心を健康にすることで身体も健康に導く「健康心理士」の仕事。ストレスを溜めやすい現代人にとってなくてなくてはならない存在なのですが、ご存知でしたでしょうか?
という方も多くいるのではないでしょうか。
また、資格取得を検討するに当たって、
「資格の難易度はどれぐらいなんだろう?」
「仕事ってあるの?」
ということが気になるのではないでしょうか。
そこでこの記事では「健康心理士」について説明していきます。
具体的には、
健康心理士とは?
健康心理士の難易度は?
健康心理士の仕事はある?
ということについて詳しく説明しています。
健康心理士とは?
健康心理士とは、一般財団法人日本健康心理学会が実施する健康心理学に関する知識と技術を有している専門家を認定するための民間資格です。
正式には「認定健康心理士」と呼び、「健康心理士」「専門健康心理士」「指導健康心理士」の3つの専門資格の総称とされています。
それではひとつずつ資格の内容とその役割を見ていきましょう。
難易度 | 資格名 | 内容 |
低 | 健康心理士 | 専門健康心理士と指導健康心理士の指導のもと、心身ともに健康管理が必要な職場や教育現場などで観察、カウンセリングを行い問題解決に当たります。 |
中 | 専門健康心理士 | 心身ともに健康管理が必要な職場や教育現場などで、健康心理士とともに行った観察やカウンセリング結果から研究を進めて健康教育プログラムを作成します。 |
高 | 指導健康心理士 | 健康心理学に基づく研究結果や健康教育を発展、普及させるために行政や関係機関に指導を行ったり、健康心理士や専門健康心理士に助言を行うといったことをします。 |
このように、国民の健康の向上を「心と身体」の両方からサポートする専門家を養成するための資格です。
資格の難易度としては「健康心理士」が一番易しく、その次に「専門健康心理士」、一番難しいのが「指導健康心理士」となっています。
健康心理士が学ぶ健康心理学とは
健康心理学とは、心理学の観点からわたしたちの健康の維持、増進、病気の予防、治療法などについて研究する学問です。身体だけでなく心の面からも健康になることを目的としています。
具体的には、
・ストレスとの付き合い方
・心と免疫力の関係
・ライフスタイルの研究
なでが挙げられます。
よく「病は気から」と言いますが、心と身体の健康は密接に結びついていると言われています。
例えば、ストレスを抱え込んでしまい胃潰瘍ができたり、疲れが溜まりすぎて風邪を引いてしまったりすることがありますよね。
これは単に身体が病気になったのではなく、心理的要因やライフスタイルの影響により発症していると考えられます。健康心理学では「心と身体」の両方を健康にすることで真の健康に繋がると考えられています。
健康心理学では実際の生活で役立つような具体的な対処法や治療法などを研究しているので、わたしたちの暮らしと密接に関係している学問と言えるでしょう。
健康心理士の資格試験の概要
健康心理士の資格試験の概要です。
資格名 | 健康心理士 | 専門健康心理士 |
受験資格 | 4年制大学の卒業生及びそれに準じる者(健康心理学に関する単位取得) | 健康心理学会の正会員、大学院若しくは研究機関で研究、健康心理士を取得して5年以上経過している者 |
試験日 | 12月 | 12月 |
試験場所 | 東京・大阪 | 東京・大阪 |
受験料 | 面接のみ:7,000円 面接と試験(1科目):10,000円 |
面接のみ:7,000円 面接と試験(1科目):10,000円 |
審査料 | 30,000円 | 30,000円 |
指導健康心理士については、専門健康心理士として5年以上経過した後、それまでの論文内容や研究内容について評価されれば昇格することができるようになっています。
詳しい試験日程などについては一般財団法人日本健康心理学会のホームページで確認してください。
健康心理士の難易度は?
心理系の資格の中でも、健康心理士の試験の難易度は比較的易しいものであると言えるでしょう。
しかし誰でも受けれられる資格とは違い、受験する時点である程度の条件を満たしていなければならないため試験に挑戦するまでのハードルが高いです。
健康心理士の資格を取るためには明確に目標を立てて何年も前から準備する必要があります。
健康心理士として仕事をするためには、「健康心理士」「専門健康心理士」「指導健康心理士」と順に資格を取得していく必要があります。仮に「健康心理士」だけを取得したとしても、知識と技術が浅いことから仕事に直接つなげることは難しいです。
専門健康心理士と指導健康心理士になるためには、実務経験が5年以上必要となります。
そのため健康心理士として活躍するためには、4年制大学で心理学を勉強した後も大学院などの専門機関に進まなければなりません。更にそこから研究を続けて論文を書いて実績を残し、資格取得を目指さなければなりません。
また日本健康心理学会に入会して正会員になり、学会の活動にも参加する必要があるため時間とお金も必要になります。
成績や実績の評価も試験に関わってくるため、試験内容自体は易しいですが、試験挑戦までに超えなければならないハードルが多いため簡単に挑戦することは難しいでしょう。
以上のことから、就職のためにさっさと資格を取りたい、何でもいいから心理系の資格を勉強したいという人には向かない資格と言えます。
明確な目標を持ち、健康心理学の分野で研究をしていきたいという方であれば挑戦する価値のある資格です。
健康心理士の仕事はある?
健康心理士の仕事としては、
・国や地方自治体などの公共機関
・医療機関
・福祉施設
・教育機関
・スポーツ団体
などの機関で、健康が心理に与える影響を深く理解した専門家として精神病や生活習慣病の治療やサポート行うことが考えられます。
他の心理系の資格にも共通して言えることではありますが、その資格だけを活かして仕事をするというのは難しく、
・保健師
・看護師
・介護士
・教師
・スポーツトレーナ
などの専門職として関係機関に就く場合に、自身の専門性を示すために「健康心理士」の資格が役に立つと言えるでしょう。
残念ながら、健康心理士の資格自体が就職に有利に働くことは非常に少ないです。
というのも、資格としての認知度がまだ低く、専門性が限定的であるからです。
既に国家資格を保有している医療従事者や介護福祉士などが、更に専門的なアドバイスやサポートをすることを目的として取得することが多いでしょう。
また、心理系の資格の最高峰とされている臨床心理士などを取得した人が、専門分野としてを極めたいと思った際に補足的に取得するようなこともあります。
健康心理士として活躍の幅を狭めないためには、どの分野で健康をサポートしたいかを考えて、併せて他の専門資格や心理系の資格も同時に取得することをおすすめします。
まとめ
ここまで健康心理士の資格と仕事について説明してきました。内容をまとめておきましょう。
まとめ
- 健康心理士とは「健康心理士」「専門健康心理士」「指導健康心理士」の3つの資格の総称
- 健康心理学とは心と身体の両方から健康になることを研究する学問である
- 健康心理士の試験の難易度は低いが、受験資格を満たすまでの難易度が高い
- 健康心理士として活躍するためには、別の専門分野の資格を取得していることが望ましい
ストレス社会と呼ばれる現代において生活習慣病の発症リスクは年々増加しているため、健康心理士の需要は今後高まってくるものと考えられます。健康心理士としてどの分野で活躍したいのかという明確な目標を持つことで専門性が高まり、自身の活躍できる場所見つけることができるのではないでしょうか。