この記事を読んでいる人は行政書士について、
「行政書士って具体的にどんな仕事をするのか?」
「試験はどんなものなのか?」
「独学で取得できるものなのか?」
など思っているのではないでしょうか。
一言でいうと行政書士は国民と行政のパイプ役の仕事で、独学で取得することのできる資格です。
しかしこれだけでは、行政書士についてまだまだイメージできませんよね。
この記事では行政書士について理解を深められるよう下記について紹介します。
・行政書士という職業について
・試験の難易度
・独学で取得できる?
・独学での勉強について
目次
行政書士という職業について
まず行政書士がどういったものかというのと、業務内容について見ていきます。業務内容について知ることで行政書士についてよりイメージできるのではないでしょうか。
行政書士とは
日本行政書士会連合会によると、
「行政書士とは行政書士法に基づく国家資格者で、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する許認可用の申請書類の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明および契約書の作成、行政不服申し立て手続代理等を行います。」
とあります。
このような定義だけではイメージしにくいかと思うので次に業務内容を見ていきます。
行政書士の業務内容
行政書士は人の権利や財産を守る仕事です。
また扱う範囲が多く、10,000種類を超えると言われています。
具体的には下記のようなものに関して、書類作成業務、書類提出手続き・代理業務、相談業務を行います。
暮らしに関する業務
・遺言・相続の書類作成、契約書の作成、自動車関係、日本国籍取得、土地活用など。
ビジネスに関する業務
・法人関連手続き、外国人雇用関連、許認可申請、各種書類作成、コンサルティング、知的財産権など。
この中でも許認可は最も中心となる業務です。
例えば、自営業の人が提出しなければならない書類は複雑なものが多く、知識のない人が自分で行うのは大変なことです。これを代わりに作成し提出するのが行政書士の仕事です。
また、資格を取得すれば開業することも可能です。そして試験に合格することで就職や転職に有利になります。さらに手に職があることは定年退職後にも役に立つでしょう。
行政書士の働き方
行政書士の働き方は下記のようになっています。
独立開業
・一番多い形です。行政書士は試験に合格すると、研修や実務経験を必要とせず、登記手続きをすれば開業することができます。
行政書士法人の設立
・行政書士2人以上で開業することです。コストなどのデメリットもありますが、支店を設置することができ事務所を大きくできるなどのメリットもあります。
行政書士事務所へ勤務
・行政書士は独立開業する人がほとんどなので、雇用される形で働く人は少数派となります。
試験について
ここでは行政書士試験の概要から試験に出題される内容についても見ていきます。
出題される内容について知ることで、試験についてよりイメージできるのではないでしょうか。
行政書士試験の概要
名称 | 行政書士試験 |
受験資格 | 特にありません。 |
受験料 | 7,000円 |
受験会場 | 全国47都道府県で実施。 |
受験者数 | 4万人前後 |
試験形式 | 筆記試験(マークシート方式、記述あり) |
試験時間 | 3時間 |
出題形式 | 5肢択一、多肢択一、記述式。 |
実施期間 | 毎年1回、11月の第2日曜。申込期間は7月下旬から8月下旬まで。 |
主催団体 | 一般財団法人 行政書士試験研究センター |
問い合わせ先 | 03-3263-7700 |
試験に出題される内容
行政書士試験は300点満点で、合格基準は6割の180点です。
内容としては下記の通りですがこの中でもさらに細分化されているものもあり、やはり広範囲問うことがわかります。
法令科目
・基礎法学(2問:8点)
・憲法(6問:28点)
・行政法(22問:112点)
・民法(11問:76点)
・商法(5問:20点)
一般知識
・政治・経済・社会(7問:28点)
・情報通信・個人情報保護(4問:16点)
・文章理解(3問:12点)
行政法と民法の配点が大きいことがわかりますね。この二つで全体の約6割(196点)の配点になっています。合格点が180点というのを考えるとこの二つが重要なことがわかりますね。
しかし、180点を超えていても一般知識の方で24点を取らないと不合格になってしまいます。ですので、行政法と民法だけやればいいというものではありません。
行政書士試験の難易度
試験の難易度は自分にも挑戦できそうなものか判断する基準になりますね。
行政書士試験は「簡単」「難しい」のどちらの意見もあります。このことに触れながら、他の資格と比較していきます。
行政書士試験は簡単?
まず、「行政書士試験は簡単」、「行政書士試験は難しい」どちらの情報もあることについて解説をします。
「行政書士試験は簡単」と言われている背景には2つの要因が考えられます。
①昔の行政書士試験は穴埋めや選択問題が多かったため実際に簡単だったことです。運任せで誰でも受かることができ意味のない試験と言われていたこともあったようなので、これが現在にも引き続いて言われている可能性があります。
②地方・国家公務員に17年以上勤めれば自動的に行政書士の資格が与えられ行政書士の登録もできるといった制度があります。
このようなことが「行政書士試験は簡単」というイメージを付けてしまったのでしょう。
しかし現代の行政書士試験は5肢択一式が基本となっており他に記述問題、多肢選択式があります。
ですので、昔のような意味での「行政書士試験は簡単」というのは現代の行政書士試験には当てはまらないと考えていいでしょう。
他の資格との比較
行政書士試験の合格率は10%前後です。
この数値を他の一般的に難しいと言われている資格と比較してみると、
・不動産鑑定士 2~3%程度
・司法書士 3%程度
・社会保険労務士 6∼7%程度
・弁護士 8%
・公認会計士 7%前後
・行政書士 10%前後
・税理士 15%程度
このようになっています。最難関の不動産鑑定士に比べると可能性を感じられますが、それでも国家資格の中でも難しいものだという事がわかります。
行政書士は独学でも取れるのか?
結論から言って、行政書士試験は独学でも取得することは可能です。
しかし法律についての知識のある人とそうでない人、個人の学習効率が関係してきます。
法律について知識のある人
大学で法律を学んだことがある、司法書士や弁護士を目指して勉強したことがあるなど、法律についての知識のある人なら独学でも短期間に行政書士試験に合格することは十分可能でしょう。
基礎が理解できている分、合格する力を短期間に身に着けられるからです。
法律について知識のない人
一方、法律について全くの初心者の場合、独学での合格はかなり難しいようです。
まず法律についての理解に時間がかかります。そして法律の内容を理解し、行政書士試験の問題をすらすら解けるレベルになるのにさらに時間が必要だからです。
しかし、初心者でも行政書士試験に合格した人はいますし、法律について知識のある人と比べたら大変なことは否めませんが、充分に合格の可能性はあるのではないでしょうか。
おすすめのテキストをいくつか紹介します。
テキスト
・『うかる!行政書士 総合テキスト』
フルカラーで別冊六法が付いています。赤シートにも対応していて確認問題もあります。
・『合格革命 行政書士 基本テキスト』
図表が豊富で、赤シートにも対応しています。また確認テストもあります。
・『みんなが欲しかった! 行政書士の教科書』
フルカラーでイラストの図解や赤シートに対応したテキストです。
また、費用は高くなりますが、より効率的に資格取得を目指すには通信講座の受講を加えることも視野に入れても良いでしょう。
参考に人気の通信講座を紹介します。
通信講座
短期間に最小限の労力と費用での合格を目指すことのできる、新しい学習スタイルを導入しています。
イラストやフルカラーのテキスト、24時間受付の質問受付が強みの通信講座です。
低価格でスマホで学習できることが強みの通信講座です。
何から手を付けていいのかわからない人
いざ独学で挑戦しようと思っても、行政書士試験はたくさんの科目があり何から手を付けていいのかわからない人もいるのではないでしょうか。先に勉強することが良いとされている科目は憲法です。良いとされている理由を解説します。
憲法
・憲法はすべての法律の基礎であり、通信講座でも憲法から勉強することが多い。行政法にも絡みがあることから初めに勉強する方が良いでしょう。
・配点の大きい民法ですが、範囲が広いため途中で挫折する可能性がある。
・行政法も配点の多い科目ですが、憲法が絡んでくる。
配点の多い科目を先に勉強した方が良いのではと考える人が多いのではないでしょうか。しかし上記から憲法を最初に勉強するのがいいでしょう。
しかし、継続するのが得意な人は民法を先に勉強しても良いでしょうし、人それぞれ能力に差があるので自分に合わせてどの科目を最初に勉強していくか検討してください。
合格までに必要な勉強時間は?
合格している人は平均何時間ほど勉強しているのかって気になりますよね。
それを把握すれば自分の勉強時間を確保する目安になりますね。
勉強時間
行政書士試験合格のための必要勉強時間は平均500∼1,000時間と言われています。
大きく幅がありますが下記のような目安です。
・法律について知識がある人の平均勉強時間は300∼500時間
・法律について知識のない人の独学での平均勉強時間は800∼1,000時間
勉強を始める時期
勉強を始める時期としては9∼12ヶ月前がいいようです。
これは法律について知識がなく、仕事をしながら勉強していく人(800∼1,000時間の勉強)を例に考えています。平日2時間、休日4時間の12ヶ月間で計算すると1,000時間ほど勉強できることから、このように考えられます。
もちろん勉強できない日や個人の実力の差もありますし、行政書士試験の範囲は広いです。ですのでそれらを考慮することは大切ですが、目安としてこのようになります。
まとめ
これまでをまとめますと、
・行政書士は国民と行政のパイプ役で、人の権利や財産を守る仕事
・合格率は10%前後
・独学でも取得することは可能
・必要勉強時間は平均500∼1,000時間
行政書士について理解が深まったでしょうか。