簿記2級は企業が応募者に求める資格ランキングで1位を獲得しています。そのため、資格を取得していると履歴書に胸を張って書けます。
就職活動や転職活動に有利になるだけではなく、実際に仕事をするときにも役立つことが多いです。でも、それだけ難易度は高くなっています。果たして、独学で合格できるものなのでしょうか。
ここではそういった疑問を解決すべく、
・簿記2級の内容と難易度
・簿記2級合格までに必要な勉強時間
・その独学方法
について、詳しくお話ししたいと思います。
目次
簿記2級とはどんな資格?
簿記2級とは、ここでは日商簿記を指し、商工会議所が主催する検定試験のこととします(簿記2級と言えば、全商簿記、全経簿記もあります)。
3級、2級、1級の順でレベルが上がりますが、ダブル受験で3級と2級を受けたり、3級を飛ばしていきなり2級を受験することも可能です。また、取得した資格は一生物で更新する必要もなく生涯有効という嬉しい資格です。
簿記3級は経理会計の基本知識が身に着くといわれていますが、簿記2級はより実務的で仕事に直結し、経営管理に役立つ知識が身に着くと言われています。
具体的に言うと、財務資料からお金の流れを把握し、「これで利益を得ているのか、損失を出しているのか」等の取引先の経営状況を理解することもできます。それから自社製品を販売するまでいくらかかったのか等、コスト管理をしたり、決算書の作成等ができるようになります。
そのため、簿記2級は企業から求められる資格で持っていると役に立つ資格でもあり、就職活動や転職活動でも有利になると言われています。
また、仕事のみならず個人的にこの資格が活きる時もあります。世界情勢を理解したり、株式投資や確定申告の際にも役に立つのです。高校生の場合は、簿記2級を持っていることで大学入試の推薦入学で優遇されることもあるので是非資格取得にチャレンジしてみてください。
簿記2級の難易度はどんな感じ?
ところで簿記2級の難易度はどんな感じなのでしょうか。まずは合格率から見てみましょう。
・第154回(2020年2月)28.6%
・第153回(2019年11月)27.1%
・第152回(2019年6月)25.4%
ここ3回の合格率を平均してみると、27%となっています。この合格率から、簿記2級の資格取得は容易ではないことが予想できますが、独学受験者からはどのような体験談が挙げられているのでしょうか。
3級のときと違って、商業簿記に加えて工業簿記が入る分覚えることが多くて難しく、漢字地獄で最初は何が何だか分からない。
電卓を使って計算しないといけないので、普段使わないなら正確に早く使えるようになるまでにも時間がかかる。
効率的に、何問も解くことが合格の近道だと思う。
体験談を見てみると、上記の他にも難易度の高さが浮き彫りになっているコメントが多かったです。
簿記2級は独学でも受かるのか
勿論、スクールや通信講座に通った方が勉強もしやすいし、スケジュール管理もしてもらえて、更には試験のコツも教えてもらえるので合格率も上がると思います。
しかし、上記でも記載があるように簿記2級までは独学でも合格できます。
その理由は、優れたテキストが沢山販売されていること、こうしてネットで情報収集ができるようになったことと考えます。
後に詳しく解説していますが、独学をする場合のポイントは「勉強時間の確保」「自分に合ったテキストを選ぶ」「スケジュールを立て、効率的に学習をする」この3つです。
このポイントさえクリアしていれば、独学でも十分に簿記2級の合格が見込めます。
簿記2級を合格するために必要な勉強時間
実は、私の大学時代の友人が簿記2級を独学で受験し、合格しています。友人は、簿記論(簿記3級の内容)を4月から受けて、6月に簿記3級を受けて合格していました。そこから簿記論の講義が全て終わっても勉強を続け、11月に簿記2級を受験し合格しています。
友人は空きコマの度に図書館で勉強をしていましたが、実際のところどのくらい勉強すると良いのか気になりませんか。
実は、簿記2級合格までに必要な勉強時間は独学の場合1日2~3時間の勉強で4~6ヶ月(250時間~350時間)と言われています。
友人は約5ヶ月勉強をしていたので妥当な勉強時間を確保していたことになります。しかし、毎日の講義と課題に加えて、一人暮らしでアルバイトもするとなると、その時間の確保には相当な努力が必要だったことが分かります。
ちなみに簿記3級を持っておらず2級とダブル受験をするような初心者の場合は、勉強時間は350~500時間(6~8ヶ月)程度確保したほうが良いと言われています。
この勉強時間を確保するのは職業問わず大変だと思います。そして、せっかく作った時間を無駄にしないためにも、独学で簿記2級を勉強するにはどうすると効率的なのか気になるところですよね。次にまとめてみたので、是非チェックしてみてください。
【独学で】簿記2級を合格するための勉強方法
体験談でもあったように、簿記2級の合格への近道は「効率的に、何問も解く」です。では、その「効率的に」というのはどうすることを指すのでしょうか。ここでは、その勉強方法について
・学習スケジュールの立て方と勉強方法
・オススメのテキスト
・試験突破のためのポイント
といったところからアプローチしていきたいと思います。
学習スケジュールの立て方と勉強方法
何事も詰め込みタイプの人もいるかと思いますが、簿記2級に関してそれをするのはリスクが高いです。なぜなら、試験範囲が広く専門用語が多い内容で理解に時間がかかるからです。
ここでは具体例を紹介しますので、良かったら参考にしてみてください。
※勉強期間を6ヶ月設ける場合でスケジュールを提案しています。
①テキストを読み、理解する期間(4ヶ月)
→商業簿記(2ヶ月)、工業簿記(2ヶ月)を目安にします。最低でも2周は読まないとイメージが湧きません。
②問題集を解きまくる期間(2ヶ月)
→問題集は最低でも3周は解くことで、できるようになってきます。
③過去問を解いて仕上げる期間(1ヶ月)
→本番120分を意識して解く練習も忘れずにしてください。6回分はやった方が良いです。
④隙間時間にはアプリを使って勉強をする
→移動時間やちょっとした休憩中に活用します。
上記を参考に試験日から逆算して、必ずスケジュールを立てて勉強していきましょう。
オススメのテキスト、問題集、過去問+アプリ
簿記2級の試験では、テキストと問題集を固定して使うことをオススメします。やみくもに色々なものを使うと、最後までやり切る前に試験日になります。それだけ簿記2級は内容が幅広いです。早速オススメのものを紹介すると、下記の様になります。
【テキスト】
①簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記2級 商業簿記テキスト&問題集(税込価格1,650円)
②簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記2級 工業簿記テキスト&問題集(税込価格1,650円)
【問題集】
①簿記教科書 パブロフ流みんな合格 日商簿記2級 商業簿記 総仕上げ問題集(税込価格1,980円)
②簿記教科書 パブロフ流みんな合格 日商簿記2級 工業簿記 総仕上げ問題集(税込価格1,980円)
【過去問】
よくわかる簿記シリーズ 合格するための過去問題集 日商簿記2級(税込価格2,200円)
【アプリ】
①パブロフ簿記2級 商業簿記(税込価格730円)
②パブロフ簿記2級 工業簿記(税込価格730円)
テキスト2冊、問題集2冊、過去問1冊、アプリ2つを駆使して勉強することをオススメします。
ここで気を付けたいのは、テキスト等紙媒体のものは最新版を購入することです。試験内容が改定されることがあるので、対応するためにも新しい物を買うようにしてください。
オススメな理由:パブロフくん テキスト&問題集
覚えるべき箇所のみ書かれていて分かりやすく、他の参考書と比べてくどくないです。各ページに書いてある4コマ漫画で理解が進みます。それから犬のパブロフくんが可愛いので勉強中に癒されます。
そして、このテキストを使っていて分からない箇所があっても、著者が更新しているブログから詳しい解説を見ることができます。文章だけでなく動画での解説もあり、更にはコメント欄で著者が質問にも返答してくれることがあるのでオススメです。
オススメな理由:パブロフくん 総仕上げ問題集
総仕上げ問題集ですが、テキストばりに解説が充実しています。重要な項目ごとにランク付けされているので、やりごたえもあります。
また、解答過程を著者の手書きでそのまま掲載されているので実際にどう解くのかが分かりやすく、頭に入りやすいです。
オススメな理由:合格するための 過去問題集
その名の通り、過去問題集が収録されています。直近12回分の過去問が載っています。通しで練習できるのは勿論のこと、カテゴリごとにも練習ができるので追いこみにも最適です。
オススメな理由:パブロフくん アプリ
仕分けの練習ができます。学習したテーマごとにもできるので、復習に最適です。仕分けをマスターすることで商業簿記の部分点を確実に狙えます。
また、間違えた個所はチェックを入れられるので弱点を洗い出して繰り返し勉強することにも役立ちます。
試験突破のポイント
簿記2級の点数配分ですが、商業簿記が60点、工業簿記が40点です。100点満点で70点以上を獲得すると合格です。
点数だけ見てみると「商業簿記を頑張れば良いのか。」と思うかもしれませんが、実は工業簿記に重点を置いて勉強することがキーとなります。
なぜなら、工業簿記は2級から始まる内容で難関だからです。理解するのに時間がかかると思いますが、工業簿記は出題傾向が安定しているので、コツを掴むまでしっかり勉強していると得点源にしやすいです。
一方、商業簿記は出題傾向が変わりやすい(ツイッターで炎上する程に難しい回もある)ので、もしかすると難問にあたりお手上げ状態になってしまう可能性もあります。
それでも商業簿記も勉強する必要があるのですが、何より大切なことは仕分の暗記なのでアプリをどんどん活用して練習していきましょう。
ひとまずの目標は、工業簿記で40点満点を取り、残り30点を商業簿記で取って合格することです。
試験内容について
こんなに役に立つ資格ですが、実際の試験内容はどのようなものか気になりませんか。ここでは、簿記2級の「試験科目」「試験日」「受験料」について紹介します。
【簿記2級の試験科目】
商業簿記(企業外部との取引を記録・計算する)3問(60点)と工業簿記(企業内部での資源の投入を記録・計算する)2問(40点)の合計5問(100点満点)から成り立ってます。
試験時間は120分です。
【試験日】
基本的に、年3回(6月、11月、2月)行われます。
申込受付方法や受付日時は商工会議所によって違うので、試験の約2カ月前に最寄りの商工会議所へお問い合わせください。
【受験料】
4,720円(税込)です。
受験のチャンスは年3回と割とありますが、受験料も中々高いですし、正答率70%以上で合格且つその難易度が高いのが簿記2級です。
まとめ
いかがでしたか。簿記2級について、下記の様にまとめます。
・簿記2級は実務的な内容の資格で、経理やコスト計算等に必要な知識が揃っているため企業から求められる資格である
・合格率は平均27%だけど、独学での合格も可能
・必要な勉強時間は250時間~350時間(4~6ヶ月)
この記事が独学での簿記2級合格へ役立てれば幸いです。