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エンベデッドシステムスペシャリストとは?試験の難易度や年収は?

資格取ろうか悩んでる人
なんだか聞き慣れない名前ですが、エンベデッドシステムスペシャリストとはどのような試験なのでしょうか?
IT系試験の一つで、家電などの製品に組み込むコンピューターシステムの専門家としての能力を認定する試験です。
資格の専門家

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は専門性の高さゆえに知名度が低く、不明な点も多いのではないでしょうか。

 

しかし近年、技術が急速に進歩している業界ですので、有資格者であれば様々な面で有利になっていくと考えられます。

 

今回はそんなエンベデッドシステムスペシャリストについて、以下のような内容で解説します。

・どのような試験なのか

・試験の難易度

・気になる年収について

 

エンベデッドシステムスペシャリスト試験についてしっかりとわかる内容となっていますので、ぜひこの記事を参考になさってください。

 

エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは?

エンベデッドシステムスペシャリスト(ES)は、システムエンジニアの一種であるエンベデッドシステムの知識やスキルが一定水準以上であることを認定する国家試験です。

 

エンベデッドシステムは一般的に組み込みシステムと言われ、職業としては組み込みエンジニアと呼ばれています。

そもそもエンベデッドシステム、組み込みシステムとは?

エンベデッドシステムとは、家電や自動車、航空機、医療用機器などの様々な製品に組み込まれたコンピューターシステムのことです。

英語でembedded systemsと表記し、日本語では組み込みシステムといいます。

 

本体だけでは動かない機械・機器に、システムを組み込むことによって動作や制御を行います。

 

ただしコンピューターシステムといっても、パソコンのようにソフトウェアを追加したり入れ替えたりすることで用途を変更できるものではなく、機器が決められた動きをするためのシステムです。

エンベッドシステムスペシャリストの仕事内容

エンベッドシステムスペシャリストが組み込みエンジニアとして行う仕事は主に、先ほど触れたような電子機器の制御をするためのコンピューターシステムの開発ですが、実際の業務として次のようなものがあります。

・製品企画

・システム設計

・ハードウェア/ソフトウェア設計

・プログラミング

・システムのテスト

・システム納品

・セキュリティー保守

・トラブル対応などのアフターサポート

 

一般的にはこれらの工程を一人ではなく、チームで行います。

エンベデッドシステムスペシャリストは他のメンバーを指導しながら開発を主導します。

エンベデッドシステムスペシャリストに求められる能力とは?

求められる能力には、技術スキルとヒューマンスキルの2つがあり、「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」はこれらの能力が一定水準以上であることを認定する試験です。

 

技術スキルとしては、組み込みシステムに関わる広範囲かつ高度な専門知識と発想力が求められます。既存の組み込みシステムだけでなく、IoTに関するスキルも必要です。

 

試験の主催団体によると以下のように幅広い知識が必要であることがわかります。

スマート家電、自動運転などあらゆるモノがつながるIoTが進展する中で、ハードウェアとソフトウェアを適切に組み合わせて組込みシステムを構築し、求められる機能・性能・品質・セキュリティなどを実現する組込みエンジニアやIoT系エンジニアを目指す方に最適です。

引用:IPA独立行政法人情報処理推進機構

 

ヒューマンスキルとしては、組み込みシステムの設計から製造までを主体的におこない、複数のエンジニアを束ねるリーダーとして、プロジェクトチームを指導、管理する能力が求められます。

 

具体的には全体的なスケジュール管理やクライアントへの説明など、プロジェクトを成功に導くための能力です。

試験概要

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は2019年度までは毎年春季4月に行われていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年度から秋季10月に変更になりました。

試験実施時期 秋季10月第3日曜日
願書申込受付期間 例年7月中旬〜8月中旬
受験料 5,700円 (税込)
受験資格 なし
受験地 全国主要都市
受験申込・問合せ 情報処理技術者試験センター TEL 03-5978-7600
ホームページ IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 情報処理技術者試験

https://www.jitec.ipa.go.jp/

 

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度は?

エンべデットシステムスペシャリストは、IT系国家資格の最高峰と位置付けられており、情報処理技術者試験の中では最高のスキルレベル4に相当する高度情報処理技術者試験の一つとなっています。

合格率は高い?低い?

合格率は平均で17%ほどと低く、難易度の高い試験になっています。

過去5年間の合格率に関する推移は下記の通りです。

年度 応募者数 受験者数 合格者数 合格率
2016年度春期 4,205人 3,148人 543人 17.2%
2017年度春期 4,590人 3,394人 607人 17.9%
2018年度春期 4,646人 3,461人 616人 17.8%
2019年度春期 4,858人 3,653人 585人 16.0%
2020年度10月 2,504人 1,962人 321人 16.4%

また、メインの受験者層はIT企業などで経験を積んでいるエンジニアなどが多く、受験者の全体的なレベルは高くなっています。

難易度が高い理由は?

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度が高い要因は、出題内容の専門性が高く、出題形式が幅広いためです。

 

試験内容は下記の通りです。午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4つに分かれており、全ての試験を1日で受ける必要があります。

なお、合格基準は各試験100点満点中60点です。

試験 試験時間 出題形式 出題数 出題範囲
午前Ⅰ 9:30-10:20(50分) 四肢択一式 30問 テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系
午前Ⅱ 10:50-11:30(40分) 四肢択一式 25問 コンピュータ構成要素・システム構成要素・ソフトウェア・ハードウェア・ネットワーク・セキュリティ・システム開発技術・ソフトウェア開発管理技術・ビジネスインダストリ
午後Ⅰ 12:30-14:00(90分) 記述式 3問から2問選択 組み込みシステムの(1.設計・構築 2.ソフトウェア設計 3.ハードウェア設計 4.保守)
午後Ⅱ 14:30-16:30(120分) 記述式 2問から1問選択

このように試験の種類が多く、各試験で出題方法も異なるため難易度を高いと考えられます。

 

それぞれの項目で必要な知識やスキルの一部をご紹介します。

・IoT

・AI

・ビッグデータ

・OS

・知的財産権などの法律

また、ここ数年で出題されたシステムの一部は下記の通りです。

・ドローン

・自動運転

・スマート工場

・駐輪場監視システム

資格取ろうか悩んでる人
とても幅広い知識が必要になるんですね

その分、試験勉強をすることによってたくさんの知識を得られるということですね。
資格の専門家

なお、下記は2020年秋季試験を受験された方の体験です。

2020年よりシラバスが変更されていますので、勉強を始められる方はご注意ください。

 

エンベデッドシステムスペシャリストの年収は?

エンベデッドシステムスペシャリストの年収は、業務の専門性の高さや生活に直結するシステムの開発を行うことから、一般的な会社員の年収より高くなっています

ただしスキルや経験、企業、フリーランス、自身の利用できるプログラミング言語によって異なります。

正社員として働く場合の平均年収

求人情報・転職サイトdodaによると、正社員として働く場合の年代別平均年収は下記の通りです。

年代 平均年収
20代 391万円
30代 527万円
40代 660万円
50代 718万円

各年代ともに一般的な会社員の年収よりやや高めの平均年収と考えられます。

 

なお、50代になるとキャリアアップし、エンジニアではなくプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーといった役職につく人が多く、さらに年収が上がる傾向があります。

 

また、2017年経済産業省のデータによると、組み込みエンジニアの平均年収は603.9万円とされています。

 

これは国税庁の「2019年分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均年収は436万円となっており、組み込みエンジニアは日本人の平均年収を大きく上回っていることがわかります。

フリーランスとして働くの場合の平均年収

組み込みエンジニアの正社員として数年実務経験を積んだあと、独立してフリーランスとして働く方法もあります。

フリーランススタートの調査によると、フリーランスの組み込みエンジニアの単価相場は月額50〜65万円(単純計算で年収600〜780万円)となっています。

業務委託や派遣などプロジェクト単位で働くフリーエンジニアは様々な現場で求められており、フリーエンジニアへの業務委託の求人を紹介するエージェントも増加しています。

 

エンベデッドシステムエンジニア(組み込みエンジニア)の将来性は?

ITエンジニアのなかでも組み込みエンジニアは非常にニーズが高く、将来性がある職種です。

 

現在、家電やデジタルデバイス、自動車や医療機器などあらゆる分野で組み込み・制御システムが必要とされています。

 

また、IoTを利用したスマート家電や産業用機械でのデータ収集なども増加しており、人工知能やビッグデータなどの先端技術領域でも組み込み技術は求められています。

 

具体的な数字を見ると、2018年12月には国内大手人材会社『リクルートキャリア』による調査で、組み込み・制御エンジニアの求人倍率は4.0倍と発表されています。

 

その後、新型コロナウィルス感染症の影響によって他の業種やITエンジニア全体の求人数は落ち込んでいますが、組み込みエンジニアでは変動があまり見られません。

 

下記のグラフはエンジニア採用動向を発信している『type』による求人掲載件数です。

2020年2月4日〜2月10日の求人件数を「1」とした場合の比較でも、一旦は落ち込みましたが約1ヶ月ほどで回復し、6月には1.33倍まで上昇していることがわかります。引用:type

このように組み込みエンジニアの求人はコロナ禍においても安定しており、これからも増加する見込みです。

人材が不足している業界のため、転職したばかりでも重宝されるようです。

https://twitter.com/ienaga045/status/1356813724535844866

 

エンベデッドシステムスペシャリストを受験するメリット

エンベデッドシステムスペシャリストの試験に合格すると、たくさんのメリットがあります。下記はその一例です。

転職やフリーランスとしての活動が有利になる

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は難易度が高く、合格すると組み込みエンジニアとして転職やフリーランスでの仕事取得の際に企業から良い評価を得られます。

 

理由としては高度な知識とスキルが備わっているとみなされるため、即戦力や指導力を期待されるためです。

仕事の質が上がる

資格の取得は仕事の質を上げることにもつながります。

もともとエンジニアとして活躍している人も、試験勉強を通じて知識がふえ、ハードウェアを意識した開発の幅が広がります。

 

また、IoTやAIなど先端技術領域の開発にはハードウェアの知識が不可欠のため、現在ソフトウェアの開発をしている人も今後はハードウェアの知識も必要になる可能性があります。

国家試験などの一部が免除される

エンベデッドシステムスペシャリストの試験に合格すると、以下の試験の一部が免除されます。

試験 免除対象
中小企業診断士試験 第一次試験科目の一部
弁理士試験 論文式筆記試験選択科目 理工V(情報)
技術士試験 第一次試験の専門科目(情報工学部門)
ITコーディネータ(ITC) 試験が一部免除される専門スキル特別認定試験受験資格

このように多くの試験で免除が受けられ、他の資格を取得する際に負担が軽減されます。

 

まとめ

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の概要、難易度、年収について解説してきました。

・エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは家電などの組み込みシステムの専門家を認定する国家試験

・試験の合格率は17%前後、IT系国家試験の最高峰と位置付けられるように難関である

・平均年収は609.3万円と一般的な会社員より高い

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は難関ではありますが、合格するとスキルや知識の証明となり、多くの分野で活躍できる人材になれるでしょう。

また、エンベデッドシステムは今後もさらなる需要が見込まれる点が魅力的です。

 

この記事がこれからエンベデッドシステムスペシャリスト受験を考える方にとって、お役に立てれば幸いです。

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