現在、教育機関では外部からサポートする人材を積極的に取り入れています。その一つが、学校心理士です。1997年より適用になった比較的新しい資格です。ですので、
・学校心理士は誰でも目指せるのか
・資格試験が難しそう
・職業として成り立つくらい稼げるのかな
など、分からないことが多いのではないでしょうか。そこで、ここでは学校心理士の資格取得に関する情報や実際に学校心理士として働く人の声を紹介していきます。
目次
学校心理士の資格を持つには?受験条件から詳しく解説!
いくら資格が欲しいと言っても、条件を満たしていなければ、勉強した時間が無駄になってしまいますよね。
実際、学校心理士の資格を取得するには、認定審査を受けなければいけません。その条件、受験料、手順などを紹介します。
受験の条件
試験を受ける代表的な条件には、
・大学院で心理学関係の単位を修得していること
・教師など、学校心理学関係の勤務経験がある人
などが挙げられます。その他、公認心理士の資格を持つ人も受験できるなど細かく条件が決められているため、確認してみてください。
※条件の詳細※
・大学院で学校心理学関係の科目の単位を修得し、修士課程・専門職学位課程を修了し、学校心理学に関する専門的実務経験を1年以上有する方 (公認心理師関連の大学院の方は、多くの科目を学校心理士関係の科目に読みかえることができます)
※「学校心理士補」の資格申請は,2017年度をもって廃止となりました・教職大学院で指定の5領域について指定の単位を修得し,修士課程を修了し,学校心理学に関する専門的実務経験を1年以上有する方
・4年制大学卒業で学校心理学に関する専門的実務経験を5年以上有する方(学校職員・相談機関の専門職従事者)
・大学または大学院で授業を2年以上担当し、学校心理学の8領域に関する研究業績を5編以上有する方
・公認心理師資格を有する方(学校心理士認定運営機構が開催する講習会に参加することが必要です)
・学校の管理職または教育行政職として、心理教育的援助サービスに関する指導的な役割を3年以上有する方
(申請時において、その職を辞してから5年を経過した方は除きます)
受験料
学校心理士の受験料は33,000円(消費税込)となっています。また、合格後にかかる料金もあるので参考にしてみてください。
合格後にかかる料金 | 金額 |
登録料 | 20,000円 |
日本学校心理学会会費(5年分) | 30,000円 |
合計 | 50,000円 |
学校心理士資格の期限が5年間となっているため、合格後に学会会費を5年分まとめて納入することになっています。
※5年後以降は、更新となりますが、その際は、書類申請のみで良いようです。しかし、技術を磨くために日頃から研修会へ参加する必要があり、これがなければ更新手続きができない場合もあるので注意してください。
また、学校心理士認定運営機構では受験のためのテキスト等を販売しています。その中の「手引き」には、受験の申請書が入っているので必ず購入するようにしましょう。
販売しているもの 金額 手引き及び申請書 ※購入必須 3,300円 学校心理学ガイドブック(第4版) 2,200円 過去問題集(2020年・2021年度版) 1,100円 合計 6,600円
セットで購入すると割引になるので、気になる方は公式HPも見てみてください。
受験の手順
学校心理士の試験では、
・受験の申請をする
・筆記試験や面接を受ける
・ケースレポートを提出する
という手順を踏むことになります。
それぞれ解説していきます。
申請する
学校心理士の試験を受けるためには、まず申請をする必要があります。受験年度の手引きを購入し、付属の申請書を記入後、郵送で提出します。
※申請書は一部ダウンロードし作成することもできますが、全ての項目が揃っているわけではないので、ご注意ください。
試験を受ける
申請後、指定された日時に試験を受けます。その内容は、申請時の類型によって異なるので注意しましょう。
申請の類型・受験内容
種類/類型 学校心理学大学院 公認心理士大学院
(見込み含む)
教職大学院 (見込み含む)
学校教員
相談機関専門職
大学教員 学校管理職 公認心理士 海外資格 試験Ⅰ (論述式)
○ ○ ○ ○ 試験Ⅱ (多肢選択式)
○ 試験Ⅲ (面接)
○ 試験Ⅳ (講習会後)
○
ケースレポートを提出する
ケースレポートとは、学校心理士の上位資格となるスーパーバイザーから指導されたケースを学校心理学の観点から書いたものになります。申請時の直近5年以内のもののみ受け付けられ、このケースレポートの提出をもって試験は終了します。
資格試験って難しい?学校心理士になる難易度について
学校心理士の資格試験について、公式での合格率発表はされていませんが、合格率は60%くらいと言われています。
試験の内容は、下記のようになっています。
・論述式:試験時間は2時間。必須問題と選択問題を、それぞれ1200字以内で解答する。(1200字×2問=2400字)
・多肢選択式:5択式の選択問題。
この難易度で合格率60%なので、標準的な試験と言えるでしょう。
また、大学院へ行かなくても良いという点では、学校心理士の方が臨床心理士(大学院修了が必須)と比べて目指しやすいと思います。
どのくらいの給料がもらえるの?学校心理士の給料は高い?低い?
学校心理士は資格を取得した場合、准スクールカウンセラーとして働くことが可能となります。そこでここでは、「准スクールカウンセラーとして任用されたときの給料」を紹介していきます。
まず、ほとんどのスクールカウンセラーは非常勤で、時給が4,000~5,000円ほどとなっています。そして、学校心理士は准スクールカウンセラーなので、少し下がり時給3,000円前後が多いようです。
そうなんです。時給は臨床心理士、公認心理師だと5500円、その他は準の位置付けで3000円です。学校心理士、発達臨床心理士資格や退職教員や校長(資格なしでも可)は後者です。
ちなみにスクールソーシャルワーカーも社会福祉士や精神保健福祉士なしの退職校長や教員も。— まはろ(小学校初任者1年担任) (@mahalosho) March 1, 2020
学校心理士の勤務時間は、1校につき週1日・5~6時間となっていて、数校を掛け持ちしていることが多いです。
月収例:3校掛け持ちの場合(各校週1日、6時間勤務)
3,000円(時給)×6時間×3校×1か月(4週間)=216,000円
パッと見て結構稼げると思いがちですが、これはあくまでも一例です。勤務時間が仮に5時間に減ったとしたら、月収は180,000円となり36,000円の減収となります。
非常勤という勤務形態のため、安定した収入が得にくい学校心理士の給料は、必ずしも高いとは言い切れないのが現状です。年収は、非常勤カウンセラーで約180~230万円ほどとなっています。
学校心理士って実際どうなの?仕事の感想が知りたい!
実際に学校心理士として働いている人に話を聞いてみたいですよね。ここでは、学校心理士の生の声を紹介します。
子どもの問題を解決するためには、学校や家族と話し合い、コミュニケーションをしっかりとることが大切だということを実感しています。(Aさん)
子どものサポートは、学校がチームとなって行うことが大切です。自分だけで頑張るのではなく、周囲の協力を積極的に呼びかけられるコミュニケーション力が必要だと思います。(Bさん)
実際の感想を見てみると、学校心理士にはコミュニケーション力が不可欠だということが分かりますね。人と密接に関わる仕事なので、コミュニケーション力は外せないですよね。
また、給料の低さが課題となっている様子もうかがえます。
https://twitter.com/wanchoo3/status/1101397759247114243?s=20
このように収入について不安を抱いている人が多いのが、現状です。
まとめ
ここまで、学校心理士になるための試験内容や、その難易度、給料について説明してきました。
・大卒でも学校心理学関係の勤務実績があれば受験できる
・試験は、難しすぎるというほどではない
・学校心理士の資格のみで生計を立てるのは厳しいことが多い
ということが分かりました。学校心理士は、誰かのためになれる資格です。働き方が不安定ではありますが、活躍できる場が必ずあるので、興味のある人は是非チャレンジしてみましょう。