ガイダンスカウンセラーとは、一言で表すと「スクールカウンセリングの専門家」です。
子どもの学習や生活、進路などについて相談を受ける仕事です。
この記事では、そんなガイダンスカウンセラーに関する疑問に答えていきます。
- ガイダンスカウンセラーって、具体的にはなにをする仕事なの?
- ガイダンスカウンセラーになるにはどうしたら良いの?
- ガイダンスカウンセラーには試験があるって聞いたけど、どんな試験をやるの?
それでは、ガイダンスカウンセラーとはいったいどんな仕事なのか、一緒に学んでいきましょう。
ガイダンスカウンセラーとは
ガイダンスカウンセラーの仕事内容としては冒頭で説明したとおり、スクールカウンセリングを行うというものになります。
確かに、どちらも同じなんじゃないかと思ってしまいますよね。
実際、あやふやな部分も多いです。
簡単に言えば、次のような解釈になります。
- スクールカウンセラー
→子どもの心の問題についてカウンセリングする
- ガイダンスカウンセラー
→子どもの生徒指導・進路指導・教育相談を行う(対応範囲が広い)
ただし、実際にはガイダンスカウンセラーとは名乗らず、スクールカウンセラーとして働くことが圧倒的に多いです。
スクールカウンセラーと名乗った方が、何をしている仕事なのかわかりやすいという側面もあります。
他にも、スクールカウンセラーは資格の名前ではありませんが、ガイダンスカウンセラーは資格の名前であるという違いがあります。
ですから、結論として、
- スクールカウンセラー → 職業の名前
- ガイダンスカウンセラー → 資格の名前
と捉えてしまって問題ありません。
スクールカウンセラーになるために、ガイダンスカウンセラーの資格を得るというイメージです。
たしかにその解釈で問題ないのですが、厳密には、スクールカウンセラーとなるために、必須な資格ではありません。
実際には、臨床心理士や精神科医といった資格の方がスクールカウンセラーになる上では、有利です。
とはいえ、これまでは臨床心理士や精神科医といった資格を取得することが難しかったという人でも、ガイダンスカウンセラーの資格を取得することで、スクールカウンセラーを目指せるようになったのは事実です。
「ガイダンスカウンセラーを取得してスクールカウンセラーを目指す」という選択肢が増えたことで、より多くの人がスクールカウンセラーを目指すことができるようになったのです。
また、ガイダンスカウンセラーならではの能力もあります。
生徒指導・進路指導・教育相談です。
従来、スクールカウンセラーは、臨床心理士の資格を持つ人を採用することが多かったため、スクールカウンセラーの能力は子どもの心の問題を解決することがメインでした。
一方、ガイダンスカウンセラーの資格を持つ人は、これまで教師が担ってきた役割である生徒指導・進路指導・教育相談ができるということで、教師の負担を軽減し、子どもに対してより質の高い指導・相談を実現します。教師の労働時間が問題になっているこのご時世で、重宝される資格になることは間違いありません。
ガイダンスカウンセラーになるには
ガイダンスカウンセラーの資格を取得するためには、一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会が実施しているガイダンスカウンセラーの試験に合格する必要があります。
試験には下記の2種類があり、どちらかの試験を受けて合格することで資格を取得できます。
- 資格認定試験1 (構成団体資格を持っていない人の試験)
- 資格認定試験2 (構成団体資格を持っている人の試験)
構成団体資格とは、一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会が認定している下記の資格のことです。
- スクールカウンセラー
- 学校心理士
- キャリアカウンセラー
- 教育カウンセラー
- 認定カウンセラー
- 臨床発達心理士
これらの資格の内、いずれかを既に取得している場合は、資格認定試験2に挑戦できるということです。
スクールカウンセラーに関連する他の資格を取得できている実績を考慮して、資格認定試験2の方が試験の内容が簡略化されています。
ガイダンスカウンセラーの試験はどんな内容?
では、資格認定試験1,2について詳しく見ていきましょう。
資格認定試験1
試験を受けるためには3つの受験資格を全て満たす必要があります。
- 大学院修士課程を修了し、ガイダンスカウンセラーについて学ぶ科目の単位を修得していること
- 対象となる科目は「ガイダンスカウンセラーのカリキュラム表」をご覧ください。心理学関連領域と教育学関連領域の中から,それぞれ2科目以上が必要となります。
- ガイダンスカウンセリングに関連した業務で2年以上働いていること
- 教員免許状を持っていること
- ただし、大学,大学院,短大,専修学校等でガイダンスカウンセリングについて学ぶ授業を受けている場合や、ガイダンスカウンセリングの実務に従事している場合は,教員免許状が無くても良い。
まとめると、受験するためには、
- 教員免許を取得する
- ガイダンスカウンセラーの科目が学べる大学院へ行く
- 実務経験を積む
といった必要があります。
そうなんです、ガイダンスカウンセリングについて、今まで何も学習・仕事したことがない人だと、そもそも受験できません。
試験内容は3つあります。
- 書類選考
- 出願書類に基づいて、学歴や履修単位、職歴、実務経験を審査します。受験資格の有無もここで判定されます。
- 筆記試験
- 多肢選択式筆記試験:選択式の問題が出題されます。実施時間は40分。
- 論述試験:記述式の問題が出題されます。実施時間は40分。
- 実技試験
- 模擬授業:2人一組で10分間の模擬授業と振り返りを行う。
- 面接実技:2人一組で相談者役とカウンセラー役を実施する。その後、口述試験を行う。
実技試験があると、それだけで難しいと思ってしまうかもしれませんが、ガイダンスカウンセラーという資格が、知識だけでは役にたつものではない、ということを現しているということでしょう。
試験に実技があるかという視点、なるほど。
手前味噌ですが、ガイダンスカウンセラーの試験では心理教育の模擬授業が課されました。
この点では、認定機関がどんな人に資格を与え、どのような活動をしてほしいと考えているのかが明確だと言えるかもしれません。#シンリシ https://t.co/XpCvEcYCcA— かぴ (@satumatuba) January 19, 2020
その他の情報については以下の通りです。
2019年度の資格試験手続き・スケジュール
試験要項掲載開始 | 2018年7月中旬(ホームページに掲載) |
出願期間 | 9月1日(日)~9月10日(火) |
試験日 | 10月13日(日) |
会場 | 東京 |
合否連絡 | 12月中旬に郵送にて連絡 |
2019年の試験日は10月13日(日)で、会場は東京でした。
毎年、10月に試験がありますが、状況によって変更される場合もありますので、詳しくは下記の公式ホームページをチェックしてみてください。
受験料は30,000円となっており、気軽に受験することは難しそうです。
受験する場合は、願書のダウンロードなども公式ホームページから可能です。
公式ホームページ
資格認定試験2
受験資格は2つあり、どちらも満たす必要があります。
- 一般社団法人日本スクールカウンセリング推進協議会の構成団体の認定する資格を持っていて,ガイダンスカウンセリングに必要な能力を持っていること。
- 下記のうち、いずれかの実績を持っていること。
-
- ガイダンスカウンセリングに関する実務経験を10 年以上積んできた人
- 学校・地域において,生徒指導,進路指導,教育相談で中心となって他の人を導くような役割を果たしている人
- 教育行政においてガイダンスカウンセリングに関して中心となって他の人を導くような役割を果たしている人
- 管理職としてガイダンスカウンセリングに関して中心となって他の人を導くような役割を果たしている人
- 著書・論文等でガイダンスカウンセリング分野の業績を持っている人
上記の受験資格を満たしていれば、試験内容は書類選考のみとなります。
- 書類選考
- 公式ホームページから、試験2の願書と記入方法をダウンロードし、各構成団体へ提出する。
資格認定試験1と比較すると、筆記試験と実技試験が免除された形になります。受験料は10,000円となっており、試験1よりは安く済みます。
詳細については、自分が持っている資格を認定している構成団体のホームページから確認する必要があります。
構成団体のホームページ
ガイダンスカウンセラーの資格を取得するのは難しい?
ガイダンスカウンセラーは、受験資格に「大学院修士課程を修了」、「実務経験」といったものが含まれており、0からの挑戦は極めて厳しいといえるでしょう。
もし目指すのであれば、大学選びの時点でよく考えないといけません。
ガイダンスカウンセラーは2017年4月から認められ始めた資格のため、まだまだ情報が少なく、合格率などは不明です。
参考までに、同じくスクールカウンセラーの資格にもなっている臨床心理士の合格率は、ここ10年ほどは60~65%程度となっています。
2019年度の合格率は62.7%です。
たしかに一見すると高いようにも見えますが、実はそうでもありません。
そもそも受験資格を持つ人は大学院修士課程を終えているような方々になります。
そのような人たちが受けても6割の合格率ということです。
4割が不合格と考えると、難易度は非常に高いといえるでしょう。
つまり、ガイダンスカウンセラーを志すのであれば、相当の覚悟が必要ということになります。
まとめ
ガイダンスカウンセラー
- ガイダンスカウンセラーとは生徒指導・進路指導・教育相談の専門家を名乗るための資格である
- ガイダンスカウンセラーの資格を得るためには試験を受ける必要がある
- 試験を受けるためには最低でも以下の条件を満たす必要がある
- 教員免許を取得する
- ガイダンスカウンセラーの科目が学べる大学院へ行く
- 実務経験を積む
ガイダンスカウンセラーは、従来のスクールカウンセラーではカバーしきれなかった生徒指導・進路指導・教育相談の面でも活躍ができることで、期待が高まっています。
ガイダンスカウンセラーの資格は気軽に取得できるものではありません。
しかし、それだけ重みのある資格だということです。
子どもたちのより良い学校生活を実現するために、ガイダンスカウンセラーの資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。