P検はパソコンの知識とスキルを評価する検定試験で、5級から1級があります。
P検4級は下から2番目のレベルで比較的簡単なので、チャレンジしやすい検定試験です。
ここではP検4級についてチャレンジする際に気になる
- 難易度
- 試験概要
- 合格基準
- 勉強方法
- 履歴書への記載について
について解説します。
目次
P検4級ってどんな検定?
「P検」は通称で、正式名称は「ICTプロフィエンシー検定試験」です。
メモ
ICT = 情報通信技術
プロフィエンシー = 知識や技能を状況に応じて発揮する能力
つまり「ICTを活用した問題解決力を評価する検定試験」ということです。
P検主催のICTプロフィシエンシー協会(以下、P検協会)公式サイトの「P検人物像と職務マップ」によると、4級レベルで求められているのは
- ICTの基礎的な知識・スキルを有し、人を頼りながら、初歩的な職務の遂行ができる
- ワープロ(Word)、表計算(Excel)、インターネットや電子メールなどの特徴と基本機能、用語などを知っている
となっています。
つまり、職場でパソコンを使って仕事をするために最低限必要な知識・スキルがP検4級で求められるレベルです。
以前、新入社員の教育担当者が「今年の新入社員、キーボード入力に慣れてないから急遽タイピング練習の時間を作ったよー」と言っていたのを聞いてびっくりしました。
しかし、スマホやタブレットで何でもできるのでパソコンを使う機会が少ないという人であれば仕方ないことかもしれません。また、知り合いとの連絡はLINEという人はメールにも不慣れです。
そういった方がパソコンの基本的スキルを習得するのにP検4級はよい検定だと思います。
また、P検準2級から4級は「学習指導要領」に準拠していて、4級は中学生レベルとされています。学生さんにとっては学習したことが身についているという証になります。
更に、大学や短大の入試で優遇措置を受けられたり、単位認定を受けられます。ただし、多くの学校では対象が3級以上となっていて、4級が対象の学校はとても少ないです。
P検4級の難易度
先にも書いたように、P検4級は中学生レベルのとされています。
2020年度の合格率は
社会人(大学生を含む) | 88.5% |
高校生・中学生 | P検アプリ利用なし 68.9% |
P検アプリ利用あり 83.4% |
となっています。
P検アプリとは
事前に Word と Excel の実技テストが受験できる有料の合格支援制度。
Word と Excel の実技テストをそれぞれ3回まで受けることができ、合格するとP検受験の際に実技テストが免除される。
P検アプリを利用できるのは
- 中学校・高校などの「学校団体受験」を受験する学生
- PASS認定校(認定試験会場となるパソコンスクールなど)の受講生
- PASS認定校による出張実施試験の受験者
で、申し込みが必要。
高校生・中学生でP検アプリを利用したほうが合格率が高いということは、社会人と比べて Word と Excel の経験が少ないことをカバーする制度と言えます。つまり、普段から Word や Excel を使い慣れていれば合格率は80%以上ということです。
受験した人などの感想からも Word や Excel の経験があれば簡単なことがうかがえます。
来年かわからんけどP検取るんだけど何級とるか迷う
今年学校で4級取らされたけどどちゃクソ簡単だったしちょっとだけ勉強して準二級ぐらいとろうかな— SUTO94 (@suto94) December 13, 2019
P検4級の実技について指導することになったのだけど、思った以上に簡単である反面 "Microsoft Officeの知識" (用語とか) が無いと厳しい印象を受けた。
— shuma_yoshioka (@shuma_yoshioka) October 17, 2017
P検4級の試験概要
P検は全国にある認定試験会場(PASS認定校)で開催されています。
PASS認定校ごとに試験日が異なり、P検協会公式サイトの試験会場検索ページでPASS認定校を検索し、電話かメールで受験予約をします。
試験はCBT方式(コンピュータを利用して受験する方式)なので、合否は試験終了後すぐに表示されます。合否通知はだいたい一週間以内に発送されます。
P検4級の試験概要は以下の通りです。
試験日 | PASS認定校によって異なる | |
受験料 | 社会人・大学生 3,060円 学割(高校生以下)1,530円 |
|
受験資格 | 特になし | |
試験時間 | 合計50分(出題カテゴリーごとに時間制限あり) | |
出題カテゴリー | タイピング | 5分 |
一般問題(コンピューター知識、情報通信ネットワーク、情報モラルと情報セキュリティ) | 25分 | |
プロフィエンシー | ||
実技(Word、Excel) | 各10分、合計20分 | |
出題形式 | タイピング | タイピング |
一般問題(コンピューター知識、情報通信ネットワーク、情報モラルと情報セキュリティ) | 選択式他 | |
プロフィエンシー | ||
実技(Word、Excel) | Word、Excel |
P検4級の合格基準
P検4級の合格基準はカテゴリーごとの基準(A)と総合得点基準(B)の2つがあり、両方の条件を満たしている場合に合格となります。
出題カテゴリー | 出題数 | 合格に必要な正解数(A) | 総合得点基準(B) |
タイピング | − | 100点中30点以上(日本語入力の場合は255文字以上、英字入力の場合は383文字以上) | |
コンピューター知識 | 15問 | 5問以上 | 計50問
300点中180点以上 プロフィエンシー問題は1.2倍の配点 |
情報通信ネットワーク | 10問 | 3問以上 | |
情報モラルと情報セキュリティ | 10問 | 3問以上 | |
プロフィエンシー | 5問 | 2問以上 | |
Word | 5問 | 2問以上 | |
Excel | 5問 | 2問以上 |
カテゴリーごとの基準(A)は、タイピング以外の6つのカテゴリーで出題数に対して30%以上正解する必要があるというものです。
総合得点基準(B)は、タイピングは10点中30点以上、タイピング以外の6つのカテゴリーの得点合計が300点満点中180点以上というものです。
AとBの条件を満たすということは、全てのカテゴリーで30%以上正解してタイピング以外の6つのカテゴリーで合計180点以上取るということです。
例を挙げると
- タイピングの点数が29点以下、6つのカテゴリーの合計点数が180点以上、6つのカテゴリー全てが30%以上正解
- タイピングの点数が30点以上、6つのカテゴリーの合計点数が179点以下、6つのカテゴリー全てが30%以上正解
- タイピングの点数が30点以上、6つのカテゴリーの合計点180点以上、「Word」の正解数が1問
これらは不合格となります。
つまり、得意なカテゴリーで得点を稼いでも1つでも正解が30%に満たないカテゴリーがあると不合格になるということです。
苦手なカテゴリーがないように勉強していくのがいいでしょう。
P検4級の勉強方法
難易度のところで書きましたが、P検4級は「中学生レベル」で比較的簡単なので、スクールに通うことなく独学で合格が可能です。
ここでは勉強方法として
- タイピング練習
- オフィシャル教材
- 模擬試験
を紹介します。
タイピング練習
タイピングの練習はP検協会公式サイトの無料タイピング練習にある「ダウンロード版(旧:タイピング君)」がおすすめです。
このダウンロード版は本番に近いイメージの練習ソフトでP検レベル判定もできるので、このソフトで練習すればタイピングが合格レベルに達しているかわかります。
ということで、無料タイピング練習「ダウンロード版(旧:タイピング君)」で合格基準を満たせるまでタイピング練習をすることをおすすめします。
P検4級のオフィシャル教材はテキストとドリルの2種類
P検オフィシャル教材は、「P検合格シリーズ」のテキストとドリルがあります。
注文はP検協会公式サイトから Amazon とP検協会事務局にできます。
P検合格シリーズ4級 テキスト
価格2,200円(税込)
タイピング以外のカテゴリーごとに学習できます。
引用:Amazon
P検合格シリーズ4級 ドリル
価格838円(税込)
問題が穴埋め形式で選択式で答えていく形式で、詳しい回答と解説が載っています。巻末には用語集もついています。
引用:Amazon
模擬試験にチャレンジして実力を確認
P検協会公式サイトの無料模擬試験に4級から2級までの模擬試験があります。
勉強を始める前にチャレンジすれば自分の実力が確認できますし、勉強後にチャレンジして合格レベルに達しているか確認できます。無料なのでダウンロードして活用しましょう。
P検4級は履歴書に書ける?
P検は資格試験なので履歴書に書けます。
書き方としては、
履歴書の「免許/資格」欄に、 ICTプロフィシエンシー検定協会主催 P検○級 合格 と記載します。
しかし、P検4級を履歴書に記載するのはおすすめできません。
その理由ですが、一般的には履歴書の「免許/資格」欄に記載する資格などは3級以上からとされています。レベルの低いものを記載するとマイナスイメージを持たれる可能性があります。
P検協会公式サイトの「P検人物像と職務マップ」では、3級が「入社時に要求されるICT活用スキルを有する人材」となっています。
一方、4級は「ICTの基本的な知識・技能を有する人材」となっています。
これらのことから、P検3級以上ならアピールになると考えられますが、P検4級はマイナスイメージを持たれる可能性があるので履歴書への記載はおすすめできません。
ただし、他に記載する資格などが少なく、最低限のパソコンスキルがあることがアピールになるのであればP検4級を記載していいかもしれません。
まとめ
P検4級についての解説をまとめると
- 「中学生レベル」のパソコンの知識とスキル評価する検定で、合格率は80%以上
- 合格基準はカテゴリーごとの得点基準と総合得点基準があり、どちらも満たしていれば合格となる
- オフィシャル教材のテキストとドリルで勉強する
- 公式サイトに無料のタイピングソフト、模擬試験がある
- 履歴書に記載できるがアピールにはなりにくい
となります。
P検4級は中学生レベルの比較的簡単な検定なので、ご自身の知識やスキルのレベルを試すにはいい試験です。
上位の級を受ける前に力試しとして受験を考えてもいいと思います。