キャリアップに繋がり、就職や転職にも有利に働いて、ゆくゆくは独立開業できるかもしれないそんな万能な資格「中小企業診断士」。経営コンサルタントとして唯一認められている国家資格であるということからも非常に有名で人気の高い資格です。
しかし、人気資格の割に保有者が少ないことから、
「そもそも中小企業診断士って何?」
という疑問を持たれている方も多いと思います。
また、資格取得を検討するに当たって、
「難易度はどれくらいなのだろう?」
「独学で合格を目指せるのだろうか?」
ということが気になっている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、
- 中小企業診断士とは?
- 中小企業診断士の難易度は?
- 中小企業診断士は独学で合格できる?
ということについて詳しく説明していきます。
中小企業診断士とは?
中小企業診断士とは、主に中小企業を対象に経営方針についてアドバイスを行う「経営コンサルタント」の国家資格です。
中小企業診断士は企業を様々な視点から分析し、経営課題を洗い出します。その後、課題を基にその企業が成長していくための提案やアドバイスを行います。
中小企業診断士の資格を取得すると、企業の経営について詳しくなるだけでなく、広い視野を持った解決策を見つけ出す能力を身に付けることができます。
厳しい経済状態が続く今、経営についての知識だけでなく解決策を導き出せる人材は重宝される存在となるでしょう。

経営のスペシャリストとして国に認められた存在ということね。でも中小企業でしか活躍することはできないの?
確かに中小企業診断士という名前から、中小企業でしか働けないと思いがちですがそんなことはないのです。具体的にどのような分野で活躍できるのか見てみましょうか。

中小企業診断士はどんな場所で仕事ができる?
全国の企業の約90%が中小企業と言われている今、中小企業診断士の需要は非常に高いものと思われます。
しかし、中小企業診断士の資格を持った人材を必要としている場所は中小企業だけではありません。様々な分野で活躍することができます。
例えば、
- コンサルティング会社
- 税理士事務所、社労士事務所など
- 中小企業支援を行う行政機関
- 一般企業の総務部門、管理部門
などが挙げられます。
経営コンサルタントとして独立開業することはもちろん可能ですが、中小企業診断士は経営に関する様々な知識を有しているため幅広い場所で仕事をすることができます。
各士業事務所では企業のお金や人、物や情報などを動かす手伝いを専門家がします。その際に経営についての知識があれば、お金だけ、人だけといった一つの視点からだけではなく、広い視点から適切な助言をすることができ信頼を得ることができます。
また経済産業局を始めとする、地方自治体や商工会議所などでは中小企業支援施策を講じています。中小企業を支援する各行政機関では、例えば、経営相談や資金調達のサポートなどを行っています。中小企業診断士の知識があれば、具体的なアドバイスや提案をすることができるようになり、経営者の力になることができます。
一般企業においても中小企業診断士の資格があれば、経営目線で人事や予算などを動かす判断をすることができます。総務部門や管理部門などにおいて重要なポジションでの仕事を任せられるようになるのではないでしょうか。


中小企業診断士の試験概要
中小企業診断士は一次試験と二次試験に分かれており、それぞれ出題形式なども異なっています。試験の概要を一覧表にまとめましたので見ていきましょう。
試験区分 | 一次試験 | 二次試験 |
試験日 | 7月 | 10月 |
試験時間 | 2日間に渡る | 1日 |
試験場所 | 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇 | 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡 |
受験料 | 13,000円 | 17,200円 |
受験資格 | なし | 第一次試験合格者 |
出題方式 | 多肢選択式 | 筆記・口述 |
詳しい試験日程などについては一般財団法人中小企業診断協会のホームページで確認してください。
チャンスは年1回だけとなっていますので、受験する際には十分な準備をして試験に臨むようにしましょう。
中小企業診断士の難易度は?
中小企業診断士は難易度の高い試験であると言えます。
それは過去の合格率から見ても明らかになっています。一般財団法人中小企業診断協会が発表している過去5年間の合格率を見てみましょう。
第一次試験 | 第二次試験 | |
令和元年度 | 30.2% | 18.3% |
平成30年度 | 23.5% | 18.8% |
平成29年度 | 21.1% | 19.4% |
平成28年度 | 17.7% | 19.2% |
平成27年度 | 26.0% | 19.1% |
一次試験の合格率は毎年約20%前後となっており、足切りされる確率も高くなっています。
しかし、試験は問題のうち約60%を得点することが合格できるので満点を狙う必要はありません。ただ、試験科目は7科目あり、全部の科目をまんべんなく理解しておく必要があり相当な努力を要します。
また、試験は2日間に渡り行われるため集中力を持続させる力も必要になってきます。
二次試験では、筆記試験と口述試験が行われますが、口述試験の合格率は約99%となっているので筆記試験さえ通ればほぼ合格できるでしょう。ただ、筆記試験は多肢選択式問題と違い、企業事例に対して解決策を提案するという確実な知識が必要となる問題ため正答するのは容易ではありません。
中小企業診断士では一発合格できる人がなんと約4%としかいません。数年に渡り、何度か試験を受けて傾向を掴んだ上で合格する人がほとんどです。このことから見ても、難易度は非常に高い試験と言えるでしょう。
しかし、合格者が少ない試験であることからこそ、資格保有者となった場合には色々な企業で重宝される存在となります。努力するだけの価値がある試験なのです。
中小企業診断士は独学で合格できる?


中小企業診断士の資格は、仕事や学校などの本業を持ちながら目指す人が多くいると思います。そのため、お金も時間もあまりかけたくないという考えを持つのではないでしょうか。
しかし、中小企業診断士を独学で目指すのは難しい試験である言えます。
なぜなら、出題されるのは暗記問題だけではなく記述式問題もあるため、参考書などの模範解答を見ただけでははっきりとした対策を立てることができないためです。
一次試験の出題形式は多肢選択式となっていますが、7科目にも及ぶ範囲が出題されるため、どのポイントに重点を絞り勉強していけばいいのかが独学では判断し辛いということもあります。
働きながら目指す場合、1日の勉強時間は2〜3時間程しかかけられないということがほとんどだと思います。そのため効率的に勉強するためには、参考書やテキストの中から要点を絞り勉強する必要があります。
予備校などであれば、過去の出題データなどから出る確率の高いところを優先的に教えてもらうことができます。
また、二次試験では企業事例に沿って解決策を提案する記述式問題が出ます。このような問題は自分自身で解答を作っても何が正解で何が間違っているのかを判断するのかが難しくなっています。
講師などに採点してもらい、どのような点に注意して解答を作成すればいいのかを教えてもらう方が効率的に勉強を進めることができるのではないでしょうか。
このようなことから、独学での合格を目指すのは難しいでしょう。しかし、時間的な余裕がある方であれば独学で合格を目指すことも不可能ではありません。参考書やテキストなどを読み込み、過去の受験者などからアドバイスをもらうことで合格に近づくことができるのではないでしょうか。
一発合格している人も少ないことから、独学であっても、予備校に通っていても、根気強く勉強を続けていくことが一番大切なことであると言えるでしょう。
まとめ
中小企業診断士について説明してきたここまでの内容をまとめておきます。
まとめ
- 中小企業診断士は経営コンサルタントの唯一の国家資格
- 中小企業診断士の資格を活かせる場所は中小企業だけではない
- 試験は1年に1回だけ
- 中小企業診断士は難易度の高い試験
- 独学で合格を目指すのは難しい
中小企業診断士は国家資格であり、認知度も信頼度も高い資格です。取得することができれば色々な分野で活躍することができるため、就職や転職を考えている場合にも有利に働くのではないでしょうか。
難易度は高いですが、合格を目指すだけの価値のある資格ですので興味があるのであれば勉強を始めてみてはいかがでしょうか。