「認定カウンセラー」とは、数ある心理カウンセラー資格のひとつです。
それから、将来どれくらい稼げるかも知っておきたいな!
この記事では、以下のことについて解説しています。
・「認定カウンセラー」とは?
・資格の試験と難易度について
・年収や仕事内容について
認定カウンセラーとは?
「認定カウンセラー」とは、日本カウンセリング学会が独自に認定する民間の資格です。
1986年からスタートした資格で、カウンセラー業界の資格の中では、歴史の古い方になります。
また、資格の認定を受けるまでには、段階的に要件を満たしていく必要があり、簡単に取れる資格ではありません。
そのため、業界内では名の知れた資格と言っても良いでしょう。
認定カウンセラー資格の運営母体である「日本カウンセリング学会」ですが、分野については、全領域を対象としています。
資格の取得後は、教育、医療、福祉など、さまざまな場面で活躍することが想定されています。
また、「学会」という名称からもうかがえるように、実践だけではなく、研究にも力を入れているという点が大きな特徴です。
認定カウンセラーの資格取得を目指す人は、資格を取る前から学会の会員にならなくてはなりません。
そして、資格を取得した後も、積極的に論文を提出したり、大会に参加して他の会員と活発に議論・意見交換を行うことが求められています。
資格は5年ごとに更新が必要で、学会からは「ペーパー会員にはならないでください」というお達しも出ているくらいです。
以上のことから、「認定カウンセラー」は、カウンセリングの実践に役立てることはもちろん、
カウンセリングの研究を深めたい!という人にオススメの資格と言えます。
心理カウンセラーの仕事や資格に興味を持っている人の中には、
「研究にはあまり興味はない、カウンセリングで人の悩みを解決することだけに注力したい!」
という方もいらっしゃるでしょう。
そのような方には、この資格が不向きとまでは言い過ぎかもしれませんが、他の資格も検討した方が良さそうです。
そもそもですが、心理カウンセラーになるにあたって資格は必要ではありません。
そして、どの心理資格も、取得したからと言って仕事に直結するものはありません。
しかし、資格は持っておくに越したことはないということも事実。
資格を取って、カウンセリングの現場で役立てたい、就職につなげたいという人には、
心理職として初の国家資格として誕生した「公認心理師」と、現時点では業界内で一番メジャーで信頼のある「臨床心理士」、
この2つがおすすめの資格として挙げられます。
認定カウンセラー資格の取り方は?
この項目では、認定カウンセラーの受験情報や認定申請の条件について、お伝えします。
認定カウンセラーの資格を取るには、以下のステップを踏む必要があります。
①日本カウンセリング学会の会員になる
※入会条件あり
②資格の申請を行う
※申請条件あり
③資格試験を受ける
順番に見ていきましょう。
①日本カウンセリング学会の会員になる
認定カウンセラーの資格を得るために、まず一番初めにしなければならないことは、日本カウンセリング学会への入会です。
入会には、以下の条件いずれかを満たす必要があります。
・四年制大学の卒業者で、カウンセリングの研究、学習、実践のいずれかを行っている者
・短大または専門学校の卒業者で、カウンセリングの研究、学習、実践のいずれかを3年以上行っている者
・高校の卒業者で、カウンセリングの研究、学習、実践のいずれかを6年以上行っている者
・22歳以上で、日本心理学諸学会連合が認定する「心理学検定2級」を合格した者
・その他、常任理事会で入会を認められた者
また、入会審査の際には、学会正会員2名の推薦が必要です。
推薦が得られない場合は、自分のこれまでの取り組みや実績についてまとめた書面の提出が求められます。
入会の審査は、2か月に一度開かれる常任理事会で行われます。
②資格の申請を行う
学会に入会後、さらに以下の条件どちらかを満たすことで、認定カウンセラー資格の受験申請をすることができます。
認定申請条件1【試験方式】
・学会の会員として2年以上在籍、またはカウンセリング関連の大学院(修士課程)在学・卒業者の場合は1年以上在籍している者
・学会が定める「認定カウンセラー養成カリキュラム」に基づき、学習時間が計210時間以上となる者
【認定カウンセラー養成カリキュラム】
Aカウンセリング心理学:60時間(4単位)
Bカウンセリング・アセスメント:30時間(2単位)
Cカウンセリング演習:60時間(4単位)
Dカウンセリング実習:45時間(3単位)
Eカウンセリング諸領域:15時間(1単位)
認定申請条件2【推薦方式】
・学会の会員で、大学または短大にて専任教師としてカウンセリングの授業を5年以上受け持ち、カウンセリング経験と実績がある者
・学会の会員で、大学または短大以外の施設にてカウンセラーの養成や実践に5年以上の経験があり、実績もある者
・学会の会員、相談機関のカウンセラーとして週4日以上の業務が5年以上ある者。
③試験を受ける
試験の概要は以下の通りです。
認定申請条件1【試験方式】
書類審査、筆記試験、技能(口述)試験
※資格認定大学院を卒業予定の者は、書類審査と面接試験のみ
認定申請条件2【推薦方式】
書類審査、面接試験
なお、資格の認定については、試験方式は年に1度、推薦方式は2年に1度の頻度で行われています。
認定カウンセラーの難易度は?
認定カウンセラー資格は、実際に試験を受けるまでの道のりが大変だということはわかりました。
試験の難易度はどうなっているのでしょうか?
残念ながら、資格の認定基準や合格率などは学会から正式な発表はされていません。
しかし、数少ない情報から推察すると、それほど難関ではないと考えられます。
その根拠は以下の2点です。
1、学会による合格基準の公式発表(2009年)
基本的に試験の詳細は公開されていません。
しかし、2010年の試験方式が変更されると発表されたとき、付随して試験情報が公表されています。
10年ほど前の情報ではありますが、指針となる事実の一つと言えるでしょう。
当時発表された試験の詳細は以下の通りです。
<筆記試験>
・認定カウンセラー養成カリキュラムのA,B,C領域から、基礎的な問題を出題
・問題数は60問程度、合格基準は70%程度
<面接試験>
・一人約20分
・人間性が認定カウンセラーにふさわしいかどうかを判定
・事前に提出した書類に基づいて質疑応答、必要に応じてロールプレイ
筆記試験の「基礎的な問題を70%」というのは、目指すべきポイントが少しはっきりしますね。
「合格率は約8割」という情報も見当たりましたが、こちらは公式な発表ではありませんでしたので、
ウワサ程度に読み流すくらいが良いかもしれません。
何はともあれ、試験を受ける人は、それまでに勉強量や実績を積み重ねてきているわけですから、
教科書の復習などできる対策をしっかり行って、自信を持って試験に臨むことが一番ではないでしょうか。
2、学会が、研究に重点を置いている組織である
「資格が難関ではない」と想定するもう一つの要因は、この資格が仕事やカウンセリング現場に直結しないという点です。
資格の取得に向けて取り組むことで、カウンセリングの実践に役立つことはもちろんあるでしょう。
しかし、運営母体は「学会」であるということもあり、有資格者を輩出することよりも、
会員同士で研究や議論を活発に行い、技術を磨いていくことに重点を置いているように見受けられます。
そのような背景もあり、必要以上に資格取得を難しくする理由も見当たらないことから、
試験自体は比較的通りやすいのではないかと推察できます。
カウンセラーの年収や仕事内容は?
前述の通り、認定カウンセラーという職業があるわけではなく、この資格がないと働けないということもないので、
有資格者でも一般の心理職・カウンセラー職として働くことになります。
認定カウンセラー資格を持っているがゆえの昇給やインセンティブは、ほぼ無いと言っても良いでしょう。
では、カウンセラーの収入や給与は、どれくらいなのでしょうか。
働く場所や雇用形態によって違いがありますが、平均的な年収は、350~450万円が一般的です。
カウンセラーの代表的な種類別の働き方と年収の例を見てみましょう。
医療 | 医療カウンセラーとして働く場合、多くは精神科やメンタルクリニック、総合病院などでの勤務となるが、小児科や産婦人科などの職場もある。常勤で働く場合は年収300~500万円程度。非常勤で複数の病院をかけ持ちする場合は時給制が多く、1,000~2,000円が目安。たいていの場合、「臨床心理士」の資格保持を求められる。カウンセリングの対象は、患者やその家族。「情緒が不安定になる」「対人関係がうまくできない」「気力が湧いてこない」などの相談に乗り、心理療法を行う。 |
学校 | スクールカウンセラーと呼ばれる。ほとんどの場合で「臨床心理士」の資格を求められ、非常勤での勤務となる。時給の相場は、3,000~5,000円と高めではあるが、勤務日数が少なくなるため、年収は200万円前後となるのが平均的。学校を複数かけ持ちすることで年収UPが見込める。生徒や保護者、時には教職員に対してカウンセリングすることになり、内容は人間関係や学業、こころの病などに対応することとなる。 |
企業 | カウンセラーとして勤める企業の賃金体制に準ずる。また、企業とカウンセラー業務を契約して、週に〇回などと決めて訪問するというスタイルもある。社員の悩み相談に応じたり、セミナーや勉強会などを開催してメンタルヘルスの講義を行うこともある。年収は300~400万円程度と言われている。 |
公務員 | 司法分野のカウンセリングは公務員が担っている。年収は400~500万円くらいが相場となり、勤務年数が長くなるほど収入UPが見込める。収入は各自治体の賃金規定に基づき、フリーや非常勤で働くよりも安定していると言える。職場は裁判所や鑑別所などの警察関連の場所が多く、加害者や被害者のカウンセリングを行い、心理状態や心理判定を行うことが仕事内容となる。 |
認定カウンセラーは、カウンセリング分野について、全領域を対象としているという特徴がありました。
どの分野で働くことになっても、資格の知識が無駄にならないというメリットはあるでしょう。
カウンセラーとして働くよりも、研究に取り組みたいという人は、大学で働くことが多いようです。
助手の年収で300~400万円、教授クラスになると650~700万円が平均的です。
仕事内容は、大学の授業で教える、学内のカウンセリング業務などがあります。
心理職の収入は、他業界と比べて低めであると言わざるを得ないようです。
その理由は、カウンセリングの需要と供給のミスマッチにあります。
日本では、カウンセリングがまだあまり一般的になっていません。
この記事を読んでいるあなたも、何か悩みがあったとして「カウンセリングを受ける」という考えにはなかなかたどり着かないのではないでしょうか。
しかし、アメリカではカウンセリングはとても一般的で、気軽に利用できる風潮です。
そのため、カウンセラーの信頼も厚く、収入は日本の倍以上というデータもあります。
日本でもカウンセリングが広く浸透して、
「あ~、最近なんだかモヤモヤイライラして調子も上がらないから、カウンセリング受けてこようっと!」
くらいの気軽な感じで、カウンセリングを利用する雰囲気が広まれば、カウンセラーの待遇は増してくるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、
・認定カウンセラーとは?
・資格の取り方や難易度
・仕事内容や年収について
以上のことを解説してきました。
内容をまとめると以下の通りです。
・「認定カウンセラー」とは、日本カウンセリング学会が認定している民間資格。
・資格取得のためには、満たすべき条件がいくつかあり、簡単なものではない。
・試験自体は、そこまで難関ではないと考えられている。
・資格の取得後は、学会にて研究に取り組み、カウンセラーとしてレベルアップすることを求められている。
・認定カウンセラー資格は、仕事や特定の職種に直結した資格ではないため、一般の心理職として働くこととなる。年収は350~450万円が目安。
心理・カウンセリングの業界は、近年国家資格も誕生したこともあり、今後良い方向に変化していくことが期待されている分野です。
カウンセリングの需要も、まだ秘められている状態で、今後増えてくることは確実でしょう。
日本でも、アメリカのようにカウンセリングが普及して、カウンセラーの待遇がより良くなり、カウンセリングを受ける人のストレスが軽減するような日が、早く来ることを期待しています。