ボイラーを扱うために存在する”ボイラー技士”という国家資格
キャリアアップを目指すため、この資格を取得しようと検討されているのではないでしょうか?
またボイラー技士の取得を検討するにあたって
「難易度は難しいの?」
「年収はどうなの?」
「将来性はあるの?」
「各級の違いは?」
などといった悩みもあわせてお持ちかと思います。
そんな悩みを解決するべくこの記事では
・難易度について
・年収について
・将来性について
・各級の違いについて
といった内容を詳しく解説していきます。
目次
ボイラー技士とは
ボイラー技士は労働安全衛生法に基づいた国家資格にあたります。
2級、1級、特級とレベルによって階級が区別され、2級が初心者向け特級が上級者向けの階級となっています。
また、仕事内容は主に、
・空調ボイラー
・温水ボイラー
などいったボイラーの点検や整備、修繕を行うことが可能です。
ボイラー技士の難易度は高い?低い?
ボイラー技士の難易度は各級ごとにことなります。
1級・2級の合格率は約50%を超え難易度は低いといえますが、上級者向けの特級の合格率は約30%という結果で難易度がかなり高いです。
ですがボイラー技士は飛び級制度がなく、2級から順を追って取得していかなければならないので、2級・1級の基礎知識をしっかりと抑えておくことで特級の合格も十分に狙えると予測できます。
また令和2年度に行われた試験では、2級の受験者が16,098人に対し、特級の受験者はわずか430人しかいないので、受験者数も合格率が低いことに影響しているといえます。
参考までに各級ごとの合格率を紹介しますのでご覧ください。
令和2年度
2級 | 1級 | 特級 | |
合格率 | 58.4% | 50.9% | 29.1% |
補足として、2級と1級は過去5年間の合格率が50%を下回ったことがないため、難易度が低く合格を狙いやすい資格です。
ボイラー技士は独学は可能なの?
結論ボイラー技士は独学での取得が可能な資格です。しかし独学での取得は可能とお伝えしましたが、ボイラー技士は取得するにあたっていくつかの取得条件があります。
後ほど詳しく解説していきますが、各級ごとに設けてある取得条件を満たしておけば、独学での取得が可能となります。おおまかな取得条件が以下のとおりになります。
2級:実地修習(6ヶ月以上)
1級:実地修習(1年以上)+2級の取得者
特級:実地修習(2年以上)+1級の取得者
以上の内容が取得条件として設けてあります。その他、
・年齢制限
・最終学歴
などといった条件はないのでボイラー技士は誰でもいくつからでも取得を目指せる資格です。
ここで紹介した実地修習とは、
当該労働者が所定労働日において、所定労働時間をボイラー技士の指導監督のもとにボイラーの取扱いの方法を実地に習得する
引用:厚生労働省
といった内容になります。つまりボイラーを扱う仕事に携わった経験の有無がボイラー技士を取得するにあたって必要になるということです。(あとの『各級の取得条件はどんな違い?』のところで詳しく話しています。)
ボイラー技士の取得を目指すにあたって具体的に問題集や参考書を用いて学習を進めていきます。ここでは参考までに受験者が最も多いボイラー技士2級の問題集や参考書を紹介していきます。
引用:Amazon
U-CANの2級ボイラー技士 合格テキスト&問題集【予想模擬試験つき(2回分)】 (ユーキャンの資格試験シリーズ)
価格:2,200円(税込)
引用:Amazon
らくらく突破 改訂新版 2級ボイラー技士 合格教本
価格:2,068円(税込)
引用:Amazon
詳解 2級ボイラー技士 過去6回問題集 '21年版
価格:1,650円(税込)
また学習を進めていく中で、
「問題集や参考書だけでの学習は不安」
とこのような悩みをお持ちの方も中にはいるかと思うのでそのような方には”通信講座”をオススメします。
通信講座の中では
・ボイラ協会が運営する通信講座(31,500円)
・ユーデミー(5,400円)
・ユーキャン(39,600円)
といった3つがオススメです。
講座によって
・価格
・講座内容
・学習期間
などといった内容が異なるので、あなたの生活スタイルにあった講座を選ぶことが重要になります。
通信講座での学習を視野に入れている方で、詳しく内容を知りたい方は参考までにご確認ください。
ボイラー技士の試験概要について
ボイラー技士試験の特徴として試験は筆記試験のみになります。また、試験で問われる問題は各級同一範囲で、
・ボイラーの構造に関する知識
・燃料および燃焼に関する知識
・ボイラーの取扱に関する知識
・問関係法令
などといった合計4つの科目で各10問ずつ問われます。
以下にはボイラー技士の各級ごとの
・試験費用
・試験回数
などといった内容を表にまとめていますのでご覧ください。
受験料 | 試験時間 | 試験回数 | 合格基準 | |
2級 | 6,800円 | 3時間 | 月1回以上 | 4科目合格点が60%かつ科目ごとの合格点が40%以上 |
1級 | 4時間 | 5〜7回/年 | ||
特級 | 4時間 | 年に1回 |
表を見ていただくと2級は毎月試験が開催されていることがわかりますね。合格率も高く毎月開催されていることから、2級はとても気軽に受けやすい試験ということが予測できます。
ボイラー技士の年収はどのくらい?
ボイラー技士の平均年収は390万〜410万程です。現在の日本の平均年収が460万前後と言われていますので、ボイラー技士の年収と比較するとボイラー技士の平均年収が低いことがわかります。
せっかくボイラー技士の取得を目指すなら
「平均年収より多く稼ぎたい!」
と思われる方もいるかと思いますが、果たして年収をアップさせる方法はあるのでしょうか?
結論あります。
具体的には
・取得階級
・ダブルライセンス
などといった内容が深く関係してくるので、ここではこの2つについて解説していきます。
取得階級によって年収は変わるの?
ボイラー技士は各級ごとに業務範囲が異なり、1級や特級を取得することで昇給や賞与に影響する可能性が高まります。
特に特級を取得すると、勤める企業によっては責任者クラスの役職を任されることがあるので
「年収を上げたい!」
といった意気込みあればぜひ特級まで取得することをオススメします。
ボイラー技士と合わせて取得しておきたいオススメの資格を紹介!
ボイラー技士を取得するのであれば、年収アップを目指せるダブルライセンスも視野に入れておくことがオススメです。
理由として、ボイラー技士はボイラー関係の仕事が主になっていきますが、ボイラー技士と相性の良い資格を取得することで、
・任される仕事が増える
・希少価値が高まる
といったメリットができるからです。
ここからはボイラー技士と合わせて取得すると良い資格3つほどを紹介していきます。
・危険物取扱者乙種4類
・第3種冷凍機械責任者
・第2種電気工事士
これらはいずれも国家資格にあてはまり、その中でも比較的取得しやすい資格です。
また、この3つの資格とボイラー技士はビルメンテナンスに必要な資格になるので、どれか1つでもボイラー技士と合わせて取得することで、任される仕事が増え、必然的に評価が上がり、年収もアップすることが予測できます。
ボイラー技士の将来性は?
ボイラー技士の将来性は”高い”といえます。理由として近年ビルや高層マンションといった建造物が多く建築されており、その建物にはボイラーや空調が設置されるので、年々ボイラー技士の仕事が増加傾向にあると言えるからです。
また、ホテルや病院といった建物にも当然ながらボイラーや空調が設置されており、大型のボイラーとなれば取扱作業主任者を配置するのが義務化されているので、建物に常駐しなければならないことがあります。
一方でボイラー技士の1級以上の受験者が減少傾向にあり需要に供給が追いつかず、1級以上の取得者の価値がかなり高まってきています。これからますます建物が増加していくことが予測できますので、ボイラー技士の需要はすぐに落ちることはないでしょう。
また、先ほど紹介したダブルライセンスを取得しておくことで、転職を検討する際にも有利に運ぶことができますので、ボイラー技士の将来性は高いといえます。
ボイラー技士1級や2級・特急の違いは?
ボイラー技士の各級の大きな違いは
・行える業務範囲
・取得条件
といった2つ内容が挙げられます。
ここでは2つの内容について詳しく解説していきます。
各級の業務範囲にはどんな違いがある?
ボイラー技士を取得するともちろんボイラーに携わる仕事を行えるのですが、各級によって取り扱える
・ボイラーの種類
・ボイラーの規模
などが異なります。
以下の各級ごとに扱えるボイラーの違いについてご確認ください。
2級 | 電熱面積が25㎡未満のボイラーの取り扱いが可能 |
1級 | 電熱面積が25㎡以上500㎡未満のボイラーの取り扱いが可能 |
特級 | 全ての規模のボイラー取扱作業主任者となることができる |
表のとおり、特級を取得することでボイラーに関わる全ての業務範囲で活動できるので最終的には特級を取得することをオススメします。
各級の取得条件はどんな違い?
ここでは各級ごとの取得条件について解説していきます。
2級の取得条件は?
ボイラー技士2級の取得条件は全部で10個あります。
1:学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校等においてボイラーに関する学科を修め3ヶ月以上の実地修習を経たもの
2:6ヶ月以上ボイラーの取扱いの実地修習を経たもの
3:都道府県労働局長又は登録教習機関が行ったボイラー取扱技能講習を修了し、4ヶ月以上小規模ボイラーを取扱った経験があるもの
4:登録ボイラー実技講習機関が行うボイラー実技講習(20時間)を修了したもの ※1
5:熱管理士免状(エネルギー管理士(熱)免状も該当)を有する者で、1年以上の実地修習を経たもの
6:海技士(機関3級以上)免許を受けたもの
7:海技士(機関4,5級)の免許を有する者で、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーの取扱経験者
8:ボイラー・タービン主任技術者(1種,2種)免状を有する者で、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーの取扱い経験者
9:保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格したもので、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
10:鉱山において、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーを取り扱った経験があるもの
(但しゲージ圧力が0.4MPa以上の蒸気ボイラー又はゲージ圧力0.4MPa以上の温水ボイラーに限る。)
引用:日本ボイラ協会
ボイラー技士2級では以上の条件いずれかに該当しておけば受験を受けることが可能です。
1級の取得条件は?
ボイラー技士1級の取得条件は全部で8つになります。
1:二級ボイラー技士の免許を有する者
2:学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校等でボイラーに関する学科を修め卒業した者で、その後1年以上の実地修習を経たもの
3:熱管理士免状「エネルギー管理士(熱)免状も該当」を有する者で、1年以上の実地修習を経たもの
4:海技士(機関3級以上)免許を有するもの
5:ボイラー・タービン主任技術者(1種、2種)の免状を有する者で、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーの取扱い経験者
6:保安技術職員国家試験規則による汽かん係員試験に合格した者で、伝熱面積の合計が25m2以上のボイラーの取扱い経験者
7:二級ボイラー技士試験免許をうけた後、2年以上ボイラー(小規模ボイラー及び小型ボイラーを除く。以下同じ。)を取り扱った経験がある者又は当該免許をうけた後、1年以上ボイラー取扱作業主任者としての経験がある者で、一級ボイラー技士免許試験に合格したもの
8:ボイラー及び圧力容器安全規則第101条第2号ロ又はハに掲げる者で、一級ボイラー技士免許試験に合格したもの
引用:日本ボイラ協会
ボイラー技士1級では1の条件は必須ですが、2〜6の条件はいずれかに該当しておけば問題はありません。
特級の取得条件は?
ボイラー技士特級の取得条件は全部で7つになります。
1:一級ボイラー技士の免許を有する者
2:学校教育法による大学、高等専門学校でボイラーに関する講座又は学科目を修めて卒業した者で、その後2年以上の実地修習を経たもの
3:熱管理士免状「エネルギー管理士(熱)免状も該当」を有するもので、2年以上の実地修習を経たもの
4:海技士(機関1,2級)免許を有するもの
5:ボイラー・タービン主任技術者(1種,2種)の免状を有するもので、伝熱面積の合計が500m2以上のボイラーの取扱い経験者
6:一級ボイラー技士試験免許をうけた後、5年以上ボイラー(小規模ボイラー及び小型ボイラーを除く。以下同じ。)を取り扱った経験がある者又は当該免許をうけた後、3年以上ボイラー取扱作業主任者としての経験がある者で、特級ボイラー技士免許試験に合格したもの
7:ボイラー及び圧力容器安全規則第101条第1号ロ又はハに掲げる者で、特級ボイラー技士免許試験に合格したもの
引用:日本ボイラ協会
ボイラー技士特級では1の条件は必須ですが、2〜5の条件はいずれかに該当しておけば問題ありません。
各級共通していることは「実地修習」を受講する必要があるということです。
・2級は6ヶ月以上
・1級は1年以上
・特急は2年以上
といったようにボイラー関係の仕事に携わっていなかった場合、2級を取得して特級を取得するまでに最低でも2年かかるこになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回この記事ではボイラー技士について詳しく解説していきました。
・難易度は低く、合格率は50%を超える
・勤続年数やダブルライセンスによって平均年収以上を見込める
・今後もボイラー技士の需要は高まることが予測できるので将来性は高い
・各級によって行える業務範囲や取得条件がことなる
難易度も決して高いわけでなく、きちんと対策をとることで取得できる資格になりますのでまずは問題集やテキストを購入して苦手な分野などを確認するところから始めることをオススメします。