EAPメンタルヘルスカウンセラー近年注目を集めている資格の一つですが、新しい資格のため、まだまだ認知度が低く、
「どんな資格なんだろう」
「資格取得の方法は?」
「試験は難しいの?」
「年収は上がる?」
といった疑問があると思います。
そこでこの記事では、EAPメンタルヘルスカウンセラーについて、
・どんな資格なのか
・どうやってなるのか
・資格取得の難易度
・年収に関係あるのか
ということについて解説します。
目次
EAPメンタルヘルスカウンセラーとは
EAPメンタルヘルスカウンセラー、略してeMCとは、特定非営利活動法人EAPメンタルヘルスカウンセリング協会が認定するEAPとメンタルヘルス分野が合わさった、2013年にできた日本初の資格です。
EAPとはEmployee Assistance Program(従業員支援プログラム)の略で「働く人のメンタルヘルスケア」のことです。
現代社会において、仕事で溜まるストレスは年々大きな問題となっています。仕事のストレスが原因で、うつ病を発症し、休職せざるえなくなる人もいます。
今後の社会では、ストレスにどう対処していくかが、個人だけでなく会社においてもますます重要になってきています。
EAPメンタルヘルスカウンセラーは、メンタル不調などが原因で、仕事のパフォーマンスが低下している人に対して相談に乗ったり、寄り添うといったカウンセリングを行います。
また、メンタル不調のある部下や同僚を持つ人に対してもカウンセリングを行い、仕事のパフォーマンスを保てるよう問題解決を支援します。
EAPメンタルヘルスカウンセラーになるには
多くの資格は、試験を受けて合格という形が多いですが、EAPメンタルヘルスカウンセラーの資格を取得するには、以下の手順を踏む必要があります。
1.EAPメンタルヘルスカウンセラー資格認定試験の受験資格を満たす
2.EAPメンタルヘルスカウンセラー資格認定試験を受験して合格する
3.EMCA協会へ入会する
それぞれ詳しく解説します。
EAPメンタルヘルスカウンセラー資格認定試験の受験資格を満たす
EAPメンタルヘルスカウンセラー資格認定試験を受験するためには、
(1)21歳以上の方(出願日現在) *学歴・性別・国籍・職業人経験不問
(2)eMC®カリキュラム修了者 *コース修了3年以内
この2つを満たす必要があります。
特に、(2)を満たすためには、協会が認定している講座を受けなければなりません。
認定している講座は1つしかなく、EPAメンタルヘルスカウンセラーを目指す方は、リカレントメンタルヘルススクールのEAPメンタルヘルスカウンセリング講座に通うことが必須となります。
校舎は都内を中心に、神奈川、埼玉、愛知、宮城にしかありません。
ただし、通学コース意外に、通信コースも用意されているため、全国からの受講が可能となっています。
受講期間は週に1回の受講で、6ヶ月~8ヶ月となっております。
コースの費用は40万円~60万円となっております。
費用については、他の比較と比べると、高めとなっています。
EAPメンタルヘルスカウンセラー資格認定試験に合格する
受験資格を無事に満たすことができたら、試験を受けることができます。
試験は、
一次(学科)試験:筆記試験
二次(実技)試験:論述試験と面接試験
の2つがあります。
一次試験の筆記試験と、二次の論述試験と面接試験は別月に行われます。
受講料は、1次(学科)試験が1万円、2次(実技)試験が2万5千円です。
EMCA協会へ入会する
無事にeMC試験合格した場合、EMCA協会へ入会する必要があります。
EMCA協会への入会にも審査があり、無事に通ると会員証が交付されます。
資格の有効期間は5年間で、5年毎に更新が必要です。
残念ながら、更新には次の2つの条件を満たす必要があります。
・専門指定資格の取得
・自己研鑽で積み重ねた更新ポイントを申告
それぞれ解説します。
専門指定資格の取得
専門指定資格は次のいずれかとなります。
(1)検定試験合格等1.メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種またはⅠ種合格2.第一種または第二種衛生管理者(国家資格)3.キャリアコンサルタント(国家資格)※メンタルヘルス・マネジメント®検定は大阪商工会議所の登録商標です。 (2)検定資格合格1.医師2.臨床心理士3.保健師4.看護師5.精神保健福祉士6.2級または1級キャリアコンサルティング技能士(国家検定)7.またはEMCA®がこれらと同等以上と認める資格保持者 (3)検定資格合格+企業等における産業保健(メンタルヘルス分野)実務経験2年以上1.産業カウンセラー2.シニア産業カウンセラー3.心理相談員(公的資格)4.旧標準レベルキャリア・コンサルタント(CDA資格など)5.認定心理士6.またはEMCARがこれらと同等以上と認める資格保持者 (4)実務経験5年以上1.企業等における産業保健(メンタルヘルス分野)の実務経験
引用:EMCA公式ホームページ
資格を取得後、すぐにメンタルヘルス分野において、なんらかの実務経験があれば良いのですが、そうじゃない場合、上記で示された資格のうち、いずれかの資格を取得しておかないと、更新ができなくなってしまうので、注意が必要です。
自己研鑽で積み重ねた更新ポイントを申告
たしかに、自己研鑽と言われてもよく分からないですよね。自己研鑽とは、“自分自身を鍛えること”です。
つまり、「資格をとった後も、研修などに参加して、自分を鍛えるようにしてくださいね。」ということです。
具体的には、EMCA主催の研修やセミナーの受講や精神科医、臨床心理士等から1回60分以上のスーパービジョンを受けることで、更新ポイントが獲得できます。
注意ポイント
スーパービジョンとは、カウンセリング能力を高めるためにカウンセリングの初心者がスーパーバイザーと呼ばれるカウンセリングの専門家や指導者(精神科医、臨床心理士等)から意見や指導を受け、今後のカウンセリングに活用していくことを行います。
詳しくは、EMCA会員証が交付されるときに、確認することができます。
EAPメンタルヘルスカウンセラー取得の難易度は高い
そうですよね、資格取得の難易度も気になるところですよね。
結論から言うと、資格取得の難易度は“高い”です。
ただし、合格率自体は高めです。具体的に第10回eMC資格認定試験の合格率を見てみましょう。
第10回eMC資格認定2次試験の合格率は受験者数:154名、合格者数:115名、合格率:74.6%
たしかに、1次試験より難しいと言われている2次試験で、合格率約75%なので、しっかり対策すれば問題なく合格できそうですね。
実際、対策をしっかりすれば十分合格を目指せます。
しかし、認定試験の受験資格を得るためには、半年以上の間、指定の講座を受講する必要があります。
しかもただ受講すれば良いわけではなく、その間の予習・復習は必須となります。
そして、資格を5年の更新期間が過ぎても持ち続けておくには、検定資格の合格や、実務経験が求められます。
これかを総合すると、EAPメンタルヘルスカウンセラーの難易度は高いといえるでしょう。
試験については以下のような声があります。
現在はEMCA認定校の指定コース修了生なら一次試験(学科・論述)が免除されますが、二次試験の実技の方が数段難しいとの評判です。学科試験はテキストを覚えれば合格しますが、実技試験はそれなりの実技の練習が必要なようです。
今日、EAPメンタルヘルスカウンセラー養成講座「実践編」の修了試験が行われた。こんなに緊張したのはキャリコンの面接試験以来だ。正直言ってキャリコンの試験より大変だった。しかもこれがまだ単なる修了試験だと言うこと。6月の論述試験、8月の本試験まで先は長い。いや〜これは大変だ。。。
— ZEALNORI (@HK_ZEALNORI) March 15, 2020
EAPメンタルヘルスカウンセラーは年収に関係あるのか
気になるのは、資格を取得した後に、どのくらい年収に影響があるのかどうかですよね。
しかし、EAPメンタルヘルスカウンセラーは、2013年に新しくできた資格のため社会的にまだまだ認知がされていません。
そのため、資格を取得しても年収があがるという例は少ないです。
実際、求人もあまりなく、産業カウンセラーの資格を取得すれば良かったという声もあります。
https://twitter.com/zenshinRnomi/status/910951373075767296
とはいえ、落ち込む必要はありません。
たしかに日本ではまだ認知度が低い資格ですが、アメリカでは、かなり周知されており、12,000社以上の企業がEAPを導入しています。
アメリカでの取り組みは、日本に数年遅れて導入されることが多く、今後日本でも多くの企業でEAPが導入されることが、予想されます。
そのときには、大企業があなたを必要とする可能性は、十分に考えられるのです。
もちろん、現在EAPメンタルヘルスカウンセラーを取得して活躍している人もいます。
取得した方の中には、
・仕事の悩みの相談が自信をもって行えるようになった、
・カウンセラーの講義を行い職場の仲間や仕事に活かしてもらえるようになった
という声があります。
まとめ
今回は、EAPメンタルヘルスカウンセラーについて解説していきました。
まとめると、
・EAPメンタルヘルスカウンセラーとは、従業員を支援するメンタルヘルスカウンセラーのこと
・EAPメンタルヘルスカウンセラーになるには3つの手順を踏む必要がある
・認定試験を受けるために、受講料40~60万円の講座を受講する必要があり、資格取得した後も5年毎に更新する必要があるため、資格の難易度は高い
・EAPメンタルヘルスカウンセラーは新しい資格であるため、認知度が低く年収には直接的に関係しない
取得が難しい資格ですが、従業員のメンタルをサポートできるのは、仕事において大きな強みになるでしょう。
心理学やカウンセリングの知識は、仕事以外にも家族や友人といった親しい人のケアに活かせます。
将来役に立つ資格の一つですので、興味のある方は是非資格の取得を目指してみてください。