我が国日本を背負って働く、国家公務員。
人気の職業である公務員の中でも、憧れの職業ですよね。
「国家公務員には、どんな種類があるの?」
「どうやったら国家公務員になれる?」
「国家公務員の年収は?」
国家公務員について、以上のような疑問をお持ちの方のために、
この記事では以下の項目について詳しく説明していきます。
・国家公務員の種類
・国家公務員のなり方
・国家公務員の年収
目次
国家公務員の種類と概要
国家公務員は、以下の図のように、いくつかの種類に分類されています。
<国家公務員の分類図>
まずはじめに、それぞれの職種の大枠について、解説をしていきます。
上図の青枠のように、国家公務員には大きく分けて、一般職と特別職の2種類があります。
一般職について
一般職は、主に行政の仕事を担当します。
外務省や厚生労働省など、1府13省庁で働く国家公務員を指します。
一般職は、さらに総合職・一般職・専門職の3種類に分かれています。
総合職とは?
「国家総合職」などとも呼ばれ、いわゆる「キャリア官僚」を指しています。
一昔前は、国家Ⅰ種と呼ばれていました。
若いうちから、国の政策の企画・立案、予算編成などに携わります。
省内での異動を繰り返していろんな経験を積みながら、早いスピードで昇進していくのが特徴です。
将来的には、各省庁での幹部となったり、議員や知事などに転身して活躍したりする人もいます。
一般職とは?
「国家一般職」とも呼ばれます。
一般職の分類の中に、また一般職とあるので、わかりにくくなっていますが、
国家一般職の役割は、国家総合職が策定した国策の実行部隊であると言えます。
実務は、事務処理などのルーティン業務がメインとなります。
専門職とは?
国家専門職は、その名の通り専門性の高い仕事がカテゴライズされています。
国税専門官・労働基準監督官・皇宮護衛官・航空管制官など、かなりたくさんの職種があります。
また、海上保安大学校や気象大学校など、卒業後は関連省庁で働くことが一般的ですが、
大学校に在学中の学生であっても、扱いは国家公務員の専門職となることが特徴です。
特別職について
ここまでは、国家公務員の一般職と呼ばれる3種類の職種についてご説明してきました。
一方、特別職と呼ばれる職業は、主に以下のような職種があります。
・大臣
・裁判官、裁判所職員
・国会職員
・防衛省職員
など
一般職が、行政を担当していたことに対し、特別職は、司法と立法の分野を主に受け持っています。
特別職は、司法・立法・防衛といった分野の性質上、仕事においての成果主義を求めるべきでないと判断されている職種です。
国家公務員のなり方
ここでは、国家公務員の職種別に、試験の内容や受験資格について解説していきます。
職種は以下の通りです。
・国家総合職
・国家一般職
・国家専門職
・特別職
国家総合職になるには?
国家総合職になるためには、主として以下2つの受験資格の枠があります。
①院卒者試験…大学院修了(および修了見込み)で30歳未満の者
※法務区分は、司法試験合格者など
②大卒程度試験…21歳以上30歳未満の者
※大学卒業(および見込み)の者は21歳未満でも可
※教養区分は、20歳でも可
②の「大卒程度」という枠は、必ずしも大学卒業が必須でないことが特徴です。
また、試験は以下のステップを踏む必要があります。
1.採用試験
2.官庁訪問
3.内定
1.採用試験
採用試験には、一次試験と二次試験があります。
試験方式は、多肢選択式や記述式、論文などの筆記試験がメインとなっています。
二次試験では、区分によって、討論や面接なども入ってきますので、
自分が希望する職種に合わせた対策が必要です。
また、公務員試験には、足切りが存在します。
基準点を満たさなかった科目があった場合は、その時点で不合格となりますので、注意が必要です。
2.官庁訪問
採用試験の合格者は、次のステップである官庁訪問に進みます。
「訪問」という名前がついてはいますが、要は面接試験です。
官庁訪問の期間は、土日を除いて10日間。
自分の希望する官庁から、最大3カ所選んで臨むことができます。
2週間の間に、複数の官庁の面接を受け進み、
最終的に1つの官庁を、最大5回の面接にクリアすることで、内定を勝ち取ることができます。
3.内定
上記でわかるように、採用試験に合格するだけでは、国家総合職になることができません。
採用試験の合格は、3年間有効です。
有効期間年度内に、官庁訪問で内定を受けて初めて「就職先が決まった」と言うことができます。
国家一般職になるには?
国家一般職の受験資格枠は、主として以下の3つです。
①大卒程度試験…21歳以上30歳未満の者
※大学・短大・高専卒業(および見込み)の者は21歳未満でも可
②高卒者試験…高校卒業後2年以内、もしくは卒業見込みの者
※中学卒業後、2年以上5年未満でも可
③社会人試験…40歳未満の者
※高卒者試験の受験資格の者以外
国家一般職の受験資格も総合職と同様に、学歴はあまり関係なく、
幅広い人が試験にチャレンジできる制度になっていると言えます。
また、国家一般職の試験の課程は以下の通りです。
1.採用試験
2.官庁訪問
※高卒者試験・社会人試験では、採用面接
3.内定
1.採用試験
国家一般職の試験も、一次試験と二次試験があります。
一次試験は、多肢選択式の試験と論文試験の組み合わせが多くなっていますが、
区分によっては、記述式の試験があるところもあります。
二次試験は、面接となっているところがほとんどです。
2.官庁訪問
国家一般職は、大卒程度試験の受験枠のみ、官庁訪問があります。
官庁訪問の期間は、土日を除き、5日間。
期間内で複数の官庁を訪問することができますが、内定を受け取ることができるのは1カ所のみです。
そのため、どの官庁の面接を進めていくのか、短期間での選択とスケジューリングが重要になってきます。
内定が出るまで、1つの官庁につき、5回程度の面接を受け進むことになるようです。
また、官庁訪問の前にある説明会も、現実的には合否に関係する大切な要素となっているようですので、必ず参加しましょう。
なお、高卒者試験・社会人試験では、この官庁訪問はありません。
代わりに、採用面接という面接試験を受けることになります。
3.内定
国家一般職の場合でも、人事院での採用試験の後に、官庁での試験に合格する必要があります。
採用試験の有効期間は、総合職と同じ3年間です。
国家専門職になるには?
専門職には、たくさんの職種がありますが、
以下のように「大学卒業程度」と「高校卒業程度」で受験できる職種が変わってきます。
大学卒業程度 | 皇宮護衛官 外務省専門職員(外交官) 国税専門官 労働基準監督官 防衛省専門職員 など |
高校卒業程度 | 皇宮護衛官 刑務官 入国警備官 税務職員 など |
受験資格や試験内容も、もちろんそれぞれの職種ごとに規定があります。
総じてご説明すると、受験資格は主に年齢制限となっています。
大学卒業程度は、大半が「21歳以上30歳未満」となっており、
高校卒業程度は、「高校卒業見込み、または卒業後2~6年以上経過していないこと」という条件が多く見受けられます。
試験は、一次試験と二次試験から構成されています。
一次試験は、筆記試験がメイン。
多肢択一式、記述式、論文などが、それぞれの職種ごとに定められています。
二次試験は、面接が設けられている職種が多いようです。
また、職種柄、身体検査や体力検査が設けられている職種もあることが特徴です。
特別職になるには?
特別職も、複数の職種があり、それぞれの基準が設けられています。
ここでは、代表的な以下の2種について、簡単にご説明します。
・裁判所職員
・国会職員
裁判所職員のなり方
裁判所には、裁判官のほか、事務官や書記官、調査官といった職種の人が働いています。
裁判官になるには、司法試験に合格するということは有名ですが、
その他の職種には、どのようにしてなれるのでしょうか。
事務官については、若干名ではありますが、毎年採用が行われています。
書記官・調査官は、事務官になった後、働きながら目指す職となります。
裁判所事務官には、総合職と一般職の採用枠があり、筆記試験や面接で内定が決まります。
総合職の採用試験には、「院卒者試験」と「大卒程度試験」の2種類があり、
一般職の採用試験には、「大卒程度試験」と「高卒者試験」の2種類があります。
国会職員のなり方
国会では、選挙で選ばれる国会議員のほかにも、国会を運営するための職員が働いています。
国会には、衆議院と参議院があり、それぞれ別機関であるため、採用も別々に行われます。
このような国会職員にも、総合職と一般職があり、
総合職は「大卒程度区分」、一般職試験は「大卒程度区分」と「高卒者区分」の3区分に分けられています。
試験内容は、一次試験、二次試験、総合職であれば三次試験まであり、
筆記試験は、多肢選択式や記述式から論文まで、面接や口述試験もある上に、
採用人数は若干名なので、かなり難易度の高い狭き門になっています。
国家公務員の年収
公務員の給料は、安定というイメージがありますが、具体的にはどれくらいなのでしょうか。
実は、公務員の給料は、民間会社サラリーマンの平均的な年収よりほんの少し多くなるように、意図的に設定されているそうです。
その理由は、民間より収入が少ないと、良い人材が集まらなくなってしまうためで、
民間より多い収入だと、税金の無駄遣いだと批判の的となってしまうため、ということです。
では、以下の職種がどれくらいの収入額になっているのか、順番にご説明しましょう。
・国家総合職
・国家一般職
・国家専門職
・特別職
国家総合職の年収
国家総合職の初任給は、院卒で月に約24.5万円、大卒程度で約21.8万円となっています。
ボーナスも出るので、年収に直すと350~400万円となります。
高給なイメージの総合職ですが、初任給はどの職種も同じくらいの金額になります。
しかし、国家総合職は昇給スピードが速いことが特徴でした。
40歳前後では、ほぼ何かしらの役職についているため、平均的な年収は700~850万円程度になるようです。
総合職で「指定職」と呼ばれる上級の職に就いた場合の年収は、以下のようになっています。
・本府省課長クラス 約1200万円
・本府省局長クラス 約1700万円
・事務次官 約2300万円
国家一般職の年収
国家一般職の初任給は、一言で言うと月給約21~24万円程度となります。
警察官などの公安職が、少し高めに設定されているようです。
国家一般職の平均的なモデル年収は、40代前半で約650万円となっています。
国家専門職の年収
国家専門職には職種がたくさんありますが、初任給はどこも同じくらいで、月給は20~24万円程度です。
平均年収は、いくつかの職種を例に挙げて見てみましょう。
40代前半を想定した平均年収は、以下の通りとなっています。
国税専門官 | 約700万円 |
労働基準監督官 | 約650万円 |
外務省専門職員(外交官) | 約650万円 |
航空管制官 | 約700万円 |
特別職の年収
ここでも、裁判所職員と国会職員を代表例として見てみましょう。
裁判所と国会、勤務場所や仕事内容は全くことなりますが、給与面では同じくらいの待遇となっています。
初任給は、大学卒業程度で月に約20万円、高卒程度で約18万円となっています。
裁判所職員の院卒であれば、月に約24万円です。
平均年収は、40代前半で約650万円。
このようにして、国家公務員の年収事情を並べてみると、
多少の差異はありつつも、どの職種もだいたい同じくらいの金額になっていることがわかります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
国家公務員の種類、なり方、年収について解説してきました。
種類
・国家公務員には、大きく分けて「一般職」と「特別職」がある
・「一般職」は、さらに3種類あり、「総合職・一般職・専門職」に分けられる
なり方
・国家総合職と国家一般職は、採用試験の後の「官庁訪問」を経て内定が出る
・国家公務員試験は、受験枠が「高卒程度」「大卒程度」「院卒」と複数あり、幅広い窓口を設けている
年収
・公務員の年収は、民間サラリーマンの平均年収よりほんの少し多い程度
・初任給:月に17~24万程度
・40代前半の平均年収:650~850万円
この記事で、国家公務員について、体系的に把握していただけましたら幸いです。