様々な形のビジネスが生まれている現代において、ルールに則った企業の運営や取引におけるリスク回避が重要になっています。
ビジネス実務法務検定は、ビジネスに関わる法律の知識を得ることができ、中でも1級は、最上級資格。企業の管理職を目指す上で取得を検討されている方も多いのではないでしょうか。
「ビジネス実務法務検定1級の合格率や難易度は?」
「ビジネス実務法務検定1級は独学で取得可能?」
「ビジネス実務法務検定1級は履歴書にかける?」
このような疑問をお持ちの方へ向けて、ビジネス実務法務検定の難易度をはじめ、独学で取得可能かどうか、取得したら履歴書に書けるかなどを解説します。
後半ではプラスアルファで勉強してほしいことや、試験の概要も紹介しているので、受験を検討されている方はぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
ビジネス実務法務検定1級の難易度
まず資格に挑戦するときは、合格率や難易度を勉強の目安にしたいところですね。
ビジネス実務法務検定3級の合格率は70%、2級は40%程度ですが、1級の合格率は10%とかなり低い水準になっており、難易度は高いと言えるでしょう。
他の級に比べて合格率が下がる理由として、2級まではマークシート式であるのに対し、1級は論述式になることが考えられます。
ビジネス実務法務検定1級は、持っている知識をどう活用するかが問われるため、暗記だけでは到底合格できません。
人生で受けてきた数ある試験の中でビジ法1級が一番エグいかもしれん。取れる気がしないんだよなぁ
— てるふ@勉強 (@tealfstudying) October 24, 2021
鮮度の高い大学生にオススメの資格が【ビジネス実務法務検定】。
1級は引くほど難易度が高いですが、2級はオススメです。SNSに関わりがある方なら尚更のこと。
そのまま上位互換ありますし😎https://t.co/nNLT0iGm6H
— 358TV (@358TV) July 6, 2019
2級と1級は別物というくらい試験の出題傾向・形式・難易度が異なります。
設問に対する自分の答えを導き出す形式なので論文ではなく論述ですがその場で自分なりの答えを導き出す能力を鍛える必要があります。
引用:知恵袋
このように、2級と1級は別次元で難易度が違うということが分かります。
2級に合格して、これから1級に挑戦するという方は、合格へ向けて入念な対策が必要ですね。
ビジネス実務法務検定1級は独学可能?
ビジネス実務法務検定1級は難易度が高いので、勉強方法としてスクールやセミナーの活用が思い浮かびますが、できれば独学で合格したいですよね。
先に申し上げますと、ビジネス実務法務検定1級は独学で合格可能です。
1級を受験するためには、2級を取得している必要があるので、1級を目指す時点である程度知識が備わっていると思います。また、ビジネス実務法務検定には公式テキストがあるため勉強しやすいでしょう。
ただし、2級取得者でも100時間程度の勉強時間が必要と言われています。1日2時間勉強するとしたら2カ月近くかかるので、計画的に学習を進めてください。
勉強に活用できるおすすめの対策本は以下の2冊です。
ビジネス実務法務検定試験 1級公式テキスト 2021年度版
引用:Amazon
販売価格 4,300円(税込み4,730円)
検定試験での知識だけでなく、企業法務の責任者に必要とされる実務知識を得ることができます。実務においての事例、その解決とポイントがまとめられたテキストです。検定試験が終わった後も役に立つ実践書になります。
ビジネス実務法務検定試験 1級公式問題集 2021年度版
引用:Amazon
販売価格 3,200円(税込み3,520円)
「知識を問われる論点別問題」「事例を想定して解く実践演習問題」「過去3回分の1級過去問題」で構成された対策本。1級で出題される論述問題の基本的な取り組み方が載っているので、1級に初めて挑戦する方は必須ともいえる1冊です。
実務における規則は改正があり、変更点は新しいテキストに反映されていくので、できるだけ最新版の本を活用するようにしましょう。
公式のセミナーや通信講座の活用もアリ
独学で合格できると聞いても、合格率10%と難易度の高い試験なので不安に思う方もいらっしゃると思います。
ビジネス実務法務検定を主催している東京商工会議所では、通信講座やセミナーを開催しています。実力に自信が持てない方や、余裕をもって試験に臨みたい方は利用を検討してみてください。
受講料 30,900円(税込み)
受講期間 3カ月(添削可能期間は6カ月)
送られてくるオリジナルテキストをもとに自分で学習し、それを講師が添削をしてくれるという講座です。内容は公式テキストがもとになっているので、ほぼ独学と言ってもいいですが、自分の答案に自信のない方にはおすすめです。
受講料 会員価格29,700円(税込み) 一般価格44,550円(税込み)
受講期間 全5日間
答案のポイントや法務知識の解説などを弁護士の講師が行うものです。2021年はzoomライブ配信形式で行われました。公式問題集に載っている問題の解説や、講師による答案の添削もあり、充実した内容となっています。
講座で使用するテキストは、先ほど紹介した「ビジネス実務法務検定試験 1級公式テキスト」ですが、受講特典として割引で購入することができるのもうれしいポイントです。
受講料無料
受講期間 1日
こちらはビジネス実務法務検定1級の試験概要と受験対策講座の概要説明があります。加えて、答案作成の考え方解説もされるので、ぜひ参加してみてください。
受験対策講座と無料ガイダンスは、定員があるので申し込みは早めに済ませましょう。
ビジネス実務法務検定1級は履歴書にかける?
ビジネス実務法務検定1級を受けるのは、すでに企業法務で働いている方が多いと思いますが、転職や管理職への昇進を考えて受験する方もいるでしょう。
ビジネス実務法務検定1級はもちろん履歴書に書けます。就活や転職において非常に高いアピールポイントになることは間違いありません。
実際に、ビジネス実務法務検定1級が転職で役立つという意見があるので紹介します。
簿記2級、ビジ法1級、中小企業診断士、CFP、宅地建物取引士、証券外務員あたりをとっておくと社内転職がしやすい。
— 🐈ましろ🐈 (@mashiro_hiiragi) December 29, 2015
昨日、ビジネス実務法務検定1級を受けてきました。私は行政書士の資格も持っていますが、おそらく行政書士よりも難易度が高いです。それに、特許法や独占禁止法からの出題もあって、全て論述式ですから、かなりハードです。外資系企業への転職はビジ法1級とTOEICが鍵と言うのも納得です。
— 宇佐美桜あかり (@sueakari) December 7, 2020
そもそも2級に合格している時点でビジネス実務における法律の知識を持っているという証になります。1級はその上位資格のため、より有利に就活を進めることができるのです。
特に、将来役職に就くことを視野に入れている人は、会社に入る時点でアピールしておくといいですね。
実際に履歴書に書くときは、
○年○月 東京商工会議所主催 ビジネス実務法務検定1級 合格
と、このように記載します。主催団体は日本商工会議所ではなく、東京商工会議所なので間違えないように注意してください。
新卒の方は、1級レベルを取得しているというだけで高評価になります。転職の方は、業務の中で資格がどのように役立つか、または実際に資格を活かして行った業務を具体的に示すと、採用試験でより高い評価を得られるでしょう。
ビジネス実務法務検定1級取得のメリット
このように、ビジネス実務法務検定1級は履歴書に書くことで転職や就活で役立ちますが、就職以外の場面でもメリットがあります。
ビジネス実務法務検定1級の取得によって得られるメリットは以下の3つです。
・会社取引先からの信頼度アップ
・法務以外の仕事でも役に立つ
・法律関連の資格を目指す第一歩になる
今働いている会社の中だけでなく、自分の将来に役立つ部分も解説していきます。
会社や取引先からの信頼度アップ
企業コンプライアンスが厳しくなっている世の中では、取引におけるトラブルだけでなく会社の中での些細なもめ事も裁判に発展する場合があります。
ビジネス実務法務検定1級レベルの知識を持っていれば、トラブルをあらかじめ防ぐことができるので、勤めている会社や取引先に安心感を与えますよね。
ビジネス実務法務検定1級に合格した方には、ビジネス法務エグゼクティブの称号が与えられます。合格後は名刺に称号を記載し、ビジネス法務のスペシャリストであるということを取引先に示すことができるのです。
会社に1人でも法律に精通した人がいれば、それだけで会社の信頼度アップにつながります。資格を持っていない立場の人から見ても、一緒に仕事する人が法律に詳しかったら頼もしいはずです。
法務以外の仕事でも役に立つ
ビジネス実務法務検定1級は、人事、経理、総務など、法務部以外の業務でも大いに力を発揮します。
ビジネス実務法務検定1級のレベルは、公式サイトで以下のように記されています。
業務上必要な法務知識をビジネス全般にわたって持っており、その知識に基づいて多面的な観点から高度な判断・対応ができる。(実務的対応能力としてのアッパーレベルを想定)
引用:東京商工会議所
ポイントは、多面的な観点から高度な判断・対応ができる実務対応能力というところです。2級では外部の弁護士などに相談する一定の対応力が基準ですが、1級では自分で判断し対応するところまで求められるということですね。
法務部で働いていなくても、例えば人事において従業員への待遇、経理においての債権回収など、ルールに則って行う業務は幅広いです。ルールや仕組みが分かっていていれば、どんな仕事もイメージがつきやすく、万が一トラブルが起きた時の対応もスムーズになるでしょう。
法律関連の資格を目指す第一歩
法律関係の資格は、弁護士、司法書士、行政書士などがまず思い浮かびますが、社労士、通関士など他にもたくさんあります。
特に認知度や難易度が高い弁護士と司法書士は法律を幅広く学ばなければなりません。もちろんビジネス実務法務検定1級よりも高難易度です。ですが、1級で学ぶ法律の知識は当然、司法試験にも含まれているので、合格すれば司法試験の範囲を一部勉強したことになります。
法律関連の資格を1度勉強しており、なおかつ1級まで取得していると、次に目指す試験の勉強も取り掛かりやすいのではないでしょうか。
ビジネス実務法務検定1級を通して難しい資格へのハードルが少し下がると思うので、もっと上の資格を目指したくなったら、ぜひ挑戦してみてください。
このようにビジネス実務法務検定1級は、仕事の信頼度や対応力が向上するだけでなく、さらに上を目指してスキルアップの第一歩になる資格と言えます。
ビジネス実務法務検定1級をより活かすためのスキルは?
ビジネス実務法務検定1級の知識を持っているだけでも、実務で非常に役立つことが分かりましたが、あるスキルをプラスで身につけると更に資格を活かすことができます。
そのスキルとは、英語力です。日本の法律資格なので英語は無関係に思えますが、実務をこなす上で英語に長けていると、非常に有利です。
特に海外との取引が当たり前の企業では、英語の契約書を見る機会があったり、取引先の法務担当とメールでやり取りをしたりと、英語を使う場面が必ずあります。
自分は完全に棚に上げますが、これから企業の法務部で働くことを目指す人は本気で英語を頑張りましょう。社内のエース級や大手法律事務所が参加する外国企業との会議がありましたが、英語の問題で議論がスムーズに進まない場面が散見されました。英語力は本当に大きな強みになります。私も精進します。
— Gen. (@GenHPerry1) May 12, 2021
法務部で契約書の精査や翻訳をするらしいけど、友人の英語力では遅々として作業が進まずに非常にストレスが溜まっているらしい。俺の英語力を分けてあげたい。
— 田中(小説) (@tanaka_jager) March 10, 2018
日常会話ではなく、法的な文を読み理解することができる人材はなかなか少ないので、会社で重宝されることは間違いありません。
経営者側から見ると、英語ができる人と法務に詳しい人を別々で雇用するより、1人で完結したほうがコストや効率の面で助かりますよね。
ビジネス実務法務検定1級は受験者数が少なく合格率も低いため、そもそも資格保持者が少ないです。ただでさえ希少な人材である上に、英語スキルも備われば、非常に価値が高いと言えるでしょう。
外資系に関わらず海外との取引はこれからも増えるので、ビジネス実務法務検定1級にプラスで英語を学べば、活躍の場が更に広がりそうですね。
ビジネス実務法務検定1級の試験概要
ビジネス実務法務検定1級は、年に1度しか試験がないので、概要をきちんと把握して試験に臨みましょう。
試験概要は以下の通りです。
受験資格 | ビジネス実務法務検定2級合格者(年齢、学歴、国籍などの制限なし) |
試験会場 | 試験会場は受験票に記載(受験可能エリアを確認) |
試験日程 | 12月第一日曜日 |
申込日 | 10月中旬~11月中旬 |
受験料 | 11,100円(税込み12,100円) |
持ち物 | 受験票、筆記用具 、顔写真付き身分証明書、
判例の付いていない法令集(任意) |
出題範囲 | 出題範囲を確認 |
出題形式 | 論述問題 |
試験時間 | 共通問題2時間、選択問題2時間 |
合格基準 | 200点満点中140点以上、なおかつ各問題の得点が50%以上合格 |
合格発表 | 翌年3月頃 |
試験時間が2時間ずつ、合計4時間もあります。4時間も手を動かしていたら絶対に手が疲れますし、集中力も切れてしまいます。
誰しも受験シーズンに勉強のし過ぎで腱鞘炎になった経験があるのではないでしょうか。時間ギリギリまで問題を解くことを考えると、勉強ついでに長時間文字を書き続けることに慣れる練習も必要になりそうですね。
また、試験概要の中で補足する部分が2点あるので、以下もご確認ください。
持ち込み可能の法令集について
ビジネス実務法務検定1級は、以下の条件を満たした法令集の持ち込みが許可されています。
・紙媒体で判例がついていないもの(電子版NG)
・カンニングになるような書き込みがないもの(アンダーラインはOK)
ポケット六法は持ち運びに便利なのでおすすめです。持ち込みの数に制限はないので、ビジネス法務1級の範囲をカバーしているものを数冊選ぶのもいいですね。
出題範囲の法令が細かく載っていない場合は、問題になる法律や規則に違反したときの命令や罰則が何条に書いてあるかを、あらかじめ覚えておきましょう。
ビジネス実務法務検定には準1級認定制度がある
ビジネス実務法務検定1級では、不合格になった場合でもまだチャンスがあります。不合格者の中で得点上位者を準1級として認定する制度があるのです。
準1級に認定された方には、残念ながら成績表と合格証はありませんが、その代わりに準1級の認定書が発行されます。
準1級の認定範囲の例は以下の通りです。
引用:東京商工会議所
2020年の試験では、受験者372人に対し140人が準1級に認定されました。認定率は37.6%です。
1級までは届かなくとも、準1級なら可能性があるかもしれませんね。
まとめ
ここまで、ビジネス実務法務検定1級の難易度や独学方法、履歴書に書けるかなどを解説してきましたが、まとめると、
・ビジネス実務法務検定1級は難易度が高いが、独学可能
・ビジネス実務法務検定1級は履歴書に書けるので、転職で役に立つ
・ビジネス実務法務検定1級取得によって、仕事の信頼度が上がるなどのメリットがある
ということになります。
ビジネスの形が多様化、複雑化していく現代においてトラブルはつきものです。ビジネス実務法務検定1級では、トラブルによる損害から会社や自分自身を守るだけでなく、起きてしまったことを自分で解決へ導く力も身に付きます。
会社で重要な役割を任されている方や、これからその立場を目指すという方は、ビジネス実務法務検定1級にぜひ挑戦してみてください。