自閉症スペクトラム支援士とは、どんな資格なのでしょうか。
「自閉症について、もっと専門性を高めたい」
自閉症スペクトラム支援士とは、そんな意識の高い人が出会う資格です。
ただ実際は、民間資格という事もあり、どんな資格なのか疑問も多いです。
そこでここでは
・自閉症スペクトラム支援士とは?
・自閉症スペクトラム支援士の試験内容と難易度
について徹底解説しています。
自閉症スペクトラム支援士が、自閉症への専門性を証明出来る資格であれば、自身の仕事への自信にも繋がります。
では早速、この資格の全体像から見て行きましょう。
目次
自閉症スペクトラム支援士とは?
NPO法人日本自閉症スペクトラム支援協会日本自閉症スペクトラム学会という法人が認定している民間資格になります。
自閉症の独特な世界観を誰よりも理解し、自閉症に寄り添い、その人達が何処に居ても心地良く生活出来る様に支援をする専門家です。
1、自閉症スペクトラム支援士は3種類に分かれる
自閉症スペクトラム支援士(STANDARD)
自閉症の理解と支援に関する基本的な知識を有しており、自閉症児者への支援を一定期間行っている人材あることを示す。
自閉症スペクトラム支援士(ADVANCED)
豊富な実践経験を生かし、学校や職場でリーダーとして活躍できる人材であることを示す。
自閉症スペクトラム支援士(EXPERT)
専門性を生かし、研修会等で講師あるいは学校や職場においてコーディネーターとして、また後進の指導に当たることができる人であることを示す。
引用:NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会は、自閉症・発達障害者の教育・医療・福祉面の向上発展のために研究・実践を促進する学会です。
ぱっと見、よく分からないと思うので簡単に解説します。
自閉症スペクトラム支援士はグレードが設けられています。
STANDARD
↓
ADVANCED
↓
EXPERT
下に行けば行くほど、専門性が上がり、人に教え指導が出来る様になるイメージです。
まずは、STANDARDを受ける所から始まります。
2、自閉症スペクトラム支援士は資格要件がある
実は、誰でもこの資格に挑める訳ではありません。
下記の要件を満たした者が条件になります。
日本自閉症スペクトラム学会の会員(個人会員)で、次のいずれかを満たしていなければならない。
[1] 学校(幼・小・中・高・大・専修学校等)の教員
[2] 公的な児童相談機関の職員(非常勤職員を含む)
[3] 保育所や児童福祉施設の職員(保育士、指導員、各種専門職員(非常勤職員を含む)
[4] 日本自閉症スペクトラム学会が指定する民間の自閉症指導機関の職員(非常勤職員を含む)
[5] その他、自閉症に関連する医療機関(医師、看護士、理学療法士、言語聴覚士等)やその他の自閉症に関連する職種に従事する者、および従事していた者
[6] 学校心理士・臨床心理士・臨床発達心理士等の関連資格を有する者
[7] 大学・大学院の学生等で、現在、自閉症スペクトラム支援士(EXPERT)の資格を有するスーパーバイザーの指導の下に自閉症の臨床・研究に携わっている者
[8] その他、認定資格があると学会が認めた者
引用:自閉症スペクトラム支援士
医療や福祉、教育などに関わっている人が対象の様ですね。
そして、大学生も対象になってますが、自閉症スペクトラム支援士の元で臨床、研究している人限定です。
この資格は、受験資格のハードル高いですね。
「その他、認定資格があると学会が認めた者」と曖昧な表記もあり、予め専門性を持っている人を求めている様子がうかがえます。
そもそも自閉症スペクトラム支援士は、日本スペクトラム学会の会員になる事が必須条件です。学会費は、年間7,000円です。
試験内容と難易度は?
学会は、「研修大会」と読んでいますが、2日間の講義受講後に試験が行われます。
そして、講義内容を元に試験問題を作っています。
1、試験内容は研修大会の内容確認
2日間に渡り、研修大会が行われその終了後に試験という流れになってます。
試験は
・テスト時間 30分
・問題数40問 選択型(4択になっており正しい問いを選ぶ)
実際に、試験受けた人の感想です。
福祉分野、しかも児童養護分野の研修を受ける機会はあるけど、こうやって多分野に渡って研修を受ける機会は本当に貴重だし、普段使わない脳みそが刺激された。
終了後、30分間の認定試験。
二日間の講義からまんべんなく40問出題されていて、四択だけど運で正答できるものではない。
引用:自閉症スペクトラム支援士 - 民平的幸せ体感記3【40代編】
講義内容から問題が出題されるなら、事前に勉強するというスタイルの試験ではなさそうですね。 研修大会を集中して取り組む事が大事になります。研修大会参加費は7,000円、試験受講料4,000円がかかります。
2、試験の難易度は人それぞれ
試験内容は、研修大会の内容確認ですと話しました。
ですが、資格要件が沢山の専門家を対象にしている為、人それぞれ難易度が違うのです。
ちょっと、実際に受けた人の声を聞いてみましょう。
試験は、一般常識と「?」と言った理解に苦しむ問題も出題されていました。合格率は90%と言われてます。
2日間の研修大会の内容を理解出来ていれば問題ない内容でした。
研修大会内容は、医療と福祉、教育でした。私はどれも専門分野では無いので難しかったと言うのが本音です。
30分で40問の試験。1問1分以内で答えないと行けない…。時間ばかり気にしてしまって忙しかった。
研修大会を真面目に受け理解し、30分で40問という時間に気を付ければ大丈夫な雰囲気も感じます。
しかしです。
自閉症スペクトラム支援士というのは、資格要件=受験資格として教員や保育士、臨床心理士など沢山の専門家が対象になっています。
その為、自分の専門ではない分野がテストに出る可能性もあると言うことです。
こればっかりは、運ですね。
その為、専門的にやっている内容の研修大会なら良いのですが、専門でやっていない研修大会内容なら難易度が上がるという事です。
簡単にまとめると
・合格率は90%となっており、落とす為の試験ではなさそう。
・自身が専門でやっていない研修大会の内容なら、しっかり理解する事。
・30分という試験時間に対して、40問なので1問1分以内で答えて行く。
自閉症スペクトラム支援士になるためにかかる費用
「それで費用は?」
結局いくらかかるのでしょうか。
自閉症スペクトラム支援士になる為に、トータル費用を算出しました。
かかる費用は
・学会費(年間)
7,000円
・試験受講料
5,000円
・研修大会参加費
7,000〜9,000円(その年度で変わってます)
そして他にもあります。
自閉症スペクトラム支援士は、試験に受かったら終わりではありません。
資格試験に合格したら、申請をする必要があります。
申請にかかる費用は
・申請料
10,000円
・登録料
30.000円
です。
合計 59,000〜61,000+研修大会までの交通費と宿泊費です。
職場に相談し、費用を経費として持つ職場もあります。1度受ける前に職場に相談してみましょう。
自閉症スペクトラム支援士を取るメリットは?
自閉症スペクトラムの専門家として、新しい情報入手と勉強・研究が出来る事です。
自閉症スペクトラム支援士は、5年ごとの更新性になっており、講習と研究会参加が義務付けられてます。
更新条件は、下記になります。
自閉症スペクトラム支援士
STANDARD
資格を更新するためには、資格取得後の5年間に、以下の①~③のうちから8ポイント以上取得するものとする。①資格認定講座に参加(1講座1ポイント)
②事例研究会に参加(1回1ポイント)、発表(1回2ポイント)③研究大会に参加(1日3ポイント、両日参加6ポイント)
引用:自閉症スペクトラム支援士
民間資格には良くある更新制度です。
人によっては、面倒くさくなります。
しかも、学会費7,000円も毎年かかります。
しかし、逆に言えば
・資格認定講座や事例研究会へ参加が出来る。
・自信の論文を研究大会で発表が出来る。
となります。
更新をする為にと考えると面倒くさいです。
しかし更新を、講座や研究会から常に新しい情報入手と勉強・研究をし続ける事が出来ると考えたらどうでしょうか。
自閉症スペクトラムの専門性はより高まって行くでしょう。
講習や研究した事をアウトプットすると、自身の資格も、STANDARDからADVANCED、EXPERTと自閉症スペクトラム支援士のグレードを上げるきっかけに繋がります。
まとめ
この記事では
・自閉症スペクトラム支援士とは?
・資格試験内容と難易度
・自閉症スペクトラム支援士を取るメリット
を解説しています。
まだまだ自閉症への理解が薄い中で、各分野の専門家たちが、自閉症に対する正しい対応が出来る人達が増えることを祈ります。