IPA(情報処理推進機構)が実施するプロジェクトマネージャ試験は、高度IT人材として専門分野をもち、システム開発プロジェクトの目標の達成に向けて、プロジェクト全体計画を作成し、計画に基づいてプロジェクトを実行・管理することを目指す人を対象とした国家試験です。
「プロジェクトマネージャ試験って、持ってるとすごいの?役に立つのかな?」
「難しいのかな?独学でも合格を目指せる?」
という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
プロジェクトマネージャ試験は、IPAが実施する情報処理技術者に関する11の国家試験の中でも、最高難易度のレベル4に位置付けられています。
試験内容や難易度の高さから試験合格者にとっては自分のスキルを証明する材料となりますし、国家試験であることから企業側にとっては営業効果の高い「欲しい資格」でもあります。
そこで、この記事では、
・プロジェクトマネージャ試験は受かるとすごい、役に立つ
・プロジェクトマネージャ試験は難易度の高い試験
・プロジェクトマネージャ試験の独学合格は一筋縄ではいかない
について解説していきます。
目次
プロジェクトマネージャ試験は受かるとすごい、役に立つ
ここでは、
・プロジェクトマネージャ試験の知名度
・プロジェクトマネージャ試験は就職やキャリアアップに役立つのか
について解説していきます。
プロジェクトマネージャ試験の知名度
デジタル化が進展する近年、新たな情報ウェアやソフトウェア等を開発するためのプロジェクトが増える中で、プロジェクトを統括する高度なスキルをもつプロジェクトマネージャの需要は年々高まっています。
現在日本国内で受験できるプロジェクトマネジメントスキルを証明する主だった資格は、IPAのプロジェクトマネージャ試験を含めると3つ挙げられます。
その中でも、IPAのプロジェクトマネージャ試験は日本国内では高い知名度を誇っていると言われています。
その理由を、他の資格の概要と比較しながら見ていきましょう。
プロジェクトマネジメントに関する資格
①プロジェクトマネージャ試験
②PMP
③P2M
プロジェクトマネージャ試験 | PMP | P2M | |
運営団体 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 | 米国 Project Management Institute | 特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会 |
認定団体 | 経済産業省 | 同上 | 同上 |
資格区分 | 国家資格 | 民間資格・国際資格 | 民間資格 |
受験資格 | なし | 一定の学歴とプロジェクトマネジメント経験を満たす必要あり | あり ※4種の試験によって異なる |
受験料 | 7,500円(税込) | 555米ドル | 17,000〜220,000円(税込) |
合格基準 | 100点満点中60点以上
※午後Ⅱ(論述)はA評価 |
非公開(概ね60%以上の正答率) | 70%以上の正答率 |
合格率 | 10〜15% | 非公開 | 40〜100% ※試験によって異なる |
①プロジェクトマネージャ試験
IPAのプロジェクトマネージャ試験の最大の特徴は、やはり国家資格であるということです。
プロジェクトマネージャ試験を実施するIPA(情報処理推進機構)は、経済産業省が所管する独立行政法人で、日本のIT国家戦略を技術面・人材面から支えるために設立されました。
IPAが実施する情報処理技術者試験自体、1969年の発足から50年以上の歴史があることからも、日本国内ではIT関連の資格として最も広く知られています。
IPAによると、企業がIT人材のスキル把握に利用しているものについて、2019年の調査では、「自社の独自基準」(47%)に次いで2番目に「情報処理技術者試験(37.1%)」が挙げられています。
一方で、情報処理技術者以外の試験、資格は、16.1%に留まっています。
参考:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「IT人材白書2020」
このことから、日本国内におけるプロジェクトマネジメントに関する資格の中では、プロジェクトマネージャ試験が高い知名度を誇っているということができるでしょう。
②PMP
PMPは、アメリカの非営利団体PMIが実施しているプロジェクトマネジメントに関する民間資格であり、国際資格でもあります。
プロジェクトマネージャ試験との違いは、資格区分はもちろん、受験資格や試験内容にあります。
プロジェクトマネージャ試験は受験資格を設けずに、選択式や記述、論述の試験形式で幅広く詳細な知識の有無をチェックするのに対し、PMPではプロジェクトマネジメントの経験が求められ、コンピュータを使った選択式の試験で知識の有無をテストされます。
難易度はプロジェクトマネージャ試験の方が高く、PMPは合格率は非公開とはなっていますが、実際の合格率は60%ほどといわれています。
記述式や論述式の試験、論理的に文章を組み立てることが苦手という人にとっては、プロジェクトマネジメント経験とともに選択式の試験だけでスキルを認定してもらえるため、人気で知名度のある資格です。
日本国内での知名度はプロジェクトマネージャ試験と大差ありませんが、高額な受験料や3年おきに更新が必要であることなどから、費用対効果の低さで、近年はプロジェクトマネージャ試験の資格保有者の需要が上回っているようです。
後述しますが、企業側にとっても、国家資格保有者を確保することは営業効果が高く、メリットがあるということです。
③P2M
P2Mは、日本の特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会が実施する民間試験です。
試験は4種類あり、それぞれ分野ごとに特化した試験内容になっています。(PMC資格試験、PMSプログラム試験、PMS資格試験、PMR資格試験)
それぞれの試験には受験資格が設けられており、PMC→PMS→PMR→PMAの順で資格取得を目指すことになります。
応募者は多くなく、最も応募者数の多いPMCでも毎年300〜400名程度となっており、さらに年々減少傾向にあります。
プロジェクトマネージャ試験が毎年1万人ほどの応募があることからも、知名度では圧倒的にプロジェクトマネージャ試験が優位に立っています。
実際、プロジェクトマネージャ試験の合格発表後は、SNS上に多くの受験者の声が寄せられています。
これも知名度の高さを物語っています。
プロジェクトマネージャ試験合格してた!!!!嬉しい!!!やったぁぁぁぁぁ!!!ほんとに嬉しい!初高度!報奨金出るし!昇給もしやすくなるし!嬉しい!実務経験はまだまだだからこれから経験積んで頑張る!
春にはリベンジ!3度目の正直ITストラテジスト! pic.twitter.com/uuQ3G24NEI— はいど (@7_hyde_0) December 18, 2021
10月に受験した情報処理技術者試験の結果が出ましたがプロジェクトマネージャ試験受からずでした。
午後Ⅱで字数が足りず厳しいとわかっていましたが、いざ結果を目の当たりにすると悔しいですね。前回初論文のCが今回Bになったので次こそはAになるよう論文対策していきます!#情報処理技術者試験— もも (@_momofff_) December 17, 2021
以上のように、プロジェクトマネージャ試験の知名度が高い理由は
メモ
・国家試験である
・企業側にとって営業効果の高い、欲しい資格である
・毎年1万人ほどの多くの応募がある
だと考えられます。
プロジェクトマネージャ試験は就職やキャリアアップに役立つのか
公的機関であるIPAが実施する情報処理技術者試験は国家試験であり、情報システムの開発や運用、セキュリティなど、IT関係の業務に関する知識を有していることが証明できるため、情報処理関連企業の中では資格取得者を優遇するケースが多いとされています。
プロジェクトマネージャの社会的な需要は高く、ITPro(日経BP)の調査では、「技術職の社員に取らせたいIT資格」として2006年版以降毎年第1位となっており[1]、IT業界の花形資格と言われることも多い。
引用:Wikipedia
実際に、IT関連企業で働く方の声をご紹介します。
情報処理技術者試験の高度試験の中で、就職/転職に有利になると考えられる試験はどれになりますでしょうか?
来年の春期に情報処理技術者の高度試験を受けようと思っています。
対象の試験は以下のようなのですが、・プロジェクトマネージャ試験
・データベーススペシャリスト試験
・エンベデッドシステムスペシャリスト試験
・情報セキュリティスペシャリスト試験
・システム監査技術者試験これらの試験を「企業のニーズが比較的多く、就職や転職に有利になる」と考えられる順番にするとしたらどのようになりますでしょうか?
>>>私もIT系の仕事に就いており、転職やキャリアアップは意識しているため、質問者様と同じ内容を調べたことがあります。
対象に示されている試験の中では、やはりプロジェクトマネージャが1位だと思います。
その他の試験は、おおまかではありますが専門職という感じが強いと思います。参考:少し古い情報ですが、希望の内容だと思います。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071116/287421/?ST=solution部下にどんな人材が欲しいかを人事部に聞かれることがありますが、保有資格だけで人を選ぶなら、私はプロジェクトマネージャ保有者を選びます。
引用:Yahoo!知恵袋
情報処理技術者試験のプロジェクトマネージャってどんな時に役に立つんですか?
>>>企業がとらせたい技術系の資格No1に推薦しているのは、
合格時の営業効果が高いことです。プロジェクトマネージャを一人、プロジェクトに参入させることで多くのマージンをとることできますよね。
また、プロジェクトマネージャって長期案件が殆どなんですよね、コンスタントに一名エンジニアが入れば、会社も利益を途切れずに利益を生みますよね。また、官公庁がメーカやシンクタンクなどに仕事を出すときに国家試験合格者の数の多い企業を選びます。
試験合格者が多いことで、信頼性がより高いと考えているのです。また、仕事も情報処理技術者試験で覚える標準化されたやり方に準拠しておれば、計画の工程も、
話も通じやすいわけです。
引用:Yahoo!知恵袋
プロジェクトマネージャとして働くために、必須の資格はありません。
そのため、自社独自の判断基準でプロジェクトマネージャを選出している企業も多くあります。
しかし、逆を言えば、企業独自の基準に満たなければ、マネジメントの経験や知識がどれだけ豊富でも、プロジェクトマネージャとしての採用や待遇を受けられない可能性もあります。
その点、プロジェクトマネージャ試験に合格していれば、その知識や経験(受験資格はないが、実際には経験者でないと合格は難しい内容のため)を客観的に証明することになりますし、有資格者を積極的に採用する企業を探しやすくなるでしょう。
プロジェクトマネージャ試験は難易度の高い試験
プロジェクトマネージャ試験の難易度を上げているのは、なんといってもその試験内容です。
IPA公式HPに掲載されている試験要綱をチェックしてみましょう。
出題形式 | 出題内容 | 合格基準 | |
午前Ⅰ(50分) | 多肢選択式(四肢択一)
30問 |
※高度試験・支援士試験共通
テクノロジ系(基礎理論・コンピュータシステム・技術要素・開発技術) マネジメント系(プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント) ストラテジ系(システム戦略・経営戦略・企業と法務) |
100点満点中60点以上 |
午前Ⅱ(40分) | 多肢選択式(四肢択一)
25問 |
テクノロジ系(セキュリティ・システム開発技術・ソフトウェア開発管理技術)
マネジメント系(プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント) ストラテジ系(システム企画・法務) |
100点満点中60点以上 |
午後Ⅰ(90分) | 記述式
3問の出題から2問選択 |
1 プロジェクトの立ち上げ・計画に関すること
2 プロジェクトの実行・管理に関すること 3 プロジェクトの終結に関すること |
100点満点中60点以上 |
午後Ⅱ(120分) | 論述式
2問の出題から1問選択 |
ランクA(4段階評価の最高評価) | |
※多段階選抜方式を採用
・先に受験した試験の得点が基準点に達しない場合は、それ以降の試験の採点を行わずに不合格とする。 〈例〉午前Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は、午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの採点を行わずに不合格。 |
【午前Ⅰ・Ⅱ】
午前Ⅰ・Ⅱは、四肢択一式となっているため、比較的取り組みやすい内容となっています。
午前Ⅰに関しては、プロジェクトマネージャ試験を含む9つの高度情報処理技術者試験共通となっているため、IT関連全般の知識が問われる内容となっています。
午前Ⅱは、プロジェクトマネジメントに特に関わりのある知識を問われる内容となっており、表中の赤字で示した項目は出題範囲のうちの重点分野となっています。
IPA公式HPには、過去問と解答が掲載されています。
まずは、出題傾向を把握するためにもチェックしてみるとよいでしょう。
【午後Ⅰ】
午後Ⅰは記述式となっており、ここから難易度が増していきます。
午後Ⅰは、3つの大問から2つを選択し、設問(概ね3つ)に回答する形式です。
90分という時間設定の中で2つの大問に回答しなければならないため、1つの大問に45分で取り組む計算になります。
まず、目を見張るのが問題文の長さ。
ページにして3〜4ページほど、システム開発プロジェクトに関する記述があり、その後に設問が続きます。
設問の内容は主に知識を問うもので、自分の考えを20〜30字ほどの短い文で答えたり、穴埋めの語句を答えたりする記述式です。
午後Ⅱは1本しか論文書いたことないが何とかなりそう。経験ないのに笑 午後Ⅰって、国語だよなぁ…でも、国語にしても、なんでそっち!? って回答が結構あるんだけど…なかなか理解が難しい… #プロジェクトマネージャ試験
— むぎちょん (@V0tyjbYoVerXykF) October 1, 2020
専門的な知識をもとに、問題文の読解力、端的に説明する力や時間配分なども求められます。
【午後Ⅱ】
午後Ⅱは、最難関の論述式の試験です。
この論述式の試験により、プロジェクトマネージャ試験の難易度がグッと上がるのです。
仕事とワイリフの合間に来年受けるプロジェクトマネージャ試験の勉強をしているんだけど受験勉強を思い出すレベルで難しいし論述に関してはもう1回論文を書くのと同じくらい億劫なので逃亡したくなる
受かってる人全員尊敬するわほんと難しい— クルル (@crtn_9) October 8, 2021
試験の内容は、システム開発プロジェクトにおけるリスクマネジメントやスケジュール管理などといったテーマについて、自分の経験や知識をもとに論述するというもの。
設問は3つあり、それぞれ800字、800〜1600字、600〜1200字での論述が求められます。(令和3年度秋期の試験内容)
プロジェクトマネジメントに関する知識や経験が問われていることはもちろん、ここではいかに問題文の趣旨を読み取り、論理的に文章を書けているかということも重要な評価規準となっています。
設問で要求した項目の充足度、論述の具体性、内容の妥当性、論理の一貫性、見識に基づく主張、洞察力・行動力、独創性・先見性、表現力・文章作成能力などを評価の視点として、論述の内容を評価する。また、問題冊子で示す“解答に当たっての指示”に従わない場合は、論述の内容にかかわらず、その程度によって評価を下げることがある。
論理的に、分かりやすく文章を書く練習などが受験対策として必要になってきます。
まずは過去問と解答例をいくつかチェックし、問いに対しどのような回答が求められているのかを見てみるとよいでしょう。
プロジェクトマネージャ試験の独学合格は一筋縄ではいかない
独学での合格にはプロジェクトマネージャとしての経験の有無が大きく関係しており、未経験の方にとっては独学で合格を目指すのはかなり厳しいといえます。
そこで、ここでは
・独学が難しい理由
・独学での勉強方法
についてお話ししていきます。
独学が難しい理由
プロジェクトマネージャ試験を独学で攻略することが難しい理由として、午後Ⅰ・Ⅱの記述式、論述式試験が挙げられます。
先述したように、特に午後Ⅱの試験は論述式である上に、自身のプロジェクトマネジメント経験をもとにした回答が求められます。
これが、未経験や経験の浅い方にとっては独学で合格を目指すことは厳しいようです。
プロジェクトマネージャ試験は、前職(SIer)でいろいろ叩き込まれた知識や経験がそのまま役立ったので、あんまり勉強必要なかったな。
金融とかの、大きめのウォーターフォール開発での経験があるとかなり有利かも。
逆にスタートアップとかしか経験無いとたぶんしんどい。
— HAL (@HAL1986____) October 10, 2021
経験者、現職ということですよね?
論文は人に見てもらったほうがいいのかもしれませんけど、まあ、独学でも大丈夫だと思います。
PM未経験だと論文がちょっとたいへんかな?と思います。
引用:Yahoo!知恵袋
プロジェクトマネージャは論文というか、記述式があります。(あれを論文というかという意味ですが。一般的には論文)
IPAが描くプロジェクトマネージャ像を理解する。(午後1)
IPAが暗黙に指定する記述方法と、IPAが描くプロジェクトマネージャ像に即した回答を、自分が経験したとするプロジェクト像を合わせて、記載することが求められます。IPAが描くプロジェクトマネージャ像を理解するには、過去問を解いて理解するしかない。
その前提知識が、午前2の知識
これがないと話が分からない。
これがあって、午後1の過去問で理解し、午後2の記載フォーマットを理解しIPAが描くプロジェクトマネージャ像に即して、記述する。
いろんなパターンを理解しておかないと、難しいようです。
応用情報技術なら暗記物で、過去問をそれなりにやっていけば、結果は出ますが。
プロジェクトマネージャはそれだけでは厳しい。
実体験があれば、勘所はつかめますが。
引用:Yahoo!知恵袋
実際に合格率データを見てみると、令和2年度は以下のようになっています。
応募者数 | 受験者数 | 合格者数(合格率) | |
社会人 | 9,654名 | 6,265名 | 948名(15.1%) |
学生 | 18名 | 11名 | 0名(0%) |
引用:情報処理技術者試験 統計資料(令和2年度)
社会人の中でも、経験年数が2年以上ある方の受験が全体の約75%を占めており、経験なしや経験年数2年未満での受験は約0.5%(無回答約23%)となっています。
独学での勉強方法
プロジェクトマネージャ試験は、実務経験がないと独学合格が難しいのは事実です。
しかし、プロジェクトマネージャ試験は受験資格がないため、未経験でも独学合格を目指すチャンスはあります。
そこで、ここでは独学で合格した方の声から、効率的な勉強方法をまとめてみました。
プロジェクトマネージャ試験は、午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱの4つの試験で構成されており、試験範囲の広さや試験形式の多様さからボリュームのある試験内容となっています。
そのため、独学で合格を目指す場合は、教材の選び方や勉強方法などを工夫して効率的に学習を進めていかなければなりません。
ここでは、選択式(四肢択一式)の午前Ⅰ・Ⅱと、記述式の午後Ⅰ、論述式の午後Ⅱの3つに分けて、その対策方法を解説します。
【午前Ⅰ・Ⅱ対策】
ここでの対策ポイントは、「情報処理技術者、プロジェクトマネージャとしての知識がどれだけ身に付いているか」ということ、つまり知識理解が重要となります。
そのため、テキストや過去問を使ってひたすら知識を頭に入れていく、反復学習をする、ということが効率的な学習といえるでしょう。
こちらは、午前Ⅰ・Ⅱ対策に特化したテキストです。
引用:Amazon
『情報処理教科書 高度試験午前I・II 2021年版』 発行:翔泳社
プロジェクトマネージャ試験を含む全高度試験の午前Iと午前II、両方の対策ができる上、全高度試験をカバーしているのため、他試験から再出題される可能性がある問題もカバーできる。
そして、こちらはプロジェクトマネージャ試験全般の対策ができるテキスト。
テキストの内容は、午後Ⅰ・Ⅱに重きが置かれているため、午前対策には上記のテキストとの併用がおすすめです。
引用:Amazon
『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2021年版』 発行:翔泳社
プロジェクトマネージャ試験に合格するための知識とテクニック、学習方法など、さまざまな情報を結集した対策テキスト。
必須の基本知識や解答テクニック、学習プランの作成方法の解説、19年分の過去問題の解説など、盛り沢山の内容です。
また、四肢択一式の午前Ⅰ・Ⅱの試験は過去問をひたすら解いて反復学習すれば合格ラインに届くとの声も。
どうやら、問題の多くは過去に出題されたものと重複しているようです。
ただ、実務経験のない方や浅い方は、まずはテキストで基本知識をしっかり身につけてからの方が、過去問を効果的に使うことができるのかもしれません。
午前Ⅰもそうですし、他の高度区分試験もそうなのですが、午前Ⅱは過去問をやれば必ず合格します。なぜなら、足切りの60点以上を過去問との重複問題で稼ぐことができるからです。
引用:あわびさん日記
過去問題集も販売されていますが、プロジェクトマネージャ試験の過去問は平成16年度からの試験問題と解答を、IPAの公式HPで見ることができます。
こちらでも十分に過去問での対策はできるでしょう。
さらに、手軽に過去問で試験対策をするのに便利なツールがこちらの「過去問道場」です。
平成21年度以降の過去問からランダムで問題を出してくれます。
正答だけでなく、誤答の解説も丁寧に行ってくれるため、より理解が深まりやすいでしょう。
【午後Ⅰ対策】
午後Ⅰの試験内容は大きく分けて、①単純な知識問題、②現代文(国語)の問題、③プロジェクトマネージャとしての判断を問う問題から構成されています。
①単純な知識問題
穴埋め形式で出題されることが多く、午前Ⅰ・Ⅱの知識があれば十分に対応できます。
②現代文(国語)の問題
午後Ⅰの試験内容は、プロジェクトの事例やトラブル例から、その対策や原因分析、プロジェクトの評価を問われるものです。
そして、答えるべき内容が問題文の中にすでに示されている場合が多いのです。
そのため、国語の現代文のように、問題を正しく読み取り解答する力が求められます。
「現代文は苦手・・・」という方には、こんな参考書を使ってみるのもいいかもしれません。
独学で合格した方がおすすめされていた参考書です。
午後Ⅰ問題をやってみて「苦手だなー」と思われた方、騙されたと思って以下の本を読んで見てください。大学受験のための現代文対策のための本で、「何を今更」と思われるかも知れませんが、どうやって現代文の解答をあぶり出すかに至る過程を非常にロジカルな解説で追っています。
引用:あわびさん日記
引用:Amazon
『出口汪 現代文講義の実況中継(1) (実況中継シリーズ)』 発行:語学春秋社
一貫した論理的方法で解けば誰でも高得点が取れると示した伝説の参考書です。
③プロジェクトマネージャとしての判断が問われる問題
②とは異なり、問題文中に直接的な答えがないパターンの問題です。
「Q課長が〜したのは、どのような意図からか」「〜と判断されるのは、どのようなケースか」
などの問いに対して、プロジェクトマネージャとしての適切な判断とは何かを答えなければなりません。
対策としては、先に紹介したテキスト『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2021年版』で問題の形式に慣れてから、過去問に取り組むのがよいでしょう。
午後Ⅰはとにかく様々な事例に慣れておく、ということが大切です。
より多くの事例について、事例の原因分析や対策、評価について学ことで、プロジェクトマネージャとしての視点を獲得することが大切です。
参考までに、午後問題対策でこんなテキストもあります。
引用:Amazon
『2020 プロジェクトマネージャ 「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)』 発行:アイテック
午後Ⅰ試験は「解答のプロセスの理解」に重点をおいて対策。過去問から厳選した16問を掲載し、そのすべてに詳細な解答のプロセスが付いています。
午後Ⅱ試験は「概要設計の作り方」に重点をおいて対策。過去問から6問を掲載し、そのすべてに概要設計の見本とその作成手順が付いています。
【午後Ⅱ対策】
最難関と言われる午後Ⅱの論述式試験対策の重要ポイントは、解答文の骨組みを作り、論理的に文章を組み立てる練習をすることです。
午後Ⅱの試験は、プロジェクト上の課題に関わる問題文を読んで3つの設問に答えるという形式です。
問題文は、品質管理やスケジュール管理、プロジェクト要員間の関係調整など様々ですが、実は設問で問われていることは毎回似たり寄ったりなのです。
ざっくり言うと、設問アでは課題について、設問イでは課題への解決策について、設問ウではプロジェクトの評価と改善策を答えるというものです。
そのため、問題文を読んだら、その課題、解決策、評価・改善策について簡単に書き出して解答の骨組みを作ることから始めます。
そうすると、自分の考えを整理しやすく、文章を書き進める中で論点がずれたり矛盾が生じたりということを避け、効率的に(午後Ⅱは時間が足りなかったという受験者が多い)取り組むことができます。
実務経験がない人でも、過去問を解いて多くの事例に触れることで、プロジェクトマネージャとしての課題の見方・考え方を理解することはできるようになります。
また、午後Ⅰの試験と関連づけて、学習するのもよいでしょう。
そして、案外難しいのが、論理的に文章を展開するということです。
https://twitter.com/nao_inv/status/1452756005876428803
そこでおすすめなのが、こちらのテキストです。
引用:Amazon
プロジェクトマネージャ 合格論文の書き方・事例集 第6版 (合格論文シリーズ) 発行:アイテック
合格論文の絶対条件である「問題文の趣旨に沿うような論文」をどのように構成し、時間内に仕上げればよいか詳しく説明。
専門家による論文が30本掲載されており、合格できる論文とはどういうものなのか、事例を見て理解することができる。
論文事例が30本も収録されているので、論理的な文章の組み立て方とは何かについて学ぶことができます。
ただ読むだけでなく、課題の骨組みを洗い出しながら、文章の展開の仕方を分析しながら読むと、より効率的に午後Ⅱ対策をすることができるでしょう。
まとめ
ここまで、プロジェクトマネージャ試験についてお話ししてきました。
まとめると、以下の通りです。
まとめ
・日本国内の知名度はトップクラス、就職やキャリアアップに役立つ国家資格
・合格率15%、難易度は非常に高い
・独学受験可能だが、実務経験がないと合格は厳しい
・テキストや過去問など、独学でも学べるツールが充実している
プロジェクトマネージャ試験を受験する人の多くは、すでに実務経験のある方たちです。
「キャリアアップに必要だから」「プロジェクトマネージャの経験を生かして転職したいから」といった目的を持って受験されている方が多いようです。
プロジェクトマネージャとしての活躍を目指すのであれば、とっておいて損な資格では決してありませんが、実務経験や明確な目的がなく「なんとなく役立ちそうだから」と考えている方にとっては、合格は厳しい道のりになるでしょう。
目的意識をしっかりと持って、合格を目指してください。