ウェブ関連の検定で唯一、国家検定として認定されている「ウェブデザイン技能検定」
3級、2級の取得だけでも技能士を名乗ることができますが、更に知識を深めて仕事に役立てたり、自分で運営するサイトをより良いものにしたりという目的で、最上位資格である「ウェブデザイン技能検定1級」の受検を検討されている方もいるのではないでしょうか。
「ウェブデザイン技能検定1級の難易度はどれくらい?」
「ウェブデザイン技能検定1級の過去問はどのようなもの?」
「ウェブデザイン技能検定1級は独学で勉強できる?」
という疑問をお持ちの方に向けて、ウェブデザイン技能検定1級の難易度や過去問、勉強方法について解説していきます。1級取得のメリットについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ウェブデザイン技能検定1級の難易度
検定試験を受ける前には、自分がどれくらいの難易度に挑戦しようとしているのか気になるところですね。
ウェブデザイン技能検定1級の難易度は、結論から言うとかなり高いです。
合格率自体は10%~20%で、検定試験1級の難易度としては普通程度と思えますが、実はウェブデザイン技能検定1級が難しいと言われている理由がもう一つあります。
それは何かというと「受検資格」です。
ウェブデザイン技能検定の受検資格は、以下のように定められています。
【実技試験】
・1級の技能検定において、学科試験に合格した者(※1)
【学科試験】
・7年以上の実務経験(※2)を有する者
・職業高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校卒業又は普通職業訓練修了(※3)
後、5年以上の実務経験(※2)を有する者
・大学(※3)卒業後、3年以上の実務経験(※2)を有する者
・高度職業訓練修了(※3)後、1年以上の実務経験(※2)を有する者
・2級の技能検定に合格した者であって、その後2年以上の実務経験(※2)を有する者※1:当該実技試験が行われる日が、学科試験の合格日より2年以内である場合に限る。
※2:実務経験とは、ウェブの作成や運営に関する業務に携わった経験のことである。
※3:学校卒業、訓練修了については、卒業あるいは修了した該当科に協会が定めたウェブの作成や運営に関する科目等が含まれると協会が認めたものに限る。
このように、1級を受検するためには最低でも1年以上の実務経験が必要なのです。
ウェブ関連の学校を卒業していない場合は、実務7年以上の経験がなければ受検できません。
ここで「実務経験って具体的に何?」という疑問が出てきます。
ウェブデザイン技能検定1級の受験資格が意味不明。
大学でウェブデザインに関わる人もいるし、最近なら高校生でもブログかなんかでweb屋みたいなことやってない?
そして、実務経験n年以上って、何で?
(就活もうすぐ終わるし、卒論だけだとつまらないから受けたいんだけど) pic.twitter.com/w5qQhlOXUf
— しゅ (@shu_w8) July 21, 2018
WEB系の初の国家資格、ウェブデザイン技能検定は取ってもいいかも、と思ってるんだけど、2級1級のチャレンジには実務経験必要なのよね。実務経験とは。私は入るのか入らんのか。入らん気がするなあ。3級だけ持っててもあれだし、そのためにWEB制作会社に入るのも違うしな。
— kaju (@kaju8) July 11, 2017
ウェブデザイン技能検定の受検資格である「実務経験の定義」は以下の通りです。
・ウェブサイトの開発、運用、管理に携わった方
・上記以外に、ウェブの更新、企画、保守に携わった方
・総務、企画、広報等の部署において、ウェブの運用、更新、企画等に携わった方
・ウェブサイトを含むイントラネット等の管理、運用等に携わった方
・個人等で目的を持って他者への情報発信のためにウェブサイトを作成し、継続した運用、更新、管理を行った方
・ウェブサイトを個人で作成し、企業等に導入、運用、管理等を行った方
・教育機関等において講師等の業務を行った方
※ これらの実務経験は、IT 関連企業に勤務しているかどうかは関係ありません。
個人の実務経験についてもう少し詳しく解釈するために、検定を主催している特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会に問い合わせてみたところ、
ECサイトやブログなどサイトの形式は問わず、個人で目的を持って、一般に向けた情報発信を受検資格の年数分継続することでも満たされるとのことでした。
また、実務経験については、企業に所属している場合は「所属企業、担当業務、経験年数」そして個人の場合は「運用しているサイト等」を協会側から確認されるそうです。
もし、申し込みの前に自分の経歴が受検資格をクリアしているか気になる方は、事前に協会に問い合わせてみましょう。
ご覧の通り、ウェブデザイン技能検定1級はそもそも受けるまでにクリアしなければならない条件が厳しく、その条件を満たしたうえで合格率が10%~20%となれば、難易度が高いと言われるのもうなずけます。
2008年度から2020年度までで、1級に見事合格し、日本で1級ウェブデザイン技能士を名乗ることができるのは、100人ほどしかいません。
これだけ難易度の高い検定ならば、正直受けることも躊躇してしまいますが、合格することができれば、それだけ自分の希少価値が上がるということではないでしょうか。
ウェブデザイン技能検定1級の過去問はどのようなもの?
かなり難しいとされているウェブデザイン技能検定1級ですが、この検定を実施している、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会のサイトでは過去問題を公表しています。
公開されているのは過去3回に限りますが、1級に必要とされる知識や技術は幅広いため、こちらをこなすだけでは十分でないかもしれません。
受検まで実務を積むなどの年数を必要としている方は、毎年更新される過去問題を練習用としてダウンロードし活用するのがおすすめです。
実際にウェブデザイン技能検定1級に合格した方が、令和元年度の過去問題を解いている様子の動画がありました。
※模範解答ではありません。
30倍速ですが、ざっとした流れを把握するときの参考にしてみてください。
ウェブデザイン技能検定1級は、その出題範囲の広さゆえか、どんなに勉強していても本番で知らない単語が出てくることがありますが、過去問をしっかりとこなしていればある程度出題の傾向がつかめるので、必ず練習しておきましょう。
ウェブデザイン技能検定1級の勉強方法
検定の王道の勉強法として、まず思い浮かぶのは参考書ですが、残念ながらウェブデザイン技能検定1級に対応した参考書はありません。
1級の勉強方法としては、主に3つ選択肢があります。
・仕事を通してスキルを身につける
・独学で勉強する
・スクールやセミナーに通う
こちらをおすすめの順に紹介していきます。
仕事を通してスキルを身につける
もし今就いている仕事でこなしている業務が、ウェブサイトの運営や管理などに関連するものならば、その仕事を通してスキルを身につけていくのがおすすめです。
ウェブデザイン技能検定1級の出題範囲はとても広く、偏った勉強では到底合格できません。単純にウェブサイトの作成だけでなく、運営管理、セキュリティ対策など幅広い知識と技術が必要です。
自力での勉強となると、疑問点を自分で調べる労力と手間がかかってしまい、手に入れた知識も古い情報の可能性があります。
仕事内容にもよりますが、実際に現場でウェブデザインに関わっていれば、日々アップデートされていく技術に常に触れることができますし、自分のやっている仕事を客観的に見て間違いを指摘してくれる人がそばにいます。
分からないことを、上司などのもっと詳しい人から教えてもらえるということもメリットになるでしょう。
スクールに通うと必ずお金がかかってきますが、仕事であればお金をもらいながら勉強できるわけです。会社にはウェブデザインに必要な有料ソフトも一式そろっているはずなので、コスパは最強ですね。
どちらにしろ1級の受検資格を満たすために、実務経験を積まなければなりません。その期間でただ業務をこなすだけでなく、自分の勉強時間だと思って有意義に過ごしましょう。
独学で勉強する
自力で調べて解決してきたことは、人に教えられるよりも自分の力になるため、独学での勉強を検討している方も多いと思います。
そもそも、今の仕事がウェブデザインの勉強に生かせない内容だとしたら、必然的に自分で勉強しなければなりません。
もちろんハードルは高いですが、ウェブデザイン技能検定1級は独学でも合格可能です。
独学だと、どこから手を付けていいか分からないかもしれませんが、1級の出題範囲はウェブデザイン技能検定の公式サイトに詳しく載っています。
勉強をするときに、出題範囲の内容を意識することは試験対策の基本です。
まずは過去問を解いていき、疑問点があれば出題範囲と照らし合わせながら、理解できるまでとことん調べましょう。
自分の苦手分野、まだ理解しきれていない項目が分かってきたら、その範囲に特化した参考書で対策をしたり、ネットで情報を集めてみたり。他にも、参考になりそうなウェブサイトを研究するなど、独学でできることはたくさんあります。
仕事やスクールでは勉強する場所や時間に縛られる上、自分が十分に理解しているところでも1から作業したり、教えられたりと、融通が利かないですよね。
独学の最大の利点は、自分のペースで勉強ができること。時間に縛られないというだけでなく、自分の理解していない部分をピックアップして勉強できるという特徴があります。
自分でスケジュール管理がしっかりできる人は、独学で挑戦してみてはいかがでしょうか。
スクールやセミナーに通う
最後に、スクールやセミナーに通うという方法。こちらが一番勉強方法として良いものかと思われますが、ウェブデザイン技能検定1級に関してはそうではありません。
ウェブデザイン未経験で、1から勉強したいという方にはスクールやセミナーもおすすめできますが、1級を目指す方はすでにウェブデザインに関するおおよその知識をお持ちのはずです。
スクールやセミナーでは数万円~お金がかかるうえに、自分の知っていることでも1から丁寧に教えられるため、おそらく無駄になってしまう部分が出てくるでしょう。
とはいえ、スクールやセミナーに行くことで、同じウェブデザインを学ぶ人との出会いがあり、情報交換できるという大きなメリットもあります。お金と時間に余裕があり、もう一度ウェブデザインの基礎も復習したいという人はスクールを検討してもいいかもしれません。
スクールやセミナーでおすすめできるのは、ストアカという「日本最大級のまなびのマーケット」と言われているサービス。
ストアカでは入会金などかからず、受講したい講座を1回から受けることが可能です。講師から提示してある日時の中から予約し、オンラインか対面で講座を受けられるので、ある程度時間と場所の融通が利きます。
私も1度講座を受講したことがありますが、自分の受けたい講座を都合のいい日時で受けることができました。
講師は個人でされている方が多く、連絡先等教えるのが怖いという方も心配ありません。
私は受講当日にトラブルで時間ギリギリになってしまい、講師に連絡を取ったのですが、ストアカを通してメッセージを送ることができました。基本的に連絡先などの個人情報を講師に教える必要がないので安心です。
IT関連の講座も豊富なので、自分の知りたい分野があればぜひ利用してみてください。
ウェブデザイン技能検定1級は、就職や転職で役立つ?
ウェブに関する様々な知識を習得できるウェブデザイン技能検定1級。取得したことで就職や転職に有利に働くとうれしいですよね。
ここまで難易度の高い資格を取得していれば、人事において優遇されるかと思いますが、必ずしもそうではありません。
ウェブ業界は、過去の学歴や経歴、取得資格などはあまり関係ない「実力主義」
たとえ高度な資格を持っていても、それが直接業務に影響するかは別問題なので、あくまでもその人が持っている能力やセンスのほうが重要とされます。
資格はあくまでも自分の持っているスキルの証明なので、「そのスキルを生かして何ができるか」を伝えることが大事です。
取得した資格と合わせて、具体的に自分の運営してきたサイトや、デザインのポートフォリオをしっかりと準備して就活に臨みましょう。
「1級ウェブデザイン技能士」の称号で信頼性UP
ウェブデザイン技能検定1級を取得することで、厚生労働大臣から合格証書が発行され、「1級ウェブデザイン技能士」を名乗ることができます。
この称号がある最大のメリットは、ウェブのスペシャリストであることが一目で分かること。
例えば、仕事を依頼する相手がみんな同レベルのウェブデザイナーだとして、「ウェブ関連に詳しいです」という人より「1級ウェブデザイン技能士です」という人のほうが、仕事を任せたくなると思います。
家を建てるときに多くの人は、2級建築士よりも1級建築士に依頼したいと思うはずです。もちろん2級建築士でも戸建て住宅を設計することが可能ですが、1級という肩書があるだけで、信頼度が違いますよね。
また、ウェブデザイン技能検定1級を取得するには、人に説明できるくらいウェブの構造を理解していなければならないので、人に教える立場としても厚い信頼を得ることができるでしょう。1級を取得していれば、指導者としての将来性も広げることができるのではないでしょうか。
試験概要
3級と2級は年に4回試験が行われますが、1級は学科と実技で1回ずつしかありません。受検を検討されている方は、受検資格を満たすタイミングを考慮し、余裕をもって準備しましょう。
ウェブデザイン技能検定1級の試験概要は以下の通りです。
概要 | 学科 | 実技 |
申し込み | 10月 | 12月下旬~1月中旬 |
検定日 | 11月 | 2月 |
会場 | 東京、大阪、福岡 | 東京、大阪 |
受検料 | 7,000円 | 25,000円 |
試験時間 | 学科90分 | 実技180分 ペーパー実技60分 |
合格基準 | 70点(100点満点) | 70点以上(100点満点)ただし、試験要項で示されている各作業分類で、60%以上の得点をとること |
合格発表 | 12月 | 3月 |
実技試験の合格基準に関して、各分野で60%以上の得点を取る必要があるということで、やはり偏った勉強で山を張ることは避けたほうがよさそうですね。出題範囲をまんべんなく勉強することを忘れないでください。
まとめ ウェブデザイン技能検定1級は難しいが努力次第で合格できる
これまで、ウェブデザイン技能検定1級の難易度や過去問、勉強方法、取得のメリットについて解説してきましたが、まとめると
・ウェブデザイン技能検定1級は、受検資格と合格率の観点からみて難易度が高い
・出題範囲や過去問が公開されているため、勉強に役立てることができる
・ウェブデザイン技能検定1級は、独学でも合格可能
・就活では重要視されないが、1級ウェブデザイン技能士を名乗ることで信頼性が高まる
ということになります。
ウェブ業界で資格が重要視されることはなくても、資格を持っていることで不利になることはまずありません。
ウェブデザイン技能検定1級を取得する過程で、ウェブに関連する知識や技術がより深まり、今後の仕事に必ず役立てることができます。何より、最上位資格を持っていることで自信が持てますよね。
企業に所属されている方も、個人でサイトを運営している方も、自分のスキルをより確実なものにするために、ぜひ受検を検討してみてください。