IT化がますます進んでいく現代で、基本情報技術者試験は今もっとも注目されている試験の一つと言えるでしょう。
この試験は情報処理の基礎となる試験で、受験者数は毎年10万人を超えています。
そんな基本情報技術者試験について、気になっている人はたくさんいると思います。
「どれくらい難しい試験なんだろう?」
「合格率はどれくらい?」
「どうやって勉強したら良いの?」
などの疑問も出てくるでしょう。
そこでこの記事では、基本情報技術者試験の以下の内容について詳しく解説していきます。
・どのような試験なのか
・難易度や合格率はどれくらいなのか
・合格するための勉強方法
この記事を読めば、基本情報技術者試験合格のイメージができると思うので、ぜひ参考にしてください。
目次
基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験の区分のひとつで、経済産業大臣が行う国家試験となっています。
1970年~2000年までは第二種情報処理技術者試験として実施されており、その後基本情報技術者試験と改称し、出題範囲や形式を変更しています。
対象者はどんな人?
対象者像としては、このような記載があります。
高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者
引用:IPA 情報処理推進機構
プログラマーやシステムエンジニアなど、IT関連の職種に従事している人や、これからそれらを目指す人が対象となっています。
情報処理技術者試験は、情報処理についての基礎を身に付けるための、登竜門的な試験と言われています。
大手のIT企業などでは、この試験に合格することが必要最低限の条件としているところもあるほどです。
この試験の認知度は高く、受験者は毎年10万人を超え、情報処理技術者試験の試験区分の中でもっとも多い数となっています。
試験概要
この試験の出題範囲は、コンピュータ科学基礎、コンピュータシステム、開発と運用、ネットワーク技術、データベース技術、セキュリティ、プログラミングなど多岐に渡ります。
情報技術だけはなく、マネジメントやストラテジなどの経営に関する知識も必要となり、情報処理に関する総合力を問う試験となっています。
試験は午前試験と午後試験に分かれています。
試験時間 | 出題数/回答数 | 出題形式 | |
午前試験 | 150分 | 80問/80問 | 多肢選択式
(四肢択一) |
午後試験 | 150分 | 11問/5問 | 多肢選択式
(選択問題あり) |
新型コロナの影響による試験形式の変更について
もともと年に2回(春期・秋期)に実施されている試験ですが、2020年度の試験は新型コロナの影響で春期は中止・秋期は延期となっています。
基本情報技術者試験、他が延期決定!
新型コロナの影響が落ち着かない中、仕方がないことですが、勉強をがんばってきた人には無念。
試験の制度、システム化などの見直しが必要ですね。 https://t.co/wK942cHdRR— まさひら@アイシス代表取締役【システム業界をよくする】 (@masahiraGo) September 19, 2020
毎年多くの人が受験する試験なので、新型コロナ対策を考慮し、2021年から試験形式を変更して実施されることになりました。
もともとは紙で実施していた試験でしたが、CBT( Computer Based Test )方式に移行となります。
ポイント
・コンピュータ上で試験問題が表示され、解答する形式
・出題範囲と問題数などの変更はなし
・2020年度の延期になった試験は、2021年1~3月に複数回開催
・2021年度以降もCBT方式を継続
CBT試験の申し込みや会場運営を行うプロメトリック社で、試験についての詳細や予約などについてと、受験の流れや会場のイメージ、出題のサンプル画像などを公開しています。
ご参照下さい。
基本情報技術者試験の難易度
基本情報技術者試験は、スキルレベルが1~4まで設定されている情報処理技術者試験制度の中で、スキルレベル2に相当します。
偏差値にすると49相当で、難易度は比較的簡単とも言われています。
とはいえ、スキルレベル1相当のITパスポート試験と比較してみると、ITパスポート試験はITを活用する一般利用者向けの試験なのに対して、基本情報技術者試験はプロフェッショナル向けの専門知識が問われる試験となっています。
なのでスキルレベルは一段階しか違いませんが、基本情報技術者試験のほうが難易度は格段に高いと言えるでしょう。
合格率は?
基本情報技術者試験の合格率は、おおよそ20~30%です。
開催会によって難易度のばらつきがあり、低い時で22%、高い時で30%越えとなっていますが、平均で25%程度となっています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2009年春期 | 65,407人 | 17,685人 | 27.4% |
2009年秋期 | 79,829人 | 28,270人 | 35.4% |
2010年春期 | 65,407人 | 14,489人 | 22.2% |
2010年秋期 | 73,242人 | 17,129人 | 23.4% |
2011年春期 | 58,993人 | 14,579人 | 24.7% |
2011年秋期 | 59,505人 | 15,569人 | 26.2% |
2012年春期 | 52,582人 | 12,437人 | 23.7% |
2012年秋期 | 58,905人 | 15,987人 | 27.1% |
2013年春期 | 46,416人 | 10,674人 | 23.0% |
2013年秋期 | 55,426人 | 12,274人 | 22.1% |
2014年春期 | 46,005人 | 11,003人 | 23.9% |
2014年秋期 | 54,874人 | 12,950人 | 23.6% |
2015年春期 | 46,874人 | 12,174人 | 26.0% |
2015年秋期 | 54,347人 | 13,935人 | 25.6% |
2016年春期 | 44,184人 | 13,418人 | 30.4% |
2016年秋期 | 55,815人 | 13,173人 | 23.6% |
2017年春期 | 48,875人 | 10,975人 | 22.5% |
2017年秋期 | 56,377人 | 12,313人 | 21.8% |
2018年春期 | 51,377人 | 14,829人 | 28.9% |
2018年秋期 | 60,004人 | 13,723人 | 22.9% |
2019年春期 | 54,686人 | 12,155人 | 22.2% |
2019年秋期 | 66,870人 | 19,069人 | 28.5% |
ITパスポート試験の合格率は50%以上なので、やはりしっかり学習して試験に挑む必要があることが合格率からも分かります。
未経験者でも合格できる?
IPAの統計によると、受験者の平均年齢は25歳と若く、受験者の約30%が学生で、約35%が実務経験1~4年未満の新人や若手社員となっています。
この結果より、基本情報技術者試験は、実務経験が浅い、もしくは未経験の人が受験者の6割以上を占めているということになります。
基本情報技術者試験は、社会人より学生の方が合格率が若干高いというデータもあり、実務経験がなくともしっかり学習することで合格可能な試験となっています。
この資格を取得することで、就職活動に有利になるだけでなく、実際働くようになってからもIT業界の中で飛び交う専門用語に付いていくことがでるようになるので、未経験者も合格を目指してぜひ挑戦してみましょう。
基本情報技術者試験に合格するための勉強方法
実務経験のない学生でも十分合格を目指せる試験ではありますが、一般の高校の情報科目の授業だけでは合格するのは難しいと言えるでしょう。
基本情報技術者試験の試験内容は、それほど難解で複雑すぎるということはないものの、試験範囲はかなり広いため、もし全くITの知識がない状態から始めた人であれば、かなりの勉強量が必要になってくるのです。
実務経験もなく、専門的な学校に通っている訳ではない場合は、基本情報技術者試験のための参考書などを使って対策する必要があります。
ここでは試験勉強に掛ける時間の目安や、どのように試験勉強をしていったら良いのかなど、おすすめの参考書とともに解説していきます。
勉強時間の目安
前述の通り、もともとITの知識がどれだけあるかによって、試験勉強にかける時間は変わってきます。
ITに関する知識がほとんどない場合、試験に合格するためには約200時間の勉強時間が必要と言われています。
情報処理についての基本を問われる試験なので、覚えなくてはいけないことがたくさんあり、その分時間もかかります。
実務経験者や、情報系の専門の学生などの場合は、合格するために必要な勉強時間は約50時間程度となります。
経験量によっては、あえて試験勉強に時間をかけなくても合格できる人もいるでしょう。
能力には個人差もあるので、この数字はあくまで目安の時間になりますが、自分の状態と照らし合わせて参考にしてみて下さい。
試験勉強のポイント
基本情報技術者試験の出題範囲は広く、全てをしっかり理解するまで勉強するというのは相当な時間と労力が必要です。
効率よく試験勉強ができるようにポイントを押さえておきましょう。
試験勉強のポイント
・参考書を読むことに時間をかけすぎない
・過去問を中心に勉強を進める
・実際の試験を想定してシミュレーションしておく
参考書を読むことに時間をかけすぎない
前述してきている通り、基本情報技術者試験の出題範囲はかなり広いです。
それを細かいところまで理解しようとすると膨大な時間がかかってしまいます。
なので参考書を読むときは、途中でよく分からないと思うことがあったとしても、一通りざっくり目を通す程度にしてみましょう。
もちろん、試験勉強にたっぷり時間をかけられるという場合は、じっくり読むに越したことはありません。
しかし、そうでなければ、試験を受けるまでに勉強が終わらないということにもなりかねません。
参考書に一通り目を通すだけでも、なんとなくの知識は身に付けられます。
その後、過去問を解くという、次のステップに進みます。
過去問を中心に勉強を進める
参考書に一通り目を通した後は、自分がどれだけ理解できているかを知るためにも、過去問を解いていってみましょう。
過去問を繰り返し解くだけでも、徐々に知識は身に付いていきます。
自分の苦手分野が分かったら、もう一度参考書などで、その部分を中心に勉強をして理解を深めるようにしていきましょう。
過去問は下記のサイトで公開されているので、参考にしてみて下さい。
実際の試験を想定してシミュレーションしておく
しっかり試験勉強をしたとしても、いざ試験本番となると、緊張もあり十分な力を発揮できないこともあるでしょう。
少しでも平常心で試験を受けることができるように、試験本番を想定したシミュレーションをしておくことが大切です。
特に、2021年からは、前述した通り新型コロナの影響を受けて紙ベースの試験からCBT方式に変更となっています。
紙ベースの試験のように、問題用紙に直接メモをしたり、選択肢に丸やバツを付けたりといったことができなくなります。
手元にメモ用紙を置き、どのように問題を解いていくか、自分なりのルールを作っておきましょう。
出題画面がどのようになっているか、CBTの操作方法などについても、事前に確認しておきましょう。
おすすめの参考書籍
基本情報技術者試験合格に向けて、試験勉強をする際におすすめの参考書籍をいくつかご紹介します。
引用:Amazon
キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者 令和03年
出版社:技術評論社
価格:2,310円(税込)
多くのイラストを使って分かりやすく解説されています。
IT初心者向けの一冊となっています。
引用:Amazon
令和03年 イメージ&クレバー方式でよくわかる栢木先生の基本情報技術者教室
出版社:技術評論社
価格:1,848円(税込)
参考書と問題集が一緒になったオールインワンタイプの一冊です。
最新の傾向を分析して、出題頻度の高い分野を中心に、イラストや図解を使って分かりやすく解説されています。
引用:Amazon
かんたん合格 基本情報技術者教科書 令和2年度
出版社:インプレス
価格:1,408円(税込)
先に紹介した二つも初心者向けではありますが、それでも分かりにくいという、ITになじみのない人でも読みやすい参考書になっています。
専門用語が中心にならないように、誰でも分かるような言葉で解説しているので、挫折することなく勉強を進められます。
また、広い出題範囲の中でも、この試験に合格できる必要最低限の項目に絞って解説されているので、勉強時間が足りない人におすすめの一冊です。
引用:Amazon
うかる!福嶋先生の集中ゼミ 基本情報技術者[午後・アルゴリズム編] 2021年版
出版社:日本経済新聞出版
価格:1,980円(税込)
午後問題対策として、アルゴリズム分野の学習が重要となります。
IT初心者にとってはハードルが高いアルゴリズム分野ですが、この本では先生と学生が対話する形式でやさしく解説されていて、取り組みやすい一冊となっています。
まとめ
基本情報技術者試験の難易度や勉強方法について解説してきました。
・基本情報技術者試験は日本の国家試験で、IT業界の登竜門ともいえる試験
・情報処理技術者試験制度の中でスキルレベル2相当、比較的簡単な難易度とされている
・合格率は20~30%程度
・試験勉強のポイントは、参考書を読むのに時間をかけすぎず、過去問を中心に勉強する
毎回多くの人が挑戦している基本情報技術者試験ですが、これからIT関連の仕事を目指す人はぜひ取得しておきたい資格ですよね。
この試験を気になっていた人や、今後合格を目指して勉強していこうと考えていた人にとって、この記事が参考になれば幸いです。