ヤマハグレード4級は、ピアノの講師を目指している方、すでにヤマハグレード5級を取得している方でステップアップしたい方が目指すことが多い資格です。また、音大生が就職のために受けることも多いとのこと。
そういった方のために
・ヤマハグレード4級のレベル
・ヤマハグレード4級の難易度
・ヤマハグレード4級の自由曲の選び方
を、詳しく解説していきます。
目次
ヤマハグレード4級の試験内容
まず、ヤマハグレード4級の試験の内容の順番、配点はこの通りです。
1 | 予見室で即興演奏の予見 10分間 | |
2 | 即興演奏(a) | 20点 |
3 | 即興演奏(b) | 20点 |
4 | 初見演奏 | 20点 |
5 | 楽曲演奏 課題曲 | 5と6合わせて40点 |
6 | 楽曲演奏 自由曲3曲 |
合計点75点以上、かつ各科目の得点が50%で合格となります。
それぞれ4級ではどのような試験内容なのか説明していきます。
即興演奏の予見
これは試験そのものではありませんが、次から始まる試験のために、予見室で即興演奏の(a)と(b)を10分間見ることができます。
その際、鍵盤に触れたり、メモをとるのは禁止されています。この10分間の間に、どのような伴奏にするか考えておく必要があります。
即興演奏(a)
予見室で見た課題のメロディーに、的確な和音を選んで伴奏をつけます。その後つづいて2種類の変奏を演奏します。即興演奏(a)全体で一つの演奏にまとめてください。
即興演奏(b)
2~4小節程度の提示されたモチーフ3題から1題を選択し、発展させて小品にまとめます。一つの曲として自然な流れを伴った演奏にすることが求められます。
初見演奏
その場で30秒ほど予見して楽譜を読み、試験官の合図によって演奏を始めます。2ページ程度の小品です。楽譜から音楽を把握し、すぐに再現できる能力が評価されます。
このように初見演奏を集めた楽譜もありますので、練習に使用してみてはいかがでしょうか。
引用 ヤマハの楽譜出版
楽曲演奏 課題曲
ピアノメトードオリジナル編より、一曲用意して演奏します。暗譜が奨励されていますが、楽譜を見て演奏することも可能です。4級用はVol.1~4まで4冊用意されています。
引用 Amazon
引用 Amazon
引用 Amazon
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ただし、2022年4月から、課題曲が変更となります。
曲名 | 作曲者 |
嵐の海 | 鎌田 志保 |
バルカローレ | 角田 季子 |
ワンダーランドの扉をあけて | 市川 紗良 |
はるか水平線のかなたへ | 稲葉 裕美子 |
夜明け | 池見 朋子 |
誓い | 嶋津 優里 |
2022年4月~2023年3月までは、先に紹介したピアノメトードオリジナル曲集と新しい課題曲どちらでも演奏可能ですが、2023年4月以降は新しい課題曲しか演奏できなくなりますので、ご注意ください。
新しい課題曲の作品集はヤマハぷりんと楽譜サイトで2022年3月から配信、販売となりますので、これから受ける方はそちらを参考にしましょう。
楽曲演奏 自由曲
自由曲は3曲用意していきましょう。その中から審査員に指定された通りに演奏します。自由曲の選び方については、後半で説明しますので、そちらも参考にしてください。
ヤマハグレード4級のレベル
ヤマハグレードは、6級までは音楽を学ぶ学習者を対象としているのに対し、5級以上になるとより高い演奏力を目指す方や指導者を目指す方が対象とされています。
4級の場合だと、音大生が就職のために受験したり、ピアノ講師を目指す方が受けることが多いので、楽曲の演奏は問題なし、即興演奏がコードネームなしでもすぐに伴奏が思いつくかどうか、というレベルが要求されます。
こちらの試験要項を見て頂くと、後半に即興演奏の課題例が記載されています。
この即興演奏を見て、10分以内に的確な和音を選んで伴奏をつけることができるようになる必要があるのです。
違う曲ですが、こちらに実際に演奏している様子を紹介します。
ヤマハグレード4級と5級のレベルの違い
4級を受ける方で気になるのは、5級と4級でどれくらい難しくなるのかということではないでしょうか。級が上がるに従い、どの演奏でもより高いレベルでの演奏表現が求められます。
確かに5級と4級は同じ試験内容ですが、課題曲が変わります。また、即興演奏(a)の課題内容と評価のポイントが少し変わるので、違いを比べてみました。
試験内容 | 評価のポイント | |
5級 | 16小節程度の和音記号・コードネーム付き旋律 | コードネームが正しく理解できているか |
4級 | 16小節程度の旋律(和音記号・コードネームの指定なし) | 旋律に対する的確な和音や伴奏がつけられているか |
4級は和音記号・コードネームの指定がないため、課題のメロディーに対して自分で的確な和音を選んで伴奏を付ける必要があります。
5級と4級は、楽曲演奏のために準備する曲数も同じですし、合格に必要な合格条件(点数)は5~3級ともに変わりませんね。 ただ、やはり試験官の見方は厳しくなります。とくに即興は段々と厳しくなると思いますよ。
引用 ヤフー知恵袋
ヤマハグレード4級の難易度
ヤマハグレード4級は、一般的に難易度が高いと言われています。
なぜなら、ヤマハグレードは10~6級と5~3級で難易度が変わり、6級までは「なんとか受からせる試験」と言われていますが、5級以上になると「落とす試験」と言われているからです。
人にもよりますが、半年~1年はかかるようです。
私は今、ピアノ演奏グレード4級取得を目指して奮闘中です。
が、ただいま3回不合格中です。。。
曲は合格していて追試で受けているのですが、初見が苦手のため頑張って14点。足りない1点を補うため、即興演奏でAで15、Bで16を狙っています。
引用 教えて!goo
曲は弾けているしミスはないのに、あと1点がどうしても足りない、即興がなかなかうまくいかない、そのようにあと少しで合格なのに、その一歩が難しいのが、ヤマハグレード4級のようです。
また、1回で合格しなかった方のために、追試制度もあります。
- 各科目の得点が配点の50%以上
- 合計点が70~74点
- 楽曲演奏で30点以上取得
この条件が揃っている場合のみ、1年以内に1科目、または2科目の追試を受けることが可能です。
「楽曲演奏はできたのに、即興であと1点足りなかった」
のよう場合、苦手な科目だけをもう一度挑戦できるので、最初から受け直すのに比べて少しでも余裕ができるのはうれしいですね。
ヤマハグレード4級の自由曲の選び方
ヤマハグレード4級では、自由曲を自分で3曲選んで試験を受けますが、どの曲を選択するかが難しいところですよね。
試験要項によると
・全て異なる作曲家の作品から選択すること。できるだけ幅広い年代、曲想、テンポ等の違いの考慮も必要。
・一般に出版されているピアノのための楽曲から選曲すること
・練習曲や初歩の学習者のために書かれた曲は選曲できない。(例 ハノンなどの練習曲)
と、されています。
「ゆったりした曲」「テンポのいい曲」
を組み合わせた方がよいでしょう。
また、時代が分かれているほうが幅広く勉強しているアピールになるので、
「バロック」「古典派」「ロマン派」「近・現代」
の中から、それぞれ選ぶのも良いでしょう。
3曲の組み合わせに正解はありませんので、今まで受験してきた方が選択してきた曲の例をこちらに紹介しますので、自分の得意な曲があれば参考にしてみてください。
・Aさん ベートーベン悲愴3楽章、ショパン遺作ワルツ14番、ドビュッシー沈める寺
・Bさん バッハのイタリア協奏曲、モーツァルトロンドⅠ・K485、シューベルト即興曲op90-2
・Cさん ショパン革命のエチュード、リスト愛の夢、バッハシンフォニア11番
・Dさん バッハ平均律、ドビュッシー雨の庭、ベートーベンソナタ
あくまで例ですので、人によっては簡単、または3級レベルで難しい、と思うこともあるかと思います。
自分がミスなく完璧に弾ける曲を選んでいきましょう。
まとめ
ここまでヤマハグレード4級のレベルなどについて解説してきました。
・ヤマハグレード4級は、より高い演奏レベルを求めたり、指導者を目指す方が対象。
・ヤマハグレード4級は、難易度が高く、あと1点をとるのが難しい試験。
・ヤマハグレード4級の自由曲は、できるだけいろんな曲調で選ぶ必要がある。
以上がまとめとなります。ヤマハグレード4級を受ける方は難しい試験かと思いますが、しっかりと試験対策をして臨んでください。