将来、安定的な生活を考えた時、多くの職業の一つに公務員を思い浮かべる方も多いでしょう。
特に祖父母世代の方からは太鼓判を押される程、社会に認められやすい無難な職業といっていいでしょう。
その上で、公務員の難易度や倍率は、ご存じの通り非常に高いことは言うまでもありません。ただ、公務員初級であれば、自分にもチャンスがあるのではないかと考える方もいるでしょう。
そこで、
「公務員初級であれば私もチャレンジできるかな?」
「高卒でも受けられるの?」
「転職を考えているけれど、公務員初級の試験を受けてみようかな?」
と、お考えの人の為に
・公務員初級のレベルや職種について
・公務員初級試験の難易度や試験内容について
・公務員初級試験を独学が合格する方法
など、ご紹介します。
是非、参考にされ全力でチャレンジしてください。
目次
公務員の中の公務員初級とは?
公務員と一言でいってもレベルや職種はさまざまです。国会議員や教員も公務員ですし、都道府県庁や市役所の職員や警察官、消防官も公務員です。
その中に大卒者対象などの上級や中級レベルや、高卒者対象の初級があります。
この高卒者対象の初級は、地方公務員を示します。
ここでは、「初級」と分類していますが、自治体によっては「高卒程度」と明記している場合もあります。その他、一部では「3種3類」や「B区分」という名称にしているところもあるようです。
地方公務員とは、都道府県庁や市町村の職員です。
その中には、さまざまな職種があります。
行政職:都道府県庁や市役所の事務処理や管理(一般事務、学校事務、警察事務など)
公安系:警察官や消防官など町の治安や安全を保つ
心理・福祉職:児童相談所やこども家庭支援センターなどのカウンセラーなど
資格免許職:幼稚園の先生や保健師などの専門資格を有するもの
技術職:土木や電気などの専門的知識が求められる(設備の点検・管理などの定型的な業務など)
同じ職業でも、それぞれ初級~上級と募集する区分が分かれており、試験も違いますので公務員初級でも採用される可能性は十分あります。
公務員初級の地方公務員になるために
では、公務員初級に分類される地方公務員になるためにはどうしたらいいでしょう。
まず、公務員初級試験にあたる自治体採用試験に合格しなければなりません。
受験条件を見てみましょう。
受験条件
年齢の規定:殆どの自治体で18歳~21歳(試験が行われる年4月1日で17歳~20歳の方)を受験可能年齢に設定、稀にそれ以上の場合もある
最終学歴:必ずしも高卒以上の学歴ではなく、試験の内容が高等学校卒業程度ということです。よって、高校中退や高卒認定資格でも受験可能
ただ、一部の自治体により条件が違う場合もあるので、事前に試験案内で確認しておきましょう。
このように、年齢の規定から4年制の大学卒業者は受験できませんのでご注意ください。
公務員初級の職種選び
先ほど説明したように地方公務員の職種の中には、さまざまな種類があります。
そこで、試験を受ける前にしっかり仕事の内容や勤務先、特徴などを確認しておく必要があります。
ポイント
・都道府県庁の仕事であれば、都道府県内の移動があります。
・市役所では市内の移動です。
・警察官は都道府県、消防官は市町村での勤務地になります。
・同職種でも配属部署によって幅広い対応を求められます。
・自分が選んだ職種や職業が自分は向いているのか。
など、本当に公務員になりたいのか、どんな仕事がしたいのかを再度考えてみてください。
公務員試験は、初級といっても倍率はかなり高いですから、強い意志がなければ途中で挫折してしまいます。
もし、事前にその職業の体験や見学、ボランティアやアルバイトなどがあれば積極的に参加してみてください。
公務員初級試験の内容
では、公務員初級試験の内容についてみてみましょう。
自治体によって試験日は多少違います。
試験日程
<試験案内> 5月~7月頃
<1次試験> 9月下旬に実施(一部の道府県を除く、東京都Ⅲ類と特別区Ⅲ類は別日程)
<2次試験> 10月上旬~下旬
<合格発表> 11月上旬~下旬
国家公務員の高卒者試験と日程が違うので両方受験することも可能です。
試験内容
<出願時>
・エントリーシート提出
<1次試験>
・教養試験:一般知能(数的処理、文章理解)一般知識(人文科学、自然科学 社会科学)
・時事問題
・作文
<2次試験>
・個別面接(他、集団討論を行う場合がある)
・適性検査
出題形式は、多肢選択型(マークシート)が主です。
教養試験の一般知識と一般知能は各25問/計50問で、試験時間120分で行われることが多いようです。
自治体により教養試験のみや、エントリーシートと面接のみの場合もあります。
その他、技術系などの有資格者対象の試験は、資格取得の他にも専門試験が実施されます。
公務員初級試験の難易度は?
試験は、各自治体単位で行われますが、内容については「高校卒業程度」ですから、高校レベルの勉強をしっかり行っていれば、それぼど難しくはないようです。
ですが、しっかり点数を取らなければ合格できません。
公務員初級であっても、例年希望者が多く倍率が非常に高いです。
一部では、国公立大学受験並みの学力が必要とも言われます。
地方により倍率が違います。参考までに2019年度の各倍率をみてみましょう
<合格者倍率:高い順からベスト5>
沖縄県:一般事務(610.0倍)警察事務(26.5倍)
愛知県:警察事務(20.3倍)
熊本県:警察事務(18.5倍)
静岡県:行政(16.8倍)
長野県:行政(15.8倍)
1次試験合格者は、2倍~3倍程度ですが、最終合格者の倍率は平均で5倍~12倍です。
ですから、競争率は高く難関試験といえるでしょう。
余談ですが、沖縄県がなぜ他の都道府県に比べダントツ倍率が高いのか、それには、公務員の年収の良さと雇用の安定の評価が非常に高く、県民の公務員への憧れが強いようです。
公務員初級は独学でも合格できるのか?
公務員初級試験が難関であることがわかった所で、「こんな倍率が高いなら独学なんて絶対無理!」と思った方も多いと思いますが、いえいえ、諦めるのはまだ早い。
公務員初級は、3年間の年齢規定があり、高卒程度の試験内容だからこそ独学でもチャンスがあると言えるのです。
独学の他に、専門学校や通信講座もあますから、専門学校や通信講座を受けた方に比べたら独学は厳しいのは確かです。
ですが、勉強の仕方や時間の使い方、強い意志によっては、独学の方がむしろ頑張れるかもしれません。
合格するための勉強法
そこで、独学で公務員初級試験を受けると決めたら、試験日から逆算して少なくても6ヶ月以上前から試験の為の勉強を始めた方がいいでしょう。
もちろん元の学力によりますが、1次試験の教養試験の中には、公務員試験特有の問題がありますから、合格するためには試験に受かるための勉強をしっかり時間をかけて行うことをお勧めします。
また、倍率が高い試験ですから、他の人と同じように勉強していては決して受かりません。
自信がなければ1年以上の期間を持ってもいいので、高校生であれば高2の9月から、遅くても高3の4月までに試験をスタートさせなければなりません。
学習のポイント
・数年分の過去問を行い、苦手な部分を知る
・過去問で間違った部分を参考書や問題集で補う
・1冊の問題集を2周~3周行う
・毎日1日平均3~4時間程度は公務員初級の勉強をする
・幅広い科目の中から出題されるため、1教科に拘らず広く要領よく行う
・自分に合った参考書を揃える
・少しの空き時間も利用して暗記などを行う。
公務員試験は、例年過去問と似た問題が出題される傾向が高いので過去問を熟すことはたいへん重要です。
一般知識は、範囲が広く教科も多いため、各科目で頻出問題がまとまっている問題集に絞って勉強するといいでしょう。
問題に取り組む前に、出題科目についての特徴を見ておきましょう。
試験に出る教科の特徴
数的推理:算数や数学のような問題で、文章問題を複雑にしたものや図形問題などです。
文章理解:高校の現代文、英文、古文・漢文といった問題です。長文だと時間がかかるので、時間配分に注意が必要です。
判断推理:クイズ感覚で解くといいかもしれません。表や図をつかって条件を解いたり、空間把握などがあります。
資料解釈:図形や表、グラフなどのデーターを分析して正しいものを選ぶ問題です。
人文学科:日本史、世界史、地理、文学、芸術、思想からなる問題です。
社会学科:政治、経済、社会の3科目からの問題です。
自然科学:数学、物理、化学、生物、地学からの問題です。出題数の1/4を占めるのでしっかりした対策が必要です。
数学推理と文章理解は、高校の勉強をしっかりやっていれば、だいたい理解できる内容です。過去問を使って問題に慣れるといいでしょう。
人文科学と社会科学は、ひたすら暗記するのがいいでしょう。
高校などで勉強しないような内容が結構あるので、始めは全然わかんなくて戸惑うでしょう。そんな時は、まずひたすら問題を解いてみることをお勧めします。
おすすめ参考書と問題集
では次に、お勧めの参考書と問題集を紹介します。
まず過去問ですが、書店の公務員試験コーナーで「教養試験の過去問集」を1冊購入することをお勧めします。
過去問集は、近年出題された頻出の高い問題が出ていますので2回、3回繰り返して行うことで、出題傾向と自分のレベルが分かります。1冊を1周するのに何日かかるか計画を立てて取り組んでください。
まず1冊から始め、その問題集を熟知できたら次の問題集を用意するといいでしょう。
一問一答のものもありますし、問題の横に解説がついているものなど色々あるので、自分が使いやすいものを選んでください。
家で行うしっかりした過去問集もいいですが、電車やバスなどの通学中にちょっと開くことを考えると持ち運び安いものもあると便利です。
人気の参考書&問題集
- 地方初級 教養試験 過去問350(実務教養出版)
- 7日でできる! 「初級」地方公務員過去問ベスト (高橋出版)
- 無敵の地方公務員[初級]過去問クリア問題集 (高橋出版)
- 初級地方公務員予想問題(新星出版社)
- 公務員試験/畑中敦子シリーズ高卒程度公務員試験(畑中敦著)
- 地方公務員一般知識らくらくマスター(実務教育出版)
- 公務員試験 新。初級スーパー過去問ゼミ
- 超重要 公務員試験過去問題地方初級 高卒程度(コンデックス情報研究所)
- 公務員試験 マル秘裏技大全(津田秀樹著)
全体の問題集の他に、苦手分野の参考書もそれぞれ準備するといいでしょう。
作文について
公務員初級の作文は、上級や中級に比べて理論立てて考えるなど細かい箇所まで気を遣わなくて大丈夫のようです。
ですが、読みやすく理解しやすい文章を書かなければなりません。
日ごろから自分の気持ちを文章に表す練習をしておいた方がいいでしょう。
普段から文章が苦手で、文章の組み立て方などが分からない時は、練習に書いたものを親や兄弟、学校の先生など第三者に見てもらいましょう。
また、参考書(初級公務員面接・作文の完全マスター/資格試験研究会 など)を準備する方法もあります。
二次試験
一次試験に無事合格できたら、翌月すぐに2次試験が行われます。
2次試験では、通常個人面接です。その他自治体によっては適性検査などがあるので、事前に確認しておきましょう。
近年、残念なことに公務員による不祥事も多いことから、面接を重視し人柄、対人的能力、人間性が見られます。
ですから、面接の練習もしっかりおこなった方がいいでしょう。
面接では、将来しっかり働くことをアピールするなど、その仕事に就きたい意思をはっきり言えるようにしてください。
練習には、面接官の年齢に近い親族などに相談してみてもらうといいでしょう。
適性試験がある場合は、適性試験の問題集がいくつか出版されているので、1冊くらいは行っておくといいでしょう。
まとめ
公務員初級について説明させていただきました。
・公務員初級試験は、高卒程度の内容になっているので比較的ねらい目
・公務員初級の規定年齢は、18歳~21歳(試験が行われる年4月1日で17歳~20歳の方)
・公務員初級の倍率は、平均5倍~12倍で難関
・公務員初級試験に合格するには、1日平均3~4時間程度を6ヶ月以上行うことで独学でも可能
などをご紹介しました。
公務員初級試験を受けるチャンスは、およそ3年間(18歳~21歳)という短い期間しかありませんので、チャンスを逃さず思い切ってチャレンジすることをお勧めします。
ただ、受けると決めたら全力で取り組まなければ、中途半端な気持ちでは合格できません。