山います。
電気主任技術者2種の資格を取得するのに勉強時間は1500~2000時間とも言われているため、早めに計画を立て勉強を始める必要があります。
仕事の合間に勉強をしていくのは大変かと思いますが、将来の為・自分の成長の為にも頑張りましょう。
ちなみに合格者の多くは以下のような勉強法をしていました。
・テキストと過去問題を繰り返し解く
・動画やDVDを活用する
詳しく見ていきましょう。
テキストや過去問を繰り返し何度も解く
シンプルですが、独学での勉強方法はテキストと過去問を何度も繰り返し解き続ける事これに限ります。
独学で合格した方々の多くは、数年前から4科目の過去10年~15年の過去問を何週も繰り返し解くことで計算や問題になれるということをしています。
経験や勉強の習慣などの違いで学習計画は変わってきますが、合格した多くの方々の共通点をあげてみると
・過去問を3~5週は繰り返し解いている
・過去問から解いて、テキストは確認の為にしか見ない(テキストと過去問はセットのもの)
・行き詰ったらネットで調べる
・電検3種と1種の問題も解いてみる
このように「テキストを読み込む」や「ノートに書き写す」よりは、過去問で分からない所をテキストやネットで解決という考えで勉強をされているようです。
また電験二種となるとある程度の数学知識がベースに無いと過去問も解けません。
数学知識に不安がある方は数学テキストを一緒に購入し、計算式を確認しながら進める必要があります。
数学に不安がある方には、
「いちばんよく分かる 電験二種数学入門帖」というテキストがおすすめです。
やみくもに数学テキストを買わなくとも、
この1冊で、2種に必要な数学だけを勉強することが出来ますので参考にしてください。
2次試験は「完全記述式・数学計算」での回答ですが、基本の勉強方法は同じです。
対策としては記述形式の用紙の確認を事前にやっておくといいでしょう。
当日解答用紙を見てどのような書き方をすれば良いか戸惑ってしまわないよう、事前に用紙を確認したうえで記述練習をすることをお勧めします。
動画やDVDを活用
合格した方の中には、インターネットや動画、DVDを上手く利用していた方も多いようです。
実際テキストによっては解説があいまいであったり、自分が知りたい解説が載っていなかったり等の問題にぶつかることがあるようで、そういったとき立ち止まらない為にもネットをうまく活用しています。
実際に動画やDVDを活用している方たちの中には、以下のような感想が見られました。
経験者の声
・サイトで質問すると合格者経験者から回答をもらえた
・家で一人で勉強しているがインターネット上に沢山の仲間が出来、心が折れず頑張ることが出来た
このように体験者から試験のアドバイスや答えのアドバイスをもらえたり、同じ仲間が出来励みになるなどメンタル的にもいいようですね。
また初めて試験を受けるのであれば、初めからDVD講座と併用して勉強するのもお勧めです。
多少お金がかかりますが、どうやって勉強していけばいいのか分からない場合DVD講座は取り掛かりにいいとも言えますし、やみくもに勉強するより効率的だと思います。
まとめ
ここまで解説してきましたが、いかがでしたか。
電気主任技術者2種についまとめますと
・電験二種とは「電気・電力事業者で17万ボルト未満が扱える監督者になる」国家資格で、現在電気・電力関係の仕事は人手不足となり転職や収入アップと将来性のある仕事である。
・難易度は非常に高く「試験」の合格率に至っては1次試験23.6%、2次試験22.8%となっている。
・独学でも合格は可能。合格者の多くは、動画やDVDを活用したり過去問を繰り返し解いている。
非常に難しい試験ではありますが挑戦する価値の高い資格ですので、将来の為にも頑張りましょう。
この記事が皆様の参考になれば幸いです。