どんなことを学び、費用はどのくらいかかるのかなど知りたいことがあると思います。
・交流分析士とはどんな資格なの?
・交流分析士の資格を取るのにどのくらい費用がかかるの?
・試験はどのくらいの割合で合格するのかな?
今回このような疑問がある方に
・交流分析士の資格について
・かかる費用
・試験の合格率
を解説していきます。
目次
交流分析士とは
交流分析(TA=Transactional 交流Analysis分析)とは「人の心と行動を快適にする」心理学のことをいいます。
アメリカの精神科医であったエリック・バーン博士によって開発されました。
「精神分析の口語版」といわれ、精神分析を土台に人間性心理学を取り入れて開発された心理療法のことです
「交流分析」とは人間同士の交流を深いレベルで分析する力を身に付けることをいいます。
心理療法といっても団体(教会や学会)が認定する「民間資格」となります。
交流分析士の資格を認定してくれるの所は2つあり、名前は似ていますがそれぞれが違う団体となります。
「NPO法人日本交流分析協会 交流分析士」・・・ 協会が認定
「日本交流分析学会 交流分析士」・・・ 学会が認定
何が違うのか簡単に説明すると
「協会の認定」は「学生や一般人から教育者」向け。
「学会の認定」は「専門的、カウンセリング色が強く医療従事者」向け。
となります。
交流分析士の資格はどうやったらとれるの?
交流分析士の資格は「NPO法人日本交流分析協会 交流分析士」と「日本交流分析学会 交流分析士」とで取得方法が変わってくるのですが、どのように違うのかを見ていきましょう。
協会の資格
協会の資格を取る場合「初級」→「2級」→「1級」→「インストラクター」→「准教授」→「教授」と下の資格を取得すれば次の資格を目指せる仕組みとなっています。
また途中で「TA心理カウンセラー」や「TA子育ち支援士」と枝分かれすることも可能です。
初めて受ける場合「どんな講座なのか見てから決めたい」と不安もあると思いますので
初級資格の申し込みの前にまず「入門講座」を受けてみることをお勧めします。
入門講座は1日のみで終わりますし、料金も5,000円(テキスト代込)で受けられます。
まずは近くの支部の入門講座を調べてみましょう。入門講座参考ページ
協会の資格取得に必要な講座内容
協会は講座を受けなければなりませんが、どんな内容の講座なのでしょうか。
多くの方が初級から1級までの講座を取得しますので、カリキュラムを見てみましょう。
講座では「交流分析は7つのジャンルで構成」されていることを、初級から20時間とたっぷり時間をかけて理解をしていきます。
・ストローク(ふれあい)
・自我状態(心の成り立ち・エゴグラム)
・対話分析(コミュニケーション)
・人生態度(人生の基本的立場)
・心理ゲーム(いつものトラブルパターン)
・時間の構造化(時間の過ごし方)
・人生脚本(自分で描いたシナリオ)
「理論と実践」によって理解を深め、2級、1級と上がるにつれ時間も内容も深くなっていきます。
交流分析の講座を受けた受講生の皆さんは
- 受講後心が穏やかになり、心が温まった。
- 毎回自分や自分と近い人に当てはめて聞いており、とても楽しかった。
- 目標を持って勉強することが改めて楽しかった。
- 講座の階級が上がるごとにどんどん深い内容になっていきとても為になった。
このようは声があり、上級に上がり内容が難しくなるにつれ新しい発見や楽しさがあるようです。
自分の生活に学んだことを生かしたい方は1級までを目標に学びますし、
学んだことを人に伝えたり、仕事にしたい方は上のインストラクター以降を目指すことになります。
各講座の条件
では上を目指す方の為にも、上級になるのに必要な認定条件を見てみましょう。
各資格ごとに必要な認定条件を表にしたので確認します。
資格 | 認定条件 |
交流分析士初級 | 講座20時間受講。認定試験(1日)合格者 |
交流分析士2級 | 講座40時間受講。認定試験(2日)合格者 |
交流分析士1級 | 講座42時間受講。認定試験(2日)合格者 |
交流分析士インストラクター | 受講試験に合格後、基礎18時間実技20時間受講。認定試験(面接あり)合格者 |
交流分析士准教授 | イントラ取得後2年以上経過。関連講座受講、指導歴、論文審査、発表審査 |
交流分析士教授 | 准教授取得後3年以上経過。関連講座受講、指導歴、論文審査、発表審査 |
TA心理カウンセラー | インストラクター資格取得後1年以上経過。講座10日間受講。認定試験(学科・実技)合格者 |
TA子育ち支援士 | インストラクター有資格者 |
TA子育ち支援士(補) | 1.2級の有資格者 |
上級に上がるにつれ講座内容も深く難しくなりますが、インストラクター以降からは実技の時間も増えますし、指導歴、論文審査、発表審査なども加わってきます。
時間もかかりますので、仕事をしながら取得を考えている方はスケジュールをしっかり管理しないといけませんね。
学会の資格
「学会の資格」はどうなのでしょうか。
学会の資格取得は既に実践している方、「医療従事者等が対象」となりまた取得条件もかなり厳しくなります。
「講座を受け、試験を受ける」という流れではなく、研修会などで発表の実績を作らないと取得することは出来ません。
学会の資格内容
先ほどもお伝えしたように、学会は講座がありません。そのため資格の種類や取得条件はどうなのか気になりますね。
学会の資格には「種類が2つ」あります。
・日本交流分析学会認定 交流分析士
・日本交流分析学会認定 研修スーパーバイザー
研修スーパーバイザーの資格は、スーパービジョン(日本交流分析学会認定交流分析士の能力・資質・経験を高めるために実施される面接方式の教育訓練)で指導、助言を行うことができる資格となります。
この2つの資格を取得するのには条件があります。
学会の資格取得条件
学会にはカリキュラムや講座はありませんが取得するためには厳しい条件をクリアしなければなりません。
交流分析士の認定条件
- 学会に正会員として3年以上の所属歴
- 日本交流分析学会認定研修スーパーバイザーによる推薦が必要
- 学会・研究会での発表が2回以上ある
- 資格審査委員会の審査を経て理事長の承認、所定の会費を納入した方
研修スーパーバイザーの認定条件
- 日本交流分析学会認定交流分析士の資格取得から3年以上経過した正会員
- 交流分析に関する学会・研修会・研究会発表4回
- 交流分析に関する学術論文を2編以上記載
- 交流分析の実践歴 ケース5例以上
- 推薦書 本学会理事による記載のもの
費用はいくらかかるの
「協会」と「学会」で対象者が違いますし、特徴が違う為かかる費用も違います。
各講座の授業料やその他にかかる費用を見ていきましょう。
協会の資格取得にかかる費用
入会金等の初期費用の他に、講座、試験、登録料がかかります。
【交流分析士初級】
項目 | 一般金額 | TA奨学制度 |
講座 | 26,950円 | 21,100円 |
認定試験 | 17,600円 | 6,600円 |
登録料 | 13,200円 | 6,600円 |
2級編入講座授業料 | 30,800円 | 13,900円 |
会員登録料(入会金) | 10,000円 | 2,000円 |
合計 | 98,550円 | 50,200円 |
※初級のみ2級講座授業料がかかります。
【交流分析士2級】
項目 | 一般金額 | TA奨学制度 |
講座 | 58,850円 | 29,700円 |
認定試験 | 33,000円 | 11,000円 |
登録料 | 22,000円 | 11,000円 |
合計 | 113,850円 | 51,700円 |
【交流分析士1級】
項目 | 一般金額 | TA奨学制度 |
講座 | 65,560円 | 33,000円 |
認定試験 | 38,500円 | 11,000円 |
登録料 | 33,000円 | 11,000円 |
合計 | 137,060円 | 55,000円 |
【交流分析士インストラクター】
項目 | 一般金額 |
講座 | 64,900円 |
認定試験 | 33,000円 |
登録料 | 33,000円 |
合計 | 13,900円 |
【交流分析士准教授】
項目 | 一般金額 |
講座 | 0円 |
認定試験 | 33,000円 |
登録料 | 77,000円 |
合計 | 110,000円 |
【交流分析士教授】
項目 | 一般金額 |
講座 | 0円 |
認定試験 | 55,000円 |
登録料 | 110,000円 |
合計 | 165,000円 |
【TA心理カウンセラー】
項目 | 一般金額 |
講座 | 132,000円 |
認定試験 | 22,000円 |
登録料 | 33,000円 |
合計 | 187,000円 |
【TA子育ち支援士】
項目 | 一般金額 |
講座 | 36,300円 |
認定試験 | 11,000円 |
登録料 | 17,600円 |
合計 | 64,900円 |
一般的に見ると安くは無いですが、ものすごく高いわけでもない。
そんな印象です。
メモ
学生の方が学びやすい環境を整えられるよう「TA奨学金制度」というのもあります。
25歳以下の専門学生、大学生、高校生(夜間、通信、院生を除く)は入会金や年会費がかなり安く抑えることが出来ますので、対象に当てはまる方はチェック。
※奨学金制度申し込みの場合交流協会HPより「申し込み・資料請求」が出来るようなので取り寄せておきましょう。
学会の資格取得にかかる費用
こちらは受講は無いので認定審査料と登録料のみかかります。
認定審査料 10,000円
登録料 30,000円
試験の合格率はどのくらいなの
資格のレベルや団体によって試験も違うと思うのですが、合格率はどのようになっているのでしょうか。
協会の合格率
難易度は高めですが合格率は2級・1級は90%以上、インストラクター以降は80%以上の方が合格しています。
初級から1級は一般向けの内容となり、インストラクター以降はレベルが上がってきますのでもちろん難易度も上がってきます。
インストラクター以降の合格率は非公開となっています。
しかし難易度が高いのに「合格率が高い」のはなぜなのでしょうか?
それには理由があります。
2級から受験は2日となっていますが、そのうち1日半は受験の徹底的な復習をします。
なぜなら試験は落とす為の試験ではないからです。
このような考えから年3回しかない試験にみんな合格してほしい為の対処と言えます。
学会の合格率
学会の合格率は残念ながら非公開となっています。
認定方法がテスト基準ではありませんし、推薦や実績など条件が必要なので難易度は高いと想像できます。
どんな人が受講するの
では一体「交流分析士」の資格を取る人たちはどんな人が多いのでしょう。
「交流分析士の資格」には一般の方も気軽に学べる講座から、医療従事者や専門的な人を対象とした講座まで様々と説明しました。
その中で学生や一般の方を対象とした初級、2級、1級を学ぶ人達は
・なかなか対人関係がうまくいかない
・企業で部下や後輩を持つ立場になった
・就職活動や再就職に当たり自己分析が必要
・これから子育てをしようとしている人
理由も環境も様々ですが、「自分の生活に活用を考える人」が多いですし、お勧めです。
またインストラクター、准教授、教授、TA心理カウンセラー、TA子育ち支援士となってくると「介護、看護、教育など人に教える立場の人」が多くなりますし、その立場を目標に頑張る人にお勧めです。
資格取得の申し込み方法
それぞれの団体の特色は分かったのですが、最初の申し込みはどうしたらいいのでしょうか。
団体によってどう違うのか見ていきます。
協会の資格を取得する場合
初めての方は「初級」から申し込みをします。
「日本交流分析協会のHP」から講座に申し込みが出来、必要事項を入力すれば申し込みが出来ます。
各地の支部かTAカレッジにて随時講座を開催していますので近くの「TAカレッジ」の場所や日程をきちんと確認しておきましょう。
※東京本部、または各支部(仙台市、浜松市、富山市、名古屋市、大阪市、広島市、松山市、福岡市)で受講できます。
注意
※2020年現在では交流分析士初級の講座は開催されていないようなので「日本交流分析協会」に問い合わせをして再開時期の確認をしましょう。
次は資格取得の流れです。
資格取得の流れ
①入門講座を体験する(参加できる方のみ)
②インターネットから初級講座を申し込み(会員登録を一緒に済ませる)
③近くのTAカレッジで講座を受ける
④認定試験を受ける
⑤合格(次の講座受講資格を取得)
となります。
学会の資格取得をする場合
学会は実践している方々を対象の為初めての方は受けることは出来ません。
また、こちらも正会員にならなければ取得することは出来ませんので、会員登録をする必要があります。
資格取得の流れ
①医学・歯学・心理学・教育・看護・社会教育・保健衛生・精神衛生などの従事者である
②正会員として3年以上である
③学会、研究所での発表2回以上している
③推薦など
※学会の資格を取得する場合これらすべての条件をクリアしなければなりません。
ポイント
どちらも資格を取得するには会員にならなければ講座が受けられない為「登録方法」を確認しましょう。
会員登録
協会の会員
HPから講座申し込みと同時に会員登録をしましょう。
もしくは事前にHPから入会申請書をダウンロードし、協会へ郵送またはFAX後、後日資料が送られてきます。
不安な方は資料で詳細を確認してから登録をするのもいいですね。
登録にかかる費用
入会金 4,000円
年会費 6,000円
学会の会員
正会員(年会費) 8,000円
学会は入会金は無く、正会員の年会費のみとなります。
JSTA 日本交流分析学会のHPから入会の申し込みをダウンロードします。
登録の流れ
①学会のHPより入会の申し込みをダウンロード
②必要事項を記入し、日本交流分析学会事務局宛に送る
③審査(入会審査委員会で審査が行われます。審査結果は約2か月後に事務局より通知)
④会費振り込み(入会通知到着後、同封されている振り込み用紙で会費をご送金)
また、正会員と認められるのは
医学・歯学・心理学・教育・看護・社会教育・保健衛生・精神衛生などの諸分野の職業に従事し、大学学部以上またはこれと同等の学識をもつ方
となります。
学会の入会には登録にも審査があり2か月かかります。
まとめ
最後に交流分析士についてまとめます。
・交流分析士とはコミュニケーションを専門的レベルまで学ぶ民間資格でる。
・費用は団体や受ける資格内容のよって異なりますが、時間や年数がかかる割には安い。
・試験の難易度は高けれど、直前に対策授業があるため合格率は高い。
このようになります。
また学会の資格に関しては全てにおいて難易度が高いため、初めての方は協会の資格から取ることをお勧めします。
いかがでしたでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。