社労士は国家資格です。
社会保険と労務の専門家として、企業の労働・社会保険の手続き代行などを行います。
社労士の資格を持たない者がこうした業務を行うことはできません。
とはいえ、社労士は人気な資格であるため、持っている人が多く、取っても意味がないのではないかと思ってしまう人も、いるのではないでしょうか。
そこで今回は、社労士を取る意味と、年収やコスパ、将来性について解説していきます。
社労士を取る意味は「ある」
社労士は社会保険と労務の専門家です。
特に労働保険や社会保険の代行業務に関しては、社労士の資格が必須です。
つまり日本に企業が存在する限り、社労士は必ず必要になりますので、社労士の資格を取る意味は大いにあるといえるでしょう。
たしかに、社労士の資格を持っている人が増えれば、仕事が減ってしまうのは事実ですが、現状はその心配はいりません。
というのも、日本は現在単純計算で、社労士1人につき150社程度を支えている状態です。
1人で150社の企業を支えるのは、物理的に不可能です。
つまり、社労士の人手はまだまだ足りていないのです。
また、社労士は労働保険・社会保険といった、労働者や経営者が知っておくべき知識の専門家です。
社労士以外の仕事をする場合でも、その知識が役に立つのは間違いないでしょう。
社労士の平均年収はやや高め
資格を取得する上で気になるのは、収入がどれくらいなのかですよね。
厚生労働省の2018年度 賃金構造基本統計調査」によると、社労士の平均収入は次の通りになります。
月給:359,500円
年間賞与など:683,400円
以上のデータから、社労士の平均年収は500万円程度と求めることができます。
国税庁の民間給与実態調査では、平成30年度の日本の平均年収が4,410,000円となっています。
おおよそ、社労士の平均年収は日本の平均年収より600,000円ほど高いということになります。
ですので、社労士の平均年収はやや高めであることがうかがえます。
ただし、一点だけ注意が必要なのが、社労士として働くためには都道府県の社会保険労務士会に入会する必要があるため、年間42,000円~96,000円の年会費が発生します。
東京都社会保険労務士会の場合
入会金 | 年会費 | |
開業会員 | 50,000円 | 96,000円 |
勤務等会員 | 30,000円 | 42,000円 |
社労士のコスパは良い
収入が良くなるとはいえ、資格を取得するのが難しいのあれば、コスパが悪いので、他の資格を取った方が良いと考えますよね。
しかし安心してください。
社労士はコスパの良い資格と考えて問題ありません。
例えば、社労士の平均年収と同じ年収500万円台の職業としては、次のような職業が挙げられます。
- 社会保険労務士(社労士)
- 各種学校・専修学校教員
- 航空機客室乗務員
- 診療放射線・診療エックス線技師
- 看護師
- 測量技術者
(平均月収、年間賞与が近いものを記載)
中には大学で専門的な内容を学ばなければ取得できない資格もありますが、社労士は、一般教養を学ぶ大学を卒業するだけで、受験資格を満たすことができます。
上記の職業ほど内容も専門的ではないため、専門性の高い大学を卒業する必要がないというのは社労士ならではのポイントです。
また、社労士の試験に合格するためには、1000時間程度の学習が必要と言われております。
1000時間と聞くと、かなり大変に聞こえるかもしれませんが、1日2時間を500日続ければOKと考えれば、おおむね2年もあれば資格を取得できることになります。
実際、他の人気資格も同じくらいの学習時間が求められることも加味すると、決して長い学習時間が必要な資格ではないと言えます。
もし、試験対策に通信講座を受講する場合、7万円程度の費用がかかると考えておくと良いでしょう。
例えば、フォーサイトの「社労士通信講座」で「バリューセット1」を受講する場合、75,800円が掛かります。
こちらは基本講座と過去問講座をセットで学べるお勧めのプランです。
eラーニングシステムの「道場破り」というものを使うことで、スマホで気軽に豊富な動画コンテンツを視聴することができる点もポイントです。
社労士に将来性はあるの?【海外の実例から考察】
たしかに、今では多くの仕事がAIによって奪われると言われているので、将来性は心配になりますよね。
実は、社労士が不要になっている国が実際にあります。
それは、ヨーロッパの世界一の電子政府とうたわれる国、「エストニア」です。
行政サービスのほとんどをオンライン化し、その多くを24時間365日利用可能なエストニアでは、税理士が不要になっているというのです。
社労士と同じく国家資格である税理士が不要になるというのは驚きです。
とはいえ、ITが代替できた税理士の仕事は、定型業務やデータ入力業務といった一部の仕事のみです。
社労士においても、単純な手続き代行であればITに代替されてしまうかもしれませんが、人事・労務管理のアドバイスといった仕事については引き続き残ると考えられます。
ただし、日本でも労働に関して、今後も様々な法律が作られると思うので、社労士は今まで以上に柔軟な対応を求められるようになるでしょう。
また、労務などの制度に関する知識を巧みに活用して、企業や労働者にとってよりよいアドバイスができるような力も必要でしょう。
結論として、社労士には将来性があると考えられますが、今後はより高度な仕事が求められると思われます。
まとめ
今回は、社労士を取る意味と、年収やコスパ、将来性について解説していきました。
まとめると、
- 社労士資格は社労士に必須の資格で、平均年収より高いため、取る価値は大いにある
- 他の専門性のある資格や職業と比べ、取得に要する時間とコストが低く、コスパが良い
- 将来性はあるが、今後はより高度な仕事が求められる
となります。
働く限り有益に働く社労士資格、取得を目指してみてはいかがでしょうか。